救命病棟24時の話

このドラマは面白い。
と僕は思う。もっとも、ドラマなんてものは、ここ最近・・・もしかするともう、
こういう番組を見るのは10年ぶりっていうレベルなので、
このドラマが、ドラマとして面白いかどうかについては、分からないんだけど。
でも、面白い。番組として面白い。
ドラマとしてではなく、教養番組として、面白いのだ。

・もともとは
僕は単に、大泉洋が出るってことで、見ようって思ったってだけだったんだけど。
つまり彼が全国放送の、それもまじめなドラマの中で、
どれだけコメディアンとして腕を見せることができるのか、
どれだけ全国に通用するものなのか、
それよりむしろ、緊張しながら演技してるところを見て笑いたいというか、
まあ、そんな感じ。
実際に、アドリブで、そこそこ頑張っているらしいのだが、
どうにもほとんど、使ってもらえないと、そのような状況であると。

だから、タイトルから考えて、病院が舞台なんだろうなあ、くらいにしか、
思っていなかった。1話目の冒頭を見るまで、地震とは、予想もしていなかった。

しかも1話目から、首都圏での地震の30年確率なんかの話が出てくる。
この数字ってのは、確か随分前から計算は終わっていたものだったけど、
最近になって、やっとこ公表したというような、そういうものだった気がするなあ。
なんて思いながら見ていた。

そして、地震が起こる。そこで1話目は終わるんだけど、
あの地震ってのは、東京の人なら、どの辺りが震源だったとかって、
分かるんだろうか。ドラマの中では、あまり細かく描いてないような気がするけど。
あと、規模も。
まあ、どうでもいいんだけどね。
実際に次に東京で起こる地震が、あのドラマの場所で起こるかどうか、
あの規模のものになるかどうか、というのは分からない。
もっとでかいかもしれないし、小さいかもしれない。
ただ、漠然と「どこかで、大きめのが発生する可能性が高い」
ということしか分からない。
だから、ドラマで描いている地震そのものに対して、
対応を考えるということには、意味がないんだけど、
一つのサンプルとして、シミュレーションとして考えた場合は、
非常に意味のあるものとなっている。

実際にDIGと呼ばれる防災訓練も存在していて、
これは実は「図上訓練」であって、机上の空論での訓練なんだけれども、
これは、大変に意味があるということで、
各地で取り組みが進められているというようなものなのだ。

このドラマは、DIGの変形として考えることができるだろう。
そこが面白い。

エンドテロップの取材協力のところに「人と防災未来センター」の文字を見つけたときは、
ちと驚いた。
ああ、これは本気だな、というようなもんである。
ドラマとしてどうこう、というものではなくって、
お勉強番組として、どの程度ちゃんとできているかを楽しもうと。

・ほかにも
トリアージなんて言葉まで出てくる。
トリアージってのは、これはもう選別であって、
災害時等において、少しでも多くの命を救うために、
傷病者の治療優先順位を決めて処置を行うというものであって、
僕が最初にこの言葉を聞いたときには「とりあえず?」に聞こえたものだった。

ともかくこれは、特に災害時に拠点病院として機能するとこなんかは、
トリアージだけの訓練なんかもやっているくらいで、
とても大変で、高度な知識と経験を要する作業だと思うわけなんだけれども、
小さな町病院の看護婦さんあたりに、やれるもんだろうかと、ちと疑問にも思ったり。

それから災害用伝言ダイヤルが出てくる。
これをテーマにほとんど1話、使ってた。
まるで、教育テレビあたりにあるような、何かのお勉強のあとの、
おさらいってな感じで、ちょっとドラマ風味の小芝居を。
そんな味わいでさえある。

今の時代は携帯電話も、
非常時持ち出し品の一つであるなあ、てなことも思ったり。

災害用伝言板ってのも、本当はあるんだけど、こっちはあまり出てこない。
スポンサーの関係なんだろうか。

そしてクラッシュ症候群。
エコノミークラス症候群は、出てこないのかな・・・

・問いかけ
なんかもあったりする。行政に対して、医療関係者に対して、
そして被災者に対して。

それから報道のあるべき姿について考えさせられたり、
ボランティアというものは、どういうものであるべきか、なんて話もあって、
なかなかに考えさせられるものとなっている。

・結局
そういう意味では、お勉強番組としては、次は何をネタにするのか、
とまあ、そんな楽しみ方をしてしまっているのだけれども、
まあそういうネタが無くなったあとは、
楽しみは大泉のみとなってしまうわけで、
まあ、もともとそれが目的だったんだから、構わないわけなんだけどね。

ただ、このドラマのスタンスというのは、
「人と防災未来センター」に取材したりするくらいに、
まじめである。

この「人と防災未来センター」というのは、阪神淡路大震災の経験を、
今と未来に生かすために頑張っているところであるわけで、
このドラマを見ていると、この国はあの震災から、何を学んだのか、
そしてどの部分は依然としてダメなままなのか、
そういうことを垣間見ることができる。

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