Vol.42

計算されててニクイ、ケッペキ先生のような「お前の諭吉が泣いている」


今クール、ワタシが観ているドラマの中では
最初に最終回を迎えた
「お前の諭吉が泣いている」。
バラエティ系のドラマはダメ、
って宣言したワタシだけど、
なぜかこれ、観てしまったんですね。
で、不覚にも、
ウルッときてしまったんですね。

毎回そうだけど、
話の中身そのものは
ありがちだし、
まあ、いわゆる
“クサいはなし”
なんですけどね、
今回で言えば
ダメな野球部、それでもがんばる、みんな応援する
ていう具合で。
でも結局これって
中身じゃなく、語り口のドラマだなって。

どこが?
っていうこともないんだけど、まず、
最終回で、学校を救うのがあの野球部?
っていうところとか。
つまり前回までのあの伊藤高史さんの
脳天気なキャラクターも、
オミソ的なポジションも
すべてが伏線だったっていうのが
う〜ん、計算されててニクイなぁと。

それから、このドラマって
思いっきりクサイところと、
抑えの効いたところと両方あって、
たとえば前者は、
試合の応援の場面、
みんなで歌うたっちゃったりして、
思いっきりクサイ。
でも一方で、
ケッペキ先生こと東山紀之と松下由樹の
桜の木の前のラブシーン(?)なんて
ほんと抑えの効いた
名場面だったんじゃないかな。
しかもあの台詞
「あなたの諭吉が泣いています。」が
実にうまく、今までと違った意味で使われていて、
まるで優しい“愛の言葉”のように聞こえるのが、
う〜ん、計算されててニクイなぁと。

最後のオチも、
実に見事で、
それぞれがパズルのように
しかるべき場所にきちんと収まっていて、
特に校長室を開けたら
かつての保健室の再現・・・
っていうのが痛快で、
これもきっと計算されてて
ニクイですよね。

それから満開になった桜を見上げて、
ケッペキ先生が初めて
ニッコリ
なんてところなんかも・・・。

このドラマ、
企画・プロデュースを脚本家の遊川和彦さん、
脚本を森下佳子さんが担当しているのは、
「平成夫婦茶碗」と一緒。
ただし演出は「平成〜」が三枝孝臣さん、
「諭吉」が今井和久さん。

前回「平成〜」を企画したきっかけを
遊川さんは
子沢山で貧乏な家族が一生懸命やりくりしながら
明るく生きているドキュメンタリー番組か何かを観て、
こういうのもアリなんじゃないかと思った、
という意味のことを
どこかで仰ってました。
つまりもともとは
あまりにも“直球”な企画だった
ということですよね。
それがドラマを知り尽くしたスタッフの
フィルターを通すと、
自然とああいうふうに料理されて出てくる・・。

「諭吉」で言えば、
きっといま学校とか教育とかの周辺には、
語るべきことがたくさんあって、
でもそれをドラマで扱うと
“直球”でいけばいくほどクサくなって、
それってドラマ(=フィクション)の限界かも知れないけど、
でも逆に、
ドラマならこんなふうに料理して
食べてもらうこともできる、
ということでしょうか。
実はワタシが中身だと思ってた
“ありがちでクサイ話”って、
ホントはただの器でしかなかったのかも・・。
う〜ん、これって
考えすぎ?

いずれにせよ、
最後まで楽しませてくれた
ニクいドラマだったと思います。

しかし松下校長、
寝ながら聴いてたのが
ツェッペリン「移民の歌」
・・・ニクイ。

(MARCH.16)


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