Vol.66

どっちが水戸黄門?「世界で一番熱い夏」「生きるための情熱としての殺人」


今クール、
ワタシがいちばん楽しみにしてる
「世界で一番熱い夏」だけど、
第7話はちょっと残念。
マッポ(柳沢慎吾さん)が神大輔(岸谷五朗さん)を裏切って、
遂に逮捕!
っていうとてもドラマチックな展開でしたが・・・。

たとえば
音楽で言えば、
ジャズの基盤にはブルースがあり、
それはもう
好むと好まざるとにかかわらず
“ジャズの遺伝子”として、
呪縛のように
支配してきたわけです。
もちろん、ジャンゴ・ラインハルトみたいに、
異端なルーツをもつミュージシャンも
ときどき出てくるわけだけど。

で、
思ったんですけど、
日本の“テレビドラマの遺伝子”って
「人情物」なんだなって。
かつての黄金時代から延々と続いている
「水戸黄門」にしても、
「渡る世間〜」にしても、
古くは、
「時間ですよ」
「前略おふくろ様」
「だいこんの花」
「おしん」
「金八先生」にしても、
どこかで、
“お茶の間を泣かせる”というか、
“人間の内面に迫るのがドラマですよ”
とでもいうような
泣かせのシーンを
クライマックス近くにもってきて
そこをドラマの核にするような。
やっぱり
「水戸黄門」の人気の秘密は
「この印籠が目に入らぬか〜!」
ではなくて、
その前後にある
泣かせのシーンに
あるわけじゃないですか。

で、今回
「世界で一番〜」第7話、
結局この水戸黄門の遺伝子から
逃れられていないなと。
えーと、
神大輔が逮捕された後、
マッポが仲間に追いつめられる
倉庫のシーンのことなんですけど。
もちろん、
第7話、良かったぁ〜、
という人は、
あのシーンが良かった、泣けた、
という人だと思うし、
あれこそドラマの醍醐味だ、
と思ってるんだろうし、
そういう人がいてもいいと思う。
でも、
このドラマの第1話を観て
期待したワタシには、
あのシーンはNGでした。
第1話では、
もっとぜんぜん違う泣かせ方を
してくれたんですよ、
福澤克雄さんと都築浩さんは。
(繰り返しになるので
backnumber.59、見てくださいね)

最近、日本映画が話題になることが多いのは、
こうした呪縛から逃れた
新しい世代が出てきているからだと思うし、
このドラマ
「世界で一番熱い夏」、
最初の頃は、
一見オーソドックスだけど
そういう意味での斬新さを感じさせてくれました。

で、ワタシのお願い。
そんなところに座って
監修なんかしてないで
降りてきて脚本書いてくださいよ、
都築さん。

それと、
今回はもう一つ、
同じ金曜日の
「生きるための情熱としての殺人」。
これって、
回を重ねる毎に引き込まれてしまいますね。
ハマりますね。
前にも書いたけど、
最初はシンプルな計画が
あれよあれよという間に
とんでもないことになっていく面白さ。
B級なわりに
それぞれのキャラクターが
きちんと描かれていて、
しかも
そこに深入りしない
さじ加減が、いい。
そして、
見事なのは、
異常性愛みたいな刺激的なネタを出してきて、
話をエスカレートさせる一方で、
兄弟(同然に育てられた)二人の確執みたいな、
地道なところに話をつなぎ止めてる
巧みなストーリー展開。
そしてなにより
こうしたエンターテインメントに徹して、
無理に“泣かせ”のシーンを
つくらないところがいい、
と思います。
その上で、たとえば
佑介(鈴木一真さん)が父親(穂積隆信さん)を殺してしまう
衝撃的なシーン。
馬乗りになって首を絞めながら、
言うじゃないですか、
「ごめんね、父さん」って。
いやぁ〜、
こういうところ、
ウルッときますね。
これってある意味では
「水戸黄門の呪縛」から逃れえた
ドラマだと
ワタシ思うんですけど。
B級故に
異端の血が流れてるんでしょうか。

「世界で一番熱い夏」と「生きるための情熱としての殺人」、
なんだか対照的
というか、
考えさせられる
金曜の2本のドラマですね。
でもナイターがあると、
ダブんだよな、この2つ。

(AUGUST.31)


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