Vol.203

ドラマは落語だ?「タイガー&ドラゴン」

だいたい人名が“略語”になるのは、
2つのケースがあって、
ひとつは、トヨエツみたいに、
カルト的に支持している一部の人たちが、
自分たちを一般の“非支持者”と差別化するために
符丁として使いはじめる場合、
もうひとつは、
キムタクみたいに、
それが次第に単なる人気者を超えて、
社会現象にまでなっちゃった場合。
クドカンの場合も、
最初は知る人ぞ知るクドカン
だったものが、
今や飛ぶ鳥を落とす人気脚本家クドカン
へと、トヨエツ→キムタク路線を
順調に歩んでいるワケだけど、
考えてみたら
脚本家で、いや制作スタッフで
“略語”になるのは、
この人、宮藤官九郎さんぐらい
じゃないでしょうか。
まあ、北川悦吏子さんにせよ、堤幸彦さんにせよ、
君塚良一さんにせよ、それから倉本聡さんにせよ、
どうやったって、
いい感じに“略語”にならないから
なのかもしれないけど。

前置きが長くてスイマセン。
というわけで、
この「タイガー&ドラゴン」も
新春ドラマスペシャル
なんだけど、それ以前に
クドカンの新作!
なんて言いながら
みんな観てるんですよね、
もちろんワタシもだけど。
で、
何が言いたいかというと、
う〜ん、よかった!
「ドラマ」としても、「クドカン」としても。
なんか、
連ドラがそろそろ始まる時期に
古い話してスイマセン
って感じだけど。
観逃した人はDVDで観てください。

え〜と、
なんといってもまず
「ドラマ」として面白かったです。
けっこう笑えたし。
まあ、構成が粗かっただのなんだの
言う人がいるみたいだけど、
世の中には、
フツーのおろし金の他に、
鮫皮のわさびおろしとか、
大根をおろす鬼おろしとか、
いろんなおろし金があって、
ケースバイケースの適度な粗さ
ってのがあるワケで、
そーゆー意味では、
ドラマ的に
スリリングかつ大胆に展開しながら、
勢いがあって、
快適な2時間でした、ワタシ的には。

「ドラマ」の話は、
観る人それぞれなので
おいといて。
「クドカン」の話が本題。

突然ですが、この「タイガー&ドラゴン」、
なんていうか、
21世紀版「君を見上げて」
なんじゃないかと。
「君を見上げて」っていうのは、
2002年、NHKドラマDモードで放送された
背の高い女性(未希さん)と背の低い男性(森田剛さん)の話。
これって
原作者である山田太一さんの年代に相応しい価値観を
反映していたと思います。
つまり
「男が女より背が低い」
ってのはホントは些細なことで、
本質的な問題ではないんだけど、
ある時代の価値観においては
(まあ70〜80年代のバブル期、ですね)
こーゆー“見た目”みたいなことが
本質的な問題になり得ていたのよね〜
っていうのが
このドラマだったと
思うんです。
モットモらしい言い方でスイマセン。
で、
もちろん、それは昔の話。
じゃ、今、
本質的な問題って何?
ていったらやっぱり
「話が面白いかどうか」
じゃないでせうか??
どうでせう?
で、
このドラマ「タイガー&ドラゴン」の主人公
虎児(長瀬智也さん)は
「話が面白くない」人なワケです。
話のうまい竜二(岡田准一さん)と
同じ場面に遭遇しても
二人の話はまったく別の話になっちゃう。
で、周囲とうまくコミュニーションできない
というのが
虎児の悩みなワケですね。
ひと昔前だったら、
たとえば、“見た目”の良くない男
かなんかが主人公で、
そーゆーコンプレックスに観る人は共感するんだけど、
今じゃ誰もそんなの共感しない。
こーゆー
話が面白くないコンプレックスって
けっこうグサッとくる人
多いんじゃないでしょうか。
で、ドラマのほうは、
この二人が古典落語「三枚起証」みたいな
騒動に巻き込まれるんだけど、
この
「現代社会では、
何を語るか、より、どう語るか、
というコミュニケーションスキルが重要であり、
このスキルに長けた者こそが
常に優位である」
という認識、
さらにこの認識を
表層的として否定するのではなく、
必要なものとして肯定的に捉えるという姿勢こそ、
宮藤官九郎さんの
一貫したテーマなんじゃないかと。
(おおお、なんか文芸時評みたい)
う〜ん、でも
テーマって言うとちょっと大袈裟
かも。
むしろ「前提」?
まあ、なんだかんだいっても
こういう世の中で
どう“触れ合う”かだよね、みたいな。

「池袋ウェストゲートパーク」でドラマデビューした
宮藤官九郎さんが
次に書いた「ロケットボーイ」は
甘く切ない青春モノで
本人はしきりに“恥ずかし〜”って言ってたみたいだけど、
今思うとあれがいちばん
シンプルなショートケーキで
それ以降どんどんドラバタ度を増して
デコレーションがきつくなっていって。
言ってみれば
「どう面白く語るか」を実践していったわけで、
でも、
サクッとフォークを入れると
中にはしっとりデリケートなスポンジケーキがある。
これがあるから
みんなクドカンファンなわけで。
だからなんていうか
そーゆー意味で、
この「タイガー&ドラゴン」
ドラマ的にも、テーマ的にも
とっっっても
宮藤官九郎、本音のドラマ、
クドカン流 ストレートど真ん中
って感じが
してしまったのでした、ワタシ的には。
後味のよさが
またGOOD!
なんか、連ドラ化される
っていう話もあるみたいだけど、
どーなるんでしょう??
期待。

January.14


back




Counter
mail to: pandawatchingdrama@yahoo.co.jp