Vol.40

“第3の男”の松花堂弁当、「HERO」


最近では内容そのもの以前に、
好調なその視聴率で話題になることが多い
「HERO」。
前々回のコラムで、
ムラがある・・
と書いたんですが、
今週はよかった、
楽しませてもらいました。
なんて言うか
きちんと出汁を引いてつくった
老舗料亭の松花堂弁当、
って感じ?
心憎いばかりに
隅々まで行き届いた
エンターテインメントを
ごちそうさま、
って感じ?

たとえば、木村拓哉さんの久利生検事、
キャラクターがいいですよね、
正義とかなんとか言わない、
ていうか、
大上段に正義漢ぶらない。
「医療ミスを暴きたくてやってるんじゃない」
「こういうことがうやむやになっていると
また同じようなことが起きるんですよ」
とてもまっとうな動機ですよね。
全体的に演出や演技も
なんというか控えめ、
というか
ていねいに灰汁をすくうように
余計なケレン味を抑えてる感じで。

それから重要な証人である
准看護婦を説得するシーン、
逃げるように去ろうとする彼女を
木村さんが
「看護婦さん!」と呼び止める。
しかもこの直前、
彼女が助け起こした松葉杖の患者さんに、
「どうもすいませんね、看護婦さん」
て言わせてる。
細かいことだけど、
こういう“隠し味”が、
最後に彼女が敢えて証言を決意するシーンで
効いてますよね。
心の揺れというか葛藤があって、
結局、看護婦である(になる)ことを
自らに言い聞かせ、
そして証言する。
単に、
久利生検事に追いつめられたから、
ではなく。

あげればキリないけど、
こういう細かい味わいが
ギュッと詰まった
密度の濃い1時間でした。

実はこの回、
脚本を田辺満さんが担当されているんですね。
(「こんな私に誰がした」「いいひと」などを
担当された方です)
大竹研さん、福田靖さんに続く
第3の男、ですね。
前々回、ワタシ
「連ドラを複数で書くとキャラクターが一定しない」
と書きましたが、
舌の根が乾かないうちに訂正します。
すいません。
「但し、そうじゃない場合ある」

田辺さんの脚本は
今までのキャラクターを見事に引き継いでいました。
このドラマでいちばん
“含みのあるキャラクター”である
久利生検事が
今までにまして
“久利生検事らしく”見えたし。
しかも
「法律すれすれの手までつかって勝とうとした」
飯島直子さんに対して、
「いいんじゃない。
だって依頼人を守るためでしょ。
それがおまえの仕事じゃん。」
なんて懐の深いところまでみせたりして。

それから
木村さんと松さんの 恋愛モードのさじ加減も絶妙で、
前回までの流れを踏襲していたし、
個人的には、
美鈴さんの「そういう女なのよ」発言が
“ねじれたキャラ”を一言で表していて
好きでした。

今回は演出も
メインの鈴木雅之さんではなかったですね。
連ドラのアイデンティティって
どうなるんだろう、
なんて思いつつ、
でも法廷の後
廊下のソファで居眠りする松さんと
起こそうとして手を出しかねる木村さんの
いい感じの間合い、
なんて
鈴木さんの感じとは違うけど、
すごく好きだったりして、
それはそれでいいかも、
とか思ってしまいました。
せっそうなくて
すいません。

「女子アナ。」も
先週“第3の男”が登場。
こちらはノーコメント・・・
ということで。
今週も出番がなかった
前川洋一さんが
待ち遠しい!

P.S.
「HERO」は
法廷シーンもよかったです。
それにしても
フツー気がつかないですよね、
「蒲田朔二郎さん」が
生後8ヶ月だなんて(笑)


(MARCH.1)


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