Vol.216
喪失と漂流の野島ドラマ「あいくるしい」
野島伸司さんのドラマ
ってひとくくりにしようとするのが
そもそもの間違い
なんだけど、
それでもあえて言います。
野島伸司さんのドラマって
漂流してますよね。
なんていうか、
何かを失って
流れていく人たち
そんな人たちのドラマ
に見えちゃうんですけど。
じゃなければ、
この「あいくるしい」、
お母さん(原田美枝子さん)の死を
真ん中にもってきて、
その話でこんなにひっぱるなんて、
それに、徹生(竹中直人さん)が
妻の死をこんなに引きずるなんて
説明できない。
(別に説明しなくてもいんだけど)
ていうか、
この喪失感とか漂流感こそ
野島ドラマの魅力
なんじゃないかと。
ちょっと前ですが
3月に放送してた単発ドラマ
「目の鱗、ぽろり」
観た人います?
日本テレビシナリオ登竜門の入賞作で、
やっぱり舞台は地方都市(ロケ地は房総?)
泉谷しげるさんの妻が伊藤蘭さんで
その娘が水川あさみさん。
で、この伊藤蘭さんが末期癌で死んじゃう
って話なんですね。
(ちょとカブるでしょ?)
このドラマがとってもよかったのは、
死んじゃうから悲しい
じゃなくて、
妻が死んじゃうことで
それまでこの夫婦がどういうふうに生きてきたか
が浮き彫りになる
みたいなところなんですね、
ワタシ的には。
それに比べると
この「あいくるしい」
むしろ反対。
一家の中心だった母を失う家族の話
っていうか
失うことでロープの切れた船のように漂流する家族が
それぞれ何かすがりつくものを必死に探して
とどまろうする話
に見えてくるのは
ワタシだけ?
ですよね、きっと。
まあいいけど。
ふとそう思ったときに
過去の野島ドラマを思い起こしてみると
なんていうか
みんな
ふらりとやって来てふらりと去っていく
そんなふうに見えなくもない。
たとえば
あの心あたたまるホームドラマ「ひとつ屋根の下」だって
両親が亡くなって
ばらばらに漂流していた家族が
もういちど留まろうとする
(それこそ「ひとつ屋根の下」に)
試みに見えなくもない。
「(新)高校教師」のときに
「なぜヘリ?」って書いたけど、
やっぱりラストはヘリでどこかへ
飛んでいく
ってのが
今思うとふさわしいのかも
なんて思えるし、
そもそも物議を醸した元祖「高校教師」のラストだって
う〜ん、漂流?
してますよね。
なんていうか、
どれも、登場人物が
安心して地に足をつけている
ようには見えないっていうか・・
たとえばこのドラマみたいに
“家族の絆”がテーマ
だったとしても。
まあ、
だからなんなの
って言われると
困るんだけどね。
でも
ワタシ的には、
そういう
野島ドラマ
(ってくくるのもナンなんだけど)
が好きなんですね。
もちろん
「夢で逢いましょう」
みたいなほのぼのとした親子
ってのも心地いいんだけど、
野島さんが描くような
なんていうか、
どこか喪失感
みたいなものが根っこにあるような
つつましさ
っていうか
あたたかさ。
たとえば堀江敏幸さんの「雪沼とその周辺」
なんかの読後感とも
とってもよく似てる
ような気が・・
ってあまりに唐突で
スイマセン。
まあ、なんにせよ、
このドラマ、
この家族を中心に
元ボクサーだの
不倫する妻だの
耳の不自由の娘だの
いわくありげな病院の御曹司だの
ひとくせもふたくせもある登場人物が
ゴロゴロからんできて
もう寿司詰め状態。
キャスティングも
竹中直人さんとか、杉浦直樹さんとか、
寿司なら正統江戸前
穴子やこはだなんかの渋めのネタから
綾瀬はるかさんとか、市原隼人さんとか
シャコやカツオの旬のネタまで
取りそろえちゃって
も〜、ズルい!
極めつけは幌の神木隆之介くん、
それに
坂巻奈々さん、春山幹介くんと合わせて、
こんだけ芸達者な子役かきあつめちゃって
も〜寿司屋でマグロばっか食べたら
反則ですよ!
って感じでしょうか。
なにいってんだか
わかんないけど。
まあ、
これが野島伸司流エンターテインメント
ですよね、きっと。
p.s.
それにしてもまたしても主題歌。
あの頃のあの人の歌をもってくるなんて
ズルい!
もうそれだけで
“あらかじめ失われちゃってる”
もんね。
Ben〜〜!
may.27
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