Vol.109

これでいいのか?「空から降る一億の星」

あまりいないとは思うけど、
まだビデオに録って
観てない人がいたら
今週はネタバレあり
なんで、
スイマセン。

この「空から降る一億の星」、
始まった当初から、
北川悦吏子初のミステリー
とか言われて
話題になってはいたけど、
北川さんご本人は、
「これはラブストーリー」
ってずっと
おっしゃってましたね。
「究極の愛のカタチを描きたい」
みたいなことを。

ご本人がなぜそんなに
ラブストーリーに
こだわるのか
よく分からなかったけど、
まあ、
そんなことはどっちでもよくて、
ミステリーだろうが
なんだろうが、
好いた惚れたって話は入ってくるだろうし、
そこんところに
スポットをあてて
そうおっしゃってるのだろう、
ぐらいに思ってたんですけど、
それって
こういう意味だったんですね。
ラスト2〜3話の展開は
たしかにラブストーリー。
で、テレビドラマとしては、
100%オーケー。
最終回なんて
90分間息をつかせぬ
緊張感溢れる展開には
思わず引き込まれました。
しかし・・・

これでいいのか?

脚本家本人が
これはラブストーリーだと
いくら主張しようと
序盤で視聴者を惹きつけたのは、
木村拓哉さん演じる片瀬涼の
キャラクターだったんじゃないの?
心に大きな闇を抱えてそうな
とりつくしまのない虚無感、
冷たく閉ざされた扉、
いったいこの男は何者?
なんでこんなふうに悪を重ねるの?
いったいどんな過去が
この男を
こんなふうにしてしまったの?
で、そこに
深津絵里さん演じる堂島優子が
吸い込まれるようにして
“宿命的に”惹かれてしまう。
で、その冷たい扉を
少しずつこじ開けようとする。
このへんの
“対決”は
前にも書いたけど、
ものすごく見応えがありました。
引き込まれました。
で、
繰り返すけど、
このとき、
視聴者が知りたかったのは、
しだいに明らかになっていく、
この男の“心の闇”
だったんじゃないでしょうか?
しかし、
その答が
「二人は兄妹でした」
っていうんじゃ、
「そんなことは聞いてな〜い!」
なんですけど・・。

実はこのドラマ観ながら、
あるマンガを思い出してました。
最近になってようやく読んだんですけど
浦沢直樹さんの「MONSTER」。
これもやっぱり
悪意の結晶
みたいな男が出てくる。
それがまた
美形の青年で、
涼しい顔で人を動かして
自分は手を下さず
とんでもない悪いことをする、
というところが
このドラマとよく似てますね。
で、「MONSTER」の場合は、
この男の“心の闇”が
明らかになっていく過程で、
人間の尊厳とか、
孤独とか、
アイデンティティとか、
本質的なテーマが
それとなくウキボリになってくる。
その一点において、
この作品、
マンガというワクを
イツダツしてる、
と思うんです、
ワタシ的には。

ところが
「空から降る〜」のほうは、
そうゆう大切なところを
「僕には神様はいない」とか書いた
原稿用紙一枚で
片づけようとしてる。
でもって、
愛し合った二人が実の兄妹だったとか
それを知らずに
誤解から兄を撃ち殺してしまうとか、
撃ってしまった直後に
そうと知って絶望するとか、
そういう
わかりやすいドラマに
すり替えようとしてる。
って思えちゃうんだよね、
ワタシ的には。

もちろん
このラストシーンに、
感動した!
号泣した!
という人もいるだろうけど、
ワタシはなにか心残り。
もっと知りたかったのに、
片瀬涼の心の中を。

「MONSTER」が
エンターテインメントとして、
手際が見事だったように、
「空から降る一億の星」も
そういう意味では
すっごくよかった。
木村さん、深津さん、
明石家さんまさん、森下愛子さん、
みんな泣かせてくれました。
中江功さんの演出にも
引き込まれました。
音楽の入り方が、いつも
うわ、テレビドラマ〜
ってかんじで
すっごく好きだった。
だから
テレビドラマというワクの中では、
「100%オーケー」
なんでしょうね。
でも、
別の見方をすれば、
「ドラマのワクを出ていない」
ていうか
「今回は出て欲しかった」
って
やっぱり思ってしまうのは、
ワタシだけ?

あ、今週は、
エラソーで
スイマセン・・。

(JUNE.29)


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