Vol.119

「愛」にカッコはあるか「愛なんていらねえよ、夏」

今クール、最初の2〜3週を見た限りでは、
まさかこれを
マイベストワンに
ワタシが選ぶとは
ぜんぜん思ってなかったんですけど、
「愛なんていらねえよ、夏」。

野沢尚さん脚本の
「眠れぬ夜を抱いて」の最終回、
憶えてます?
大出類子(伊藤裕子さん)のお墓の前で
欧太(仲村トオルさん)が逮捕される直前、
悠子(財前直見さん)と話をするシーン、
あのとき
悠子が言ったでしょ、
「それは、愛よ」。
あのセリフ、
浮いてましたよね、
確かに。
結局「リミット」のときもそうだったけど、
視聴者も、
それからおそらく
作者の野沢尚さんも、
興味があるのは、
この事件、どうなるの?
っていうサスペンス、
犯人は誰?
っていうミステリー
であって、
それを軸にドラマは展開していた、
と思うんですよ。
ところが、
最後の最後で
「いやぁ、あのときのあれは、
実はこーゆーつもりで・・」
なんてウソっぽい言い訳
をしてしまう、
そんなふうに聞こえました、
あのセリフ。
で、
そーゆーときに
よく使われるのが
「愛」
なんですよね。
体操で、
着地に失敗しても
むりやり両手を挙げて、
ポーズをとるみたいに、
最後に「愛」さえ出せば
OKか?
みたいな。

で、
この
「愛なんていらねえよ、夏」
なんだけど、
やっぱりこのタイトルって
思うじゃないですか
「ゲ、愛かよ」とか。
でも、最初の回で、
レイジ(渡部篤郎さん)と亜子(広末涼子さん)が
それぞれ
「『愛』なんていらない」
みたいなセリフを言う。
だからこれって、
カッコつきの「愛」を否定する二人
から始まるんですね。
で、ここで
ちょっと入ってってもいいかな
と思いました、ワタシは。

その後の展開は
ご覧の通りだけど、
最後の3回くらいは
う〜ん、
やっぱり
引き込まれました。

フツーは
ヒきますよね、
「愛」がどーとかいうドラマで、
ヒロインは盲目で、
しかも不治の病で、
男は最後に刺されて、
血だらけでのたうって、
しかも白いスーツで。
まあ、
こういうのが好きな人
っていうのも
いるかもしれないけど、
ワタシはダメ。
不治の病もの
ハンデキャッパーものって
どうも苦手で、
だから「星の金貨」も観てなくて。
でも
このドラマは、
引き込まれまれてしまったのでした、
なぜだ?

龍居由佳里さんの脚本って
教科書っぽい読後感
って以前に描きましたけど、
よく言えば、
ケレン味やハッタリがない
ということだと
思うんですよ。
その分、
抑え込んだセリフのひとつひとつに
とても神経が行き届いていて、
ジミだけど、じんわりいいドラマ。
だけど、見終わってみると、
すべて予定調和だったような、
物足りなさがのこるんだよなぁ〜
なんて思ってました、
えらそーでスイマセン。

で、今回は堤幸彦氏の演出なんだけど、
かつて荒木経惟氏が
自分が撮ったポートレート写真について
「アタシの写真は、
皮膚の皮一枚、被写体に迫ってる」
なんて言ってましたが、
この言葉、
今回の堤演出にピッタシ
だと思います。
独特のトリミングだのなんだので
堤ワールドとか言われてますけど、
やっぱりアレって
ただのスタイルだと思ってると、
見失いますよね。

結局、この龍居vs堤の相性が、
地味におちることなく、
スタイルだけが目立ちすぎることなく、
すごくいい感じ
だったと思います。
最後の「愛」も
ギリギリ浮いて聞こえなかったし。
堤監督って、やっぱり
「IWGP」の宮藤官九郎さんとか
ビミュー系と組んだときがいいですね、
ワタシ的には。

で、最後の最後、
レイジは死んでなくて、
亜子も目が見えるようになって、
お約束の
空港の抱擁シーン
っていう
テレビ的に後味のいい
決着のしかたも
ワタシ的には
気持ちのいいラストでした。

というわけで、
これがワタシの
マイベストワン
ということで、夏。

P.S.またまた更新おくれちゃって、スイマセン!

(SEPTEMBER.17)


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