双調平家物語3巻1999
この巻は、利己的な軽皇子=孝徳天皇の老醜から始まる。国造りに燃えた若き中大兄皇子=天智天皇も老耄してゆく。その娘・持統女帝が見せる、女傑の光と影。父と夫の国造りの遺志を継ぎ、大宝律令の編纂を命じる。他方で、自己の血筋にこだわるあまり、愛する夫・天武系の皇統を衰退させてしまう。
その持統女帝に虐げられた、気弱な元明女帝。持統と元明は姑と嫁。偉大なる姑の亡霊と戦い、姑に同化してしまう嫁が元明。嫁姑問題の大作・有吉佐和子『花岡青洲の妻』が連想される。姑の昔話にうんざりした嫁・元明の「お隠れの上皇は、天武の帝のおそばへ十三で上がったということがご自慢であられた」は名セリフ。拍手喝采!!!
絢爛たる女帝の時代のなかで、蘇我氏の血脈はひそかに藤原氏へ流れ込み、政界の貴公子・藤原不比等が権勢への階梯を昇ってゆく。彼の華やぎと、文武天皇の早逝が好対照。
【少女漫画の観点から雑感】
長岡良子の歴史漫画『眉月の誓い』は、藤原不比等と異母妹の純愛を描いた。それを、橋本治は「手近な空家にさっさと入り込んだ」だの「手をつけた」だの、即物的だ。