Vol.54
セッカチのためのドラマ選び「おいしい関係」「恋のバカンス」
各ドラマ、いよいよ終盤、
ってかんじだけど、
今クールのマイベストワンは、
「ある日、嵐のように」に決定しちゃったし、
他のドラマはもう
だいたい書いちゃったし、
で、今回は、
「楽しいドラマ選び」について。
7月からの夏のクールは、
けっこう「おっ」って思う作品が多くて、
初回チェックが忙しそう。
皆さんもだいたいそうやって、
これは観る、これは次回からは観ない、
とか決めてるんだろうけど、
ワタシの場合、どのへんを観るかっていうと、
ポイントは、2つ。
まずひとつは、
主題歌が始まるまでの数分間。
専門的には、これ
「アヴァン・タイトル」とか
言うらしいけど、
今のドラマって
時報とともにタイトルが出て主題歌が始まるって稀で、
だいたい、タイトルの前に
ちょっとした前フリみたいのがあるじゃないですか。
座るとまず“お通し”みたいな。
初回っていうのは、また特別で、
ゼロから始まってドラマの背景やテイストを
「こんなかんじよ」って紹介しながら、
しかも
視聴者を引き込んでいかなきゃならない、
だから、ここ、
脚本家の力量がわかるところ
だと思うんですよね。
ここが良かったドラマは
だいたい
アタリですね、
ワタシの経験では。
たとえば、
印象に残っているのは、
野沢尚さんの「おいしい関係」。
中山美穂さん主演のラブ・コメだったんだけど、
初回の冒頭わずか数分で、
主人公が大富豪のお嬢さんで、
でもお父さんが亡くなって
周囲の人間関係が冷やかになって、
子供の頃の暖かい思い出を胸に、
小さなレストランに流れてくる。
そんなこんなが、
ぎゅっと凝縮して描かれていて、
ほんとに見事でした。
それにワタシ、こういう実力がある人がつくる
軽いドラマって好きなんですよね。
それこそ、街の洋食屋で食べる
しっかりしたコンソメスープって感じで。
(ちなみに野沢さんは途中で降板しちゃったそうです。)
2つめのポイントは、
ずばり、タイトルバック。
ここはスタッフの姿勢、
みたいなものがわかる、
と思うんですよ。
プロデューサーなのか、ディレクターなのか
よくわからないけど、
このドラマは、どういうドラマにしたいのか、
どういうふうに観て欲しいのか。
たとえば、
明石家さんまさん主演のラブコメ
「恋のバカンス」。
このタイトルバックって、
さんまさんのモノクロスナップ、
あたかもロケの終わった後
ホテルの一室で着替えながら
(パンツ一丁だったりして)
コーヒーを運んできた従業員を相手に
ちょっとふざけたりしている、
ところをスナップしてみました、
というような。
そんなモノクロの
スティル写真(今風にいうと静止画)の連続、
そこにミスチルの主題歌がかぶさって、
なんともしっとりとした
いい感じなんですよ。
このタイトルバックだけは、
いつも早送りしないで、
ついつい観てしまいました。
このドラマ、
基本的にはラブコメなんだから、
もっと違うやり方もできたと思うんですよ、
どう、っていわれると困るけど、
もっとラブコメらしい、というか。
でも、このドラマは
こういうふうに観て欲しい
というスタッフの気持ち。
写真は平間至さんという
トップカメラマンで、
そのへんにも意気込みが、
ってこれ、
“うがった見方”過ぎ?
(プロデューサーは神蔵克さん、演出は水田伸生さん
脚本は興水泰弘さんでした。)
それから「やまとなでしこ」も
好きでした。
タイトルバックの最後に
松嶋菜々子さんが機内で子供(おそらく)に
微笑みかけるワンカット。
あそこで
「桜子さん性善説」を
さりげなく刷り込んでいたような。
まあ、ともかく、
7月からの新ドラマが
早くも楽しみですね。
勝負は、
タイトル前の数分と
タイトルバック。
ってつまり、
早い話、
ワタシがせっかちなだけだって?
その通りかも。
(JUNE.8)
back

mail to:
ueno-no-panda@geocities.co.jp