Vol.15

今クールのイチオシ、「トリック」

今思うと、あのとき
すでに予感はあったんですよね。
あのときって、ほら、
冴えない手品師の仲間由紀恵が
大学教授の阿部寛の前で
「私は本物です」ってシレッと言い切ったとき。
で、
しまいには
「新興宗教のトリックを暴いてほしい」という申し出を
きっぱりと断るじゃないですか。
ここで、もう、うすうす確信していましたね、
今思うと。
今クールのイチオシは
「トリック」じゃないかって。

堤幸彦演出のドラマの魅力って、
いろいろあると思うけど、
たとえば、あの独特な編集、不思議な間合い、
ヘンなモチーフ、抜けた笑い、
それから今回みたいに謎解きやトリックが
絡んでくる場合も多いし。
でもワタシが堤作品を観る理由って、
やっと今回気が付いたんだけど、
他にあったんです。

「ケイゾク」の柴田(中谷美紀)と真山(渡部篤郎)、
「IWGP」のマコト(長瀬智也)とタカシ(窪塚洋介)、
そして「トリック」の仲間由紀恵と阿部寛、
どの場合も、
「2人のヘンな関係」が魅力的なんですよね。
なんていうか
他人のようで、みょーに親密
味方と思って気をゆるすと、ときどき肩すかし、
互いに信頼している、
ようでいて知らん顔、
一筋縄ではいかない距離感が、
なんだかいいんですよね。
この感じ、
たとえば「踊る大捜査線」の
青島(織田裕二)とすみれさん(深津絵里)、
古くは「ど根性ガエル」のヒロシとゴリライモを
思い出させますね。
(知らんて、んなもん)

結局、ワタシにとって、
「ケイゾク」も「IWGP」も、
要はここがキモだったんだんですね。
だから「ケイゾク」の最終回で、
真山(渡部)が柴田(中谷)にキスするシーンでは、
何かが違ってしまったように思ったし、
「IWGP」の最終回での
長瀬の立ち回りは、
なんだか“らしくない”気がしたのかな。

で、今回の「トリック」、
阿部ちゃんと仲間さんのヘンな関係。
勝手にアパートに上がり込むは、
タオル一枚で風呂から出てくるは、
で、障子1枚隔てて寝てるところが、
なんとも象徴的。
でもって、そういう関係の中でこそ、
阿部ちゃんも仲間さんも
あの魅力的なキャラクターを発揮できる
というのが、
ワタシが思うに堤作品のトリック、ですね。

ところでここに挙げた3作品、
みんな脚本家が違うんですよね。
ということは、
キャラクターの造型とか、
互いの関係とかについては、
堤氏自身によるところが大きい
ということでしょう。
う〜ん、さすが「監督」ですね。

(JULY.19)


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