裁判員制度と逆恨み

はじめに

2009年5月21日より裁判員制度が実施されます。
裁判員制度のメリットだけが語られ、デメリットがあまり語られていません。
ここではアンケート結果でも不安視されている「逆恨み」について取り上げます。

裁判員制度の公式ページ
知りたい!裁判員制度

約40%が逆恨みに不安

平成18年12月に行われた、「裁判員制度に関する特別世論調査」において39.1%の方が「逆恨み」に 不安を持っている結果となりました。

「裁判員制度に関する特別世論調査」の概要

この不安は当然のことと思われます。最高裁判所はこの事実から逃れることはできず、真剣に対処すべきです。

裁判員制度が扱う裁判は重大事件

そもそも裁判員制度で扱う裁判は軽微な事件ではなく、死刑または無期懲役が相当となる事件です。
殺人、強盗致死傷、傷害致死、身代金目的誘拐などいわゆる極悪事件です。
つまり理不尽な逆恨みを買いやすい事件です
裁判員になんら落ち度がなくても、ただ裁判に関わったがために危害が及んだりする可能性を否定できません。
むしろ関わったがために、危険度が増すことになります

「平成19年版犯罪白書」によれば、検挙者の内訳は「初犯者が71.1%」「再犯者は28.9%」であり、 必ずしも同一人物が犯罪を繰り返す「再犯率」ではありませんが、巻き込まれる可能性が高くなることは事実です。
ある統計によれば、受刑者の再入率は49.9%です。

逆恨みの事例

あってはならないことですが、裁判関係者が逆恨みを受ける事例は実際にすでに起こっています。
オウム事件では関わった坂本弁護士一家が殺害されたのは有名です。裁判員本人だけではなく家族に被害が及ぶ危険もあります。
オウムを追っていたジャーナリストも付けまわさりたり、脅しを受けました。
被告本人からの逆恨みだけではなく、その家族や親族からの逆恨みを受ける可能もあります。
それがあなたの身に起こるとも限りません。
法律上、逆恨みは許されるものではありませんが、実際には起こっています。
「理論」と「現実」には差があります。我々一般人は理想の世界ではなく現実の世界で暮らしています
逆恨みを買う可能性が低いとの意見もありますが、重大事件に関わる以上、むしろ可能性は高くなります。
そもそも殺人などあってはならない事件を扱うわけですから、あってはならないことが裁判員にも起こる可能性があります
一般人の法律、常識、感覚が通用しない方を相手にしなければなりません。

本来あってはならないことではありますが、事実として理不尽な逆恨みは頻発しています。最近の事例です。

身の危険が及ぼす判断への影響

身の安全が確保されていなければ、正しい判断を下すことはできません。
理不尽な逆恨みや報復を恐れ、極端な判断を下さざるを得ない状況に追い込まれます
このあたりを最高裁判所はどう考えているのかわかりません。
裁判員制度では誰がどのような発言をしたか、どのような判断を下したかは特定できないため、 個人的に恨まれることはありませんが、裁判員全員が恨まれることがあります。
つまり元厚生省幹部襲撃事件のように全員が次々に逆恨みにあうことは考慮されていません。

その後の人生に及ぼす影響

たとえ無期懲役でも早ければ15年から20年で仮釈放されて社会にでてきてしまいます。
「無期懲役」という言葉にだまされてはいけません。実際には「無期」ではありません。
これではいつ逆恨みを買うかわからず、その後の人生をいつまでもびくびくして送らなければなりません。
少なくとも裁判員制度に一度でも参加した後はマスコミへの登場も避けなければなりません。
社会的に目立つ行為はすべて辞退しなければなりません。会社の役員や選挙への出馬は控えなければなりません。
被告に顔を見られていることから、新聞、雑誌、テレビへ登場しようものなら、そこから氏名や住所が被告にばれます。
つまりひっそり暮らすことを余儀なくされます。人生を制約されることになります。
住所がわかれば、カーナビ、Webマップの発達した現代においてはあっという間に居場所を特定されてしまいます。
裁判員になったとしてもその後の人生を誰も保証してはくれません。
例えば一生警護してくれるとか、仮釈放されたという情報を得ることもできません。

裁判官や弁護士はその職業上、身に危険が及ぶかもしれないことも覚悟の上で、職務を遂行していますが、 一般人にそのような覚悟を強いることは無謀ともいえます
一生身の安全を確保されず、正義感を要求するのは酷といわざるを得ないでしょう。
こうしてみてる裁判員制度は昔の赤紙と同じであり、召集令状と何ら変わらないように感じます。
人生でババを引いたようなものです。とても割りにあいません。

少なくとも逆恨みにあう確率が、航空機が墜落する確率よりも低くなければ誰も受け入れられないでしょう。
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