Vol.51
ドラマという名のもとに「夢の島少女」
実はこれ、
けっこう悩んだんですよね。
このコラムで取り上げるのって
ちょっと趣旨がちがうんじゃないか、
とか。
でもやっぱり
ちょっと触れておきたいなと思って、
「夢の島少女」。
5/13のNHKアーカイブで放送された、
なんと
27年前のドラマ。
(きっと観た人少ないだろうなぁ〜)
ドラマ、
っていっても、
ストーリーを追っていくような展開には
なっていなくて、
話は、
川岸に打ち上げられていた少女を
少年が見つけて、
自分の部屋に連れていって
介抱するところから
始まるんだけど、
田舎から出てきた
少女が、
都会の波に揺られていくようすや、
少年の思いが募っていくようすが、
断片的なエピソードで
(というよりも
ほとんど台詞がないので
“シーンや風景で”と
いった方が近いかも知れない)
描かれていくっていう
そういうドラマ?です。
ワタシがこのドラマを
最初に観たのは、
初回オンエアの時だったのかどうか
今となっては分からないけど、
たまたま合わせたチャンネルに
(もちろんNHKだけど)
吸い込まれてしまって、
(ということは
最初からは観ていなかった
ということだけど)
以来、
再放送を心待ちにしていたドラマなんです。
もちろん、27年のあいだには、
おそらく何回か再放送があっらしいんだけど、
なぜか最初からきちんと観ることができなくて、
ということは録画も録れなくて、
今回、念願かなった!
というワケです。
うれしーよー!
でも、
このドラマの
どこがいいのか、
を説明するのは
とても難しい。
う〜ん、
言ってみれば
秋になるとなぜ松茸が旨いのか、
とか、
もぎたてのトマトはなぜ旨いのか、
を説明するようなもの、
なんですね。
普段、ワタシが好きで観ている
連ドラみたいなものとは、
対極にあるというか
「これってドラマ?」って
いうくらい、
ぜんぜん違う。
ドラマの魅力って
やっぱり
エンターテインメント
じゃないですか。
早い話が、
“娯楽”。
「楽しんでいただけましたか?」
みたいな中に、
「言いたいこと」とか
「これは問題だ」とか
「ことの本質」とかを
仕込んでおく、
そうすることで、
世の中というところに
届いていく
という確信犯じゃないですか。
ところが
この「夢の島少女」は、
そんなヨコシマな考えは
モートーないんですよね、
もう純粋なんだから。
ワタシ、思うに、
これはこれとして
おさえておいたほうがいい、
んじゃないかなぁって。
どんな手の込んだ料理をつくる料理人も、
もぎたてのトマトは旨い、
ということは、
知っておいた方がいい、
という意味で。
だから、
ワタシ、
「やまとなでしこ」も
「私を旅館に連れてって」も
好きだけど、
“それはそれとして”
この「夢の島少女」
好きなんだよね。
ちなみに
このドラマの作・演出の
佐々木昭一郎さんは、
こういう“アート”なテレビドラマを
何年かに1本のペースで撮る
という
不思議なポジションの方で、
撮る度に
国内はもちろん、
国際的な賞もたくさんとってらっしゃる方ですが、
なぜかこの
「夢の島少女」
芸術祭参加、に留まってるんですね。
でも、
ワタシは、
この前に撮った
「さすらい」や
この後に撮った
「紅い花」(つげ義春原作)よりも
ずっとこの作品が好き。
むしろ「紅い花」のモチーフは
すでにこの「夢の島少女」の中に
表れていて、
こちらの方がむしろ、
よかった、
のでは。
実は、今回気がついたんですが、
この作品、
「作」のところに
佐々木昭一郎さんと一緒に
詩人の鈴木志郎康さんのお名前があって、
なるほど、
それでか。
佐々木さんの作品の中では、
ひときわ“詩的”なんだ
と、思いました。
(MAY.18)
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