Vol.62

あんなドラマがまた観たい「ビーチボーイズ」


夏休み特別企画(笑)
ということで、
今回はちょっと
過去の名作を取り上げてみたいと思います。
(ホントは、いつか書こう
と思ってた「ウソコイ」が
“破綻”してしまったので、
予定が狂ってしまったのでした。
スイマセン)
さて、
いまや「ちゅらさん」でブレイクした感のある
脚本家 岡田惠和さんですが、
過去にもたくさんの
いいドラマを書いてくれています。
「まだ恋は始まらない」「若者のすべて」「イグアナの娘」
「ランデヴー」「彼女たちの時代」「天気予報の恋人」・・
では、
その代表作は?と言ったら、
ワタシとしては
「ビーチボーイズ」を
挙げますね、やっぱり。

舞台は、寂れた海辺の民宿
(といってもオシャレな洋館風なんだけど)、
そこに“挫折”した二人の男がやってくる、
これが竹野内豊さんと反町隆史さん。
この民宿の親父がマイク真木さんで、
娘が広末涼子さん、
それから、なんだかわかんなけど、
稲森いずみさんとか、原沙知絵さんとか。
で、
ここでのひと夏の出来事が
綴られていくワケなんだけど、
基本的には、
なにもおこらない
話なんです。
竹野内、反町という“いい男”二人と
広末が出てるのに、
誰と誰がくっついたりとかしない。
(もちろん“できちゃった”なんて論外)
ふつう視聴者が期待するような
色恋沙汰もない。
傷ついた男たちが
ここで傷を癒して、
再び現実に戻っていく
という、
それだけの話、
なんです、大筋は。
ところが、
なんていうか、
毎回おこる小さなエピソードをめぐる
登場人物の
何気ない心の機微が
抑えたトーンで描かれていて、
じんわりと
心に沁みる
実に
エンターテインメントとして
大人なドラマ、
なんですよ。
こうゆうのは
観てもらわないとわからない
だろうから、
どこがどうとは言わないけど。
オンエア当時は、
「竹野内や反町のプロモビデオみたい」
なんていう人もいたみたいだけど、
いったいどこに
目をつけてるんでしょうか。

ターゲットがちょっと違う
「ちゅらさん」を除けば、
岡田さんの代表作と言われるのは
「彼女たちの時代」でしょうけど、
ワタシには
この「ビーチボーイズ」のほうが
グッときますね。
実はこれ
プロデューサー高井一郎氏の
デビュー作でもあるんです。
高井Pはこの後
「世界でいちばんパパが好き」「オーバータイム」
「彼女たちの時代」「天気予報の恋人」
「ロケットボーイ」と“せつない系”を得意とする
独特なスタンスを築いていくワケですが、
ワタシ的には、支持率100%。
やっぱり
アーティストでもそうだけど、
なんかデビュー作って、
経験から生み出される技術や熟成以前に
その人が“本来持っているもの”が
素直に出てくるんだと思いますね。
その意味では、
高井Pと岡田さんには、
資質的にかなり近いものがあって、
それが真っ直ぐに出た、
という、これは
幸せな作品だと思います。
同じ岡田-高井コンビの
「彼女たちの時代」よりも
こちらのほうが、
気負いがない分、
自然体なゆとりがあって、
ワタシは好きです。

テレビの世界は、
けっきょく視聴率がすべて、
というのも事実だから、
きっとお二人は、
この抑えのきいた感じ=押しの弱さを
弱点だと思ってらっしゃるかもしれないですね。
あるインタビューで高井さん
「僕のドラマで
爆発的な数字をとったものは
一つもない(笑)」
なんて言ってらしたし。
このインタビュー、続けて、
「人に不快感を与えない
ということは裏返せば、
要するに積極的に見たいとか好きだという
気持ちに行かない」
っておっしゃってましたけど、
それ、間違いだと思いますよ。
まさに
こういうドラマを、
積極的に見たいし
好きだという人間が
現にここにいるんだから。

そういうワタシって
少数派?
じゃないよね?

※引用は「テレビドラマの仕事人たち」より

(AUGUST.2)


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