Vol.100
ラブストーリーだけじゃなかった
北川悦吏子脚本「空から降る一億の星」
もう最初から素直に言っちゃいます。
こーゆーのが書けるなら
もっとはやく書いてくれれば
よかったのにぃ〜。
たとえば
マニアックな音楽ファンじゃなくても
「プロデューサーがどーの」
って話をしていいことになってる
つんくさんの場合と同じように、
マニアックなドラマファンじゃなくても
“脚本は北川悦吏子さんだからぁ〜”
みたいな話をしていい、
という
いまやそういう立場にいる人ですよね、
北川悦吏子さんって。
まわりくどい言い方をしてしまいましたが
早い話
脚本家という裏方的立場にとどまらない
知名度がある、と。
で、どういう知名度かというと
「ラブストーリーの大家」で
「オトメ心をグッとつかむセリフがうまい」
というのが
女の人なら(男の人でも)
誰でも知ってることだと。
ところが今回は
ちょっとちがうじゃないですか
「空から降る一億の星」は。
何度も言うけど、
ワタシはラブストーリーがきらい
ってワケじゃない。
ただ、正直言って、
「ロングバケーション」以外の
北川脚本ドラマは
どれもちょっと・・・
だったのは確かです、ハイ。
でも今回はマル。
正面切った恋愛ドラマじゃない。
サスペンスの要素が
かなりはいってる。
しかもこのサスペンスが
第3話まで見る限りでは、
けっこういけそうですよね。
ただ、ワタシは別に
サスペンス好きってワケでもないんで、
そーゆー意味で
気に入ってるワケではないんです、
このドラマ。
北川さんが
「セリフがうまい」
と言われる理由を
はじめて実感したんですね。
なんというか
密度が濃い
というか、
もう全編のセリフのひとつひとつに
意味があって、
たとえば
完三(明石家さんまさん)と涼(木村拓哉さん)が
ポンポンと軽快に言葉を交わすシーンでも
それは見事な緊張感の
対決になってるし、
完三と琴子(森下愛子さん)の微妙な関係も
何気ない会話で
それとなくわかるようになってるし、
涼と美羽(井川遥さん)の
本気と駆け引きが交錯するラブシーンも
すごくハラハラさせるし。
なんていうか
会話の機微だけで、
複雑で微妙で含みのある人間関係を
きっちりと描き出していて、
すごく見応えのある1時間です。
どこが?
と言われると
全編そうだ
と言うしかないけど、
第3回ではやっぱり
レストランでの
涼と優子(深津絵里さん)のシーンでしょう。
定休日のレストランで
二人きりで食事をする涼と優子の
互いにガードを堅めたり
ヒラリとかわしたりしながら、
スキがあれば
ガードの向こうの
やわらかいところに触れようとする
攻防は
う〜ん、すごく
迫力がありました。
これ、
もちろん
木村拓哉さんと深津絵里さんだから、
そして
平野眞さんの演出だからこそ
なんでしょうけど。
そういう
なんていうか
深みのあるセリフのうまさが
ラブストーリーだサスペンスだ
というジャンルを超えて
ドラマとして
見応えのあるものにしている
ってことじゃないでしょうか、
なんてちょっと評論家っぽくて
スイマセン。
だからドラマファンとして
北川さんには、
ラブストーリーばかりじゃなくて、
こーゆーのが書けるなら
もっとはやく書いてくれれば
よかったのにぃ〜
っと思ったワケです。
ところで世の中には、
ミステリーファンとか
サスペンスファンとかいう
人たちがいるみたいなので、
そういう人たちにとっては
このドラマも
ツッコミどころは
いくつかあるんだろう
と思います。
(たとえば
ビデオの順番を“偶然”として無視する
捜査当局の見方には
無理があるんじゃないの?とか)
ワタシとしては
そんな細かいことはどーでもいいんだけど
今後の展開は
気になります。
っていうか
サスペンスって、ワタシ
最後にフタを開けたとき
つまり真実がわかったときに
テーマがウキボリになったり、
より深いドラマが明らかになったり、
というのが、
好みなんですよ。
う〜ん、
前者では「クイズ」とか
後者では「飛ぶ男」とか。
そういう意味で
どうでしょう、
期待してます、このドラマ。
というわけで
最後にワタシのツッコミどころ。
早くに両親に死なれて
いっしょに育った兄弟なのに、
なんで兄の完三だけ、
コテコテの関西弁なの?
これもなにかの伏線か?
(APRIL.30)
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