Vol.44

オムライス「最後の自画像」とメンチカツ「星に願いを」


クールの切れ目のドラマファン
てのは複雑なもので、
いつものドラマが終わってしまって口寂しい、
次クールのドラマが待ち遠しい、
とか言いながら、
見逃してた単発ドラマのビデオ
観たりしなくちゃいけないわけ。
で、今回は
対照的な二つのドラマを観て、
思わず考えてしまったのでした。

ひとつは
2週間ほど前にNHKアーカイブでやってた
「最後の自画像」。
ある男(山内明さん)が
定年まで勤め上げた会社を退職し、
その翌日、旅行へ出たきり失踪してしまう。
男の好きだったゴーギャンの絵をヒントに、
老刑事(内藤武敏さん)がその秘密を追っていく・・・
1977年制作で、
原作松本清張、脚本向田邦子、演出和田勉
ていったらもう、
新鮮な地鶏の卵と
じっくり煮込んだドミグラスソースで、
腕のいい一流のシェフがつくった
究極のオムライス
みたいなもんで、
もう美味しくないはずがない。
心地よい緊張感さえ漂うオムライス、
いやテレビドラマでした。
特に向田さんの脚本は
とりわけ女の人を描くときに鋭くて
(加藤治子さん、いしだあゆみさん、吉行和子さん)
グサリとえぐってくる深さは、
研ぎ澄まされたギラギラのナイフみたいに
もう見ているだけで
怖〜〜〜〜〜
とか思っちゃいますね。

で、もうひとつは、
ちょっとワケあってレンタルして観た
「星に願いを」。
いつもその場しのぎのウソばかりついてる
お調子者(明石家さんまさん)が主人公。
妻に先立たれ、
幼稚園の息子とふたり暮らしなんだけど、
ある日息子に
「死んだ母親とときどき会ってる」
なんて罪なウソをつくものだから、
罰としてウソを取り上げられ、
ホントのことしか言えなくなってしまう・・・。
こちらの方は1998年制作、
前年の連ドラ「恋のバカンス」のスタッフが、
再集結してつくったものらしくて、
競演は
生瀬勝久さん、岸本加世子さん、坂井真希さん、奥貫薫さんetc.
上手に笑わせてくれて、楽しませてくれて、
最後はジンワリさせてくれる、
まあ、民放テレビドラマの王道
みたいな話だけど、
これがまたいいんだ。 中身が濃いっていうか、
千切りキャベツとポテトサラダを
絶妙なバランスで盛りつけた
メンチカツランチ、
しかも手を抜かない丁寧な仕事で、
肉汁たっぷり、
みたいな。
ドタバタのように見えて、
でもたとえば、
坂井真希さんの幼稚園の先生
なんかの描き方をみると、
ていねいにつくってるのが
よくわかります。
脚本輿水泰弘、演出水田伸生、
このお二人は他にも
「奇跡のロマンス」とか、
フツーでいいドラマ、
つくってるんですよね。

もちろん時代背景もあるのかもしれないけど、
(なにしろ「最後の自画像」は
20年以上も前の話だから、
今とは価値観が違うし。
たとえば
コツコツと定年まで会社のためにつくす、
なんて、今、リアリティないもんね。)
前者はなんていうか
額に入ったドラマ、
オムライスがある意味、究極の“洋食”であるように
究極の“テレビドラマ”として
額に入って展示されてる感じ。
後者はなんていうか、
役に立つドラマ、
日々の糧になる、というか、元気になるドラマ。
どっちがどう、
とかじゃなくて、
いやぁ〜フトコロが深いなぁ
これだからテレビドラマはやめられない、
って話なんだけど。

まあ、私としては、
ときどき美術館に行ったりするのも好きだし、
メンチカツも大好きだし。
でもこういうのって、
クセになるっていうか、
最近食べてないなと思うと
無性に食べたくなるんだよね、
あ〜〜〜〜
メンチカツランチが食べたい!

(MARCH.30)


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