Vol.221

“一杯のかけそば”じゃない「電車男」

「電車男」初めてみました。
初めてってのは、
原作本も映画も観てない
ってことですけど、
でもまあこれだけ話題になった話なので、
おおよそは知ってたんですけどね。
まあ早い話が、ネット時代の“ちょっといい話”?
「一杯のかけそば」
みたいなもんだろう
なんてつもりで第1話のオンエア観て
・・・
も〜すぐに本屋に走りました、
原作本ゲットしに。

う〜ん、なんなんでしょう。
よくわかないけど、
すごくビビッときてしまいました。
いきなり「キター」のスターウォーズ
ドモアリガ〜ト、ミスタ〜ロボット
秋葉原の街、オタクっぽいアニメ・・・
なんていうか、
すべてがものすごく絶妙、って感じ?

なんていうか、
「オタク」とか「アキバ系」もそうだけど、
ちょっと時代遅れだったり、トレンドとズレたりしている
おバカなもの、おマヌケなものを
あげつらって嗤う
だけなら簡単ですよね。
誰でもできる。
(そゆうコラムニストとかけっこういるけど)
このドラマだって
そういう視点で
冴えないオタク男のコメディ
にするのは
きっと苦もないこと
だったと思うんですよ。
でも、この「電車男」
そうはしなかった。
なんていうか
おバカだよね、
と素直に認めつつ
でもこれってアリだよね
って肯定してる
感じがするんです、ワタシ的には。
それって、たとえば
ネットの住人たちがあれやこれやと電車男をサポートするのを
美談として祭り上げる
というのとはちょっとちがって、
たとえば、
第2話の終盤、電車男がしんみりと語るところで
ネットの住人たちがみんなして泣いちゃう
ところがあるんだけど、
これなんて
ほんとにバカみたい、
ちっとも美談じゃない。
でもその“バカみたい”なところを全部ふくめて
アリ、っていうか。
大袈裟に言えば、
このドラマに通底するオタク的なメンタリティそのものを
まるごと肯定して
前向きに捉えてしまおうとする
“ひねくれてなさ”
みたいなものが
なんか、いい感じ、なのかも。

考えるに
(今週はちょっと理屈っぽくてスイマセン)
この「電車男」のキモって
「見ず知らずの男の恋愛を
ネットで繋がった大勢の人たちでサポートした
という美談」
ってのとはちょっと
違うんじゃないかと。
原作読むとよくわかるけど、
これって
電車男の身に起こったことを
(ってエルメスに関することだけど)
ネットの住人がよってたかって、
電車男の立場にたって
分析してくんですよね。
たとえば、
あのときこんなふうに言ったのはよかったのか、
それとも他に言い方があったのか、
エルメスがカップを2客くれたってことは
なにか意味はあるのか、
それが「エルメス」だってことは
何を意味するのかetc.
こういうのって
フツー、一人の頭の中でグルグル起こってる、
つまり考えてること
ですよね。
で、
今度は、
これからどうすべきか
よってたかって考える。
お礼の電話をするべきか、
手紙にするべきか。
電話なら、今すぐかけるべきか、
それとも明日にするべきか。
電話で何を話したらいいのかetc.
これも
フツー、一人の頭の中で起こってること
ですよね。
つまり、
「電車男」って
こんなふうに
“現代社会を生きていく私たちのやり方”
みたいなものを
浮き彫りにしちゃってる。
なんていうか、
主観的な自分(=こうしたいと思う自分)と
客観的にみている自分(=こうしたらどう思われるかと判断する自分)
がいて、
そのふたつが葛藤し、バランスをとりながら、
なんとかやっているのが
現代社会を生きていく
ってことなんじゃないかと。
この話、
そういう仕組みそのものを
解体し、再構築しているところに、
多くの人を惹きつけた、なにか秘密
があるんじゃないかと。

で、
キモは、
その仕組み自体を解体して批評するのではなく
(もともと実話なんだから批評もなにもないですが)
再構築して未来(あるいはリアル)を推進するパワーにしているところ、
ていうか
実際に未来(あるいはリアル)を推進した記録
つまりこれが
“私たちのやり方”を再構築して成功した実話(リアルストーリー)
だってことに
なるんじゃないでしょうか。

そーゆー意味で
制作の皆さんは、そゆことをすごく
感覚的にわかってる
(て言い方も僭越ですが)
気がして、
それが最初に言った
絶妙ってことなんだけど。
たとえば
キャスティングにしても
伊東美咲さん、伊藤淳史さんのお二人の
ベタさ加減といい
(映画は未見ですが
中谷美紀さん、山田孝之さんでは
なんていうか人間的、ドラマ的すぎる気がする)
音楽の選択といい
(エレクトリックライトオーケストラに
サンボマスター!)
ギャグのツボといい
(たとえば「ゴースト」のパロディシーン、
今もう「タイタニック」じゃないのは当然にせよ
よくぞ「ゴースト」!)
ほんと絶妙。
球1個ずれるとダサくなるし、
反対側に1個ずれると卑屈になる、
「おバカだけど、これってアリだよね」
ていう狭〜いストライクゾーンを
スコッと突いてる
気がします。
もしかするとこれ
けっこう力入ってるのかも。
だって、
たとえば電車男役なんて
ジャニーズ系の誰かにしちゃったほうが
局的にはラクだと思うんだけど。
まあ、それはさておき、
さて、
今後どう発展するか、電車男。
期待です。

それにしても
ワタシ的には、
白石美帆さんの“容赦ないOL”が
う〜ん絶妙。

july.15


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