Vol.41

豆大福だっていいじゃないか、「歌恋温泉へようこそ」


ど----しても
三浦友和さんの顔を見ると
昔やってた某ウイスキーのCM
(加藤茶とやってたヤツ)とか
某缶チューハイの
「スーパー課長」
を思い出してしまうんですよ。
なんていうか
平凡なお父さん、
平凡なサラリーマン。
だから最初、
小さな駅にふらりと降り立つ放浪の男
ってシチュエーションが、
なんか似合わない感じがして。

3/3日NHK放送の「歌恋温泉へようこそ」は、
とても“平凡”なドラマでした。
開発の波に揺れる温泉町で
解散したスィングバンドを
もう一度甦らせる、
という筋書きも、
ありがちな話。
主人公が、
ふらりと街にやってきた“謎の男”
ってのも、ありがち。
キーマンが、
なかなか首を縦に振らない頑固おやじ
ってのも、ありがち。
その娘がまた美人で
主人公にちょっと気があって
というあたりも、ありがち。
悪役に棒つきキャンデーも、
今やありがち。
でも、このありがちで平凡なドラマに
ワタシはちょっと
ジンときてしまいました。

これってなんていうか
商店街にひっそりとある和菓子屋さんの
豆大福ってかんじ。
どこからどう見ても
どこにでもある豆大福なんだけど、
でも、やっぱり豆大福はおいしい。
「豆大福で何が悪いの?」
っていうくらい、
実は確信犯なんじゃないかと、
ワタシ思うんですね。

ラストシーンのコンサートの場面、
みんなそれぞれが、
“忘れていた大切なものを取り戻したり”
“勇気をもらったりして”
ハッピーエンドを迎えるわけだけど、
作者の“言いたいこと”は
その先にあるような気がして。
最後の曲が終わると
コンサートを成功させた三浦友和さんは、
ステージから客席の奥さんの元に下りて行き、
観客と一緒に喝采する側に加わるんですね。
つまりステージから下りて
かつていた場所にもどって行く。
えーと、だから、
はっきり言ってしまえば
「平凡で何が悪いの?」
っていうのが、
たぶん
作者の“言いたいこと”
だったんじゃないかと。
「平凡に生きていくのって
たいへんだよね、
だけど頑張ってね」云々。

そう考えると、
主人公の男は
「タンポポ」の山崎努のような
カリスマでもなく、
ハマちゃんやトラさんみたいな
トリックスターでもなく、
三浦友和さんだというのが、
よくわかる気がするんですよ。
バンドの人たちも
ふだんは普通の商店街の平凡な人たち。
そして物語は、
あえて平凡な展開をなぞっていく。
おまけにミュージカル仕立てというか
途中、歌なんか入っちゃうあたりも、
古き良き時代の
ありがちなスタイルで。

脚本の鈴木聡さんが
1998年にNHKドラマ館に書いた
「さよなら五つのカプチーノ」、
覚えてます?
平凡な主婦宮本信子さんや稲垣吾郎さんなど
偶然会った5人の男女が、
ファミレスの集金人を襲って、
現金強奪を企てるって話。
そのドラマのクライマックスって、
宮本信子さんが土壇場で
“おりちゃう”
ことだったんですよね。
「今まで楽しかったし、充実してた。
でももう十分じゃないの?」
つまり
“平凡な主婦でいる”ことを決意するわけです。

「海まで5分」もそうだったけど、
鈴木さんの書く話って、
何かを訴えかけてくるのではなく、
「そうそう、それもアリかもね」って、
受け入れてくれる
懐の広さと芯の強さがあって、
なんか好きなんですよね。
う〜ん、やっぱり
「あすか」観とくんだっだなぁ、
なんてちょっと後悔してたりして。

PS
しかしまたしても、
“昔の女”森口瑤子さん!


(MARCH.9)


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