Vol.189

スミズミまで陽があたってる「人間の証明」

「白い巨塔」の成功に刺激されたのか
その頃にはもう企画が進んでのか
知らないけど、
今クールは名作リメイクものが
ブームですよね。
この「人間の証明」なんか
映画、テレビを含めて
5回目だそうです。
「母さん、僕のあの帽子〜」
あまりにも有名なあのセリフは
確かに耳に残ってるけど、
え〜と、犯人
憶えてないんですよね、
っていうか、
もしかして
これ
一度も観てないかも。
・・・だから
ってわけじゃないけど、
ホントのところ、
今クール、いちばん
楽しみにしてる
ドラマがこれ
なんですよね。

何が面白いって
まず、
スケールがデカい!
黒人青年の殺人事件、
選挙に立候補する代議士の妻、
それからホステスの失踪・・
これだけ話を広げながら、
次第にひとつの事件に収束していく(らしい)
この展開は、
やっぱり引き込まれます。
しかも
それに最後には
棟居刑事(竹野内豊さん)自身の
過去がからんでくる。
こんな複雑な展開を
離れさせずにひっぱってく
これはなかなか
骨のあるドラマ
だと思いました。
こういう
よく練り上げられたプロット
みたいなのって
やっぱり原作モノ
ならではですよね。

それと
このドラマ、
すみずみまで手を抜かず、
ていねいに作り込まれている
ところも
ワタシ的には○。
重箱のスミをつつくようですが、
桐子(夏川結衣さん)が郡恭子(松坂慶子さん)の
昔のクラスメートを訪ねて
話を聞き出すシーン。
ここで、まあ
郡恭子の過去がチラッと
明らかになるんだけど、
このわずかワンシーンのために
鷲尾真智子さんが出てる。
でまた、このシーンの
脚本も、演出も、演技も
いい!
なんていうか
こんなところにも
“陽のあたる場所”に出ようとしてる昔のクラスメートを
ねたんだり、うらやんだりする、
人間のビミョーないやらしさが出てて
最後の
「もっと仲良くしときゃよかった」には
ちょっとコワ、とか思いました。

それから、
老娼婦キャサリン、
いしだあゆみさんの怪演もあって、
横須賀の一連のシーンも
観応えアリ。
なんか、
密度、濃いですよね。

あ、
なんかゲストのシーンばかり褒めてますけど、
もちろん
レギュラー陣のシーンも
いい感じです、ワタシ的には。
特に
棟居刑事の竹野内さん、
この人、モデル出身、元祖イケメン俳優ですよね。
このドラマでは
俄然、存在感があって、
惹きつけられます。
たしか「氷の世界」でも
刑事(みたいな)役やってましたけど、
あの時よりずっと
厚みが増してるっていうか、
まあ、今回は
背景が違いますけどね。
これに“相棒”の横渡刑事(大杉漣さん)との絡みがいい。
ただステレオタイプに、
内向型アウトロータイプと
杓子定規きまじめタイプ
っていうワケじゃない。
横渡も「皮肉です」なんてはっきり言うし、
棟居も自分の過去を素直に話したりする。
一筋縄ではいかないところが、
いい感じです。
“やなヤツ”山路刑事(佐藤二朗さん)も
いい味出してます。

それから
もう一つだけ
言わせてもらうと、
全体的にシリアスなトーンの中に
ふっと笑える要素を
入れてくるのが
なんとも絶妙。
それも、
よくあるみたいに
いかにもこのシーンは和みのシーンですよっとばかりに
ガラってトーンが変わってしまうんじゃなくて、
シリアスな中に
“可笑しみ”みたいなものを
にじませるって感じ。
たとえば
足の悪い夫(國村隼さん)と愛人(風間杜夫さん)がいっしょに
失踪した妻(横山めぐみさん)を探す
成り行きは
シリアスだけど、ちょっと可笑し哀しい感じ。
それから
ホームヘルパーを騙って来た
路子(松下奈緒さん)が
あわてて
「只今キャンペーン中」なんて
言ってしまう、
こんなところにもそう。
細かいとこだけど、
効いてる気がします。

脚本の前川洋一さん、
この人、調べてみると
あまり連ドラの登板はなくて
ワタシが観たのでは「女子アナ。」ぐらい。
(このときは、バラエティ系ながら、
骨のあるドラマになってて、
ワタシは好きでした。)
どちらかというと
単発のサスペンスものが
お得意みたいです。
ど〜〜〜りで、
要所要所で抑えの効いた
ハードボイルド気味のトーンが
冴えてます。
でもって
演出メインの河毛俊作さん。
ワタシ的には
「沙粧妙子 最後の事件」とか「ギフト」とか
あーゆートーン
けっこう好きだったもんで、
う〜〜ん、
なんていうか、
いい感じ。

これ、
「白い巨塔」みたいに
大々的に打って出てるワケじゃないけど、
意外と本格派、かも。
むりやり“食べ物話”にたとえると、
定食屋のオーナーがランチにカレーを出そうと言いだしたら
実はシェフも他のスタッフもカレーにはめっぽううるさくて、
予想以上の本格カレーができてしまった・・・
みたいな。
・・・・
失礼しました。
ま、ともかく、
今後がますます楽しみな
「人間の証明」なのでした。

P.S.
なんだかんだいっても
ラストにかかる
「陽のあたる場所」、
う〜ん、
ワタシ的には、ツボです。
GOOD!


august.6


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