Vol.31

これは大ワザ、見事な着地「深く潜れ〜八犬伝2001」


最終回、見終わって思わず
一人で拍手しちゃいました。
パチパチパチパチ・・・
「深く潜れ〜八犬伝2001」、
これについて書くのは
たしか3回目なんだけど、
まだキチンとはコメントしてなかった気がします。
(キチンとしたコメントって何だ?)

これってつまり
「現実にうまくフィットしない人たち」
の話ですよね。
主人公の鈴木あみさんは、
最初はこちら側の世界、つまり現実の世界に
何の疑問も持たずに住んでたんだけど、
小西真由美さんと出会うことで、
徐々に向こう側の世界に足を踏み入れていく、
という話。
結局最後は
二人とも(他の人たちも)
こちらの世界で生きていく強さを身につけて、
戻ってくるんだけど、
結局そういうことが
単なる通過儀礼として描かれていない
ところがいいよね。
なんて言うか
「誰でも通る道なのよね」
みたいな安易なことを言わずに、
「それはアリでしょ、それでいいでしょ」
って肯定する
その姿勢に
優しさを感じます。
(それを象徴するのが
テリー伊藤の役どころでしたね。)
つまり物語を通して終始、
向こう側の視点で、
描いてるということ。

こういうピュアな感じって、
若い作家、
(たとえば主人公と同年代の)
が創った小説とか映画とかで
ときたま出会うことがあって、
そういう場合はたいてい
一瞬のきらめきのような
不安定さ、危うさがあって
それはそれで魅力なんだけど。

でも、
このドラマはちょっとちがう。
スタッフの年齢層が
どのくらいなのかは知らないけど、
エンターテインメントとして
しっかり計算された安定感が
たしかにあるんですよね。
だからこそ10回連続という
長い時間を引っ張っていけるんだろうし。
しかも、
それと拮抗する強さで、
感覚にまかせた危うさも共存してる。
だから
理屈で考えると不合理な部分もいっぱいあって、
しかも
それがぜんぜん気にならない。
そういうところが
ほんと“ユニーク”だし、
“奇跡的”だと
思いますね。

結局、最終回、
“前世でつながっていたバラバラな人たち”
というのはウソで、
実は、
“今、つながっている人たち”だった、
ということになるんだけど、
つまり10回を通して、
“前世は現世だった”っていう
この計算された大仕掛けが
見事でした。

「今度はいつ会える?
・・・百年後?
それとも千年後?」
いやぁ、この台詞にはキュンときました。
「来世で会おう」
この台詞はカッコよかった。
島とともに消えてしまった
炭坑夫という“前世”を心に抱えて、
現実から逃げ続けることで
現実にとどまろうとする、
テリー伊藤の決意も、
逞しかった。
「深く潜れ〜八犬伝2001」に
拍手。


(DECEMBER.14)


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