Vol.73

第2章から始まる期待のドラマ「アンティーク」


岡田惠和さんのことは
このコラムでは何度も書いているので、
今回は繰り返しが多くなるかも知れないけど、
でもやっぱり
ちょっと書かせて。
だって、
これが新しいピリオドの
始まりになるかも知れないんだから、
この「アンティーク」が。

とりあえず、さかのぼるのは、
「彼女たちの時代」。
これ、岡田さんの代表作ですよね。
深津絵理さん、水野美紀さん、中山忍さん
三人の女性を中心にした
自分探し系の物語で、
いろんなところで、
すごく評判よかった、
ていうか
評価が高かった、と思います。
賞とったりとか。
このドラマって
なんていうか、
岡田さんが
作家としてやりたいことを
ストレートに出し切ってみた、
思い切りやってみた
という作品だったと思うんですよ。
もちろん、
主役の三人の“せっぱ詰まり具合”もそうだけど、
印象的だったのが
椎名桔平さん。

ワタシは当時からもちろん
岡田作品のファンだったんだけど、
ひそかに“挫折の岡田”と呼んでいて、
なぜかっていうと、
岡田さんのドラマには、
社会の中で、現実を前にして、
挫折したり、傷ついたする人たちが
よく登場していて、
しかもそういう人たちに優しくて、
ワタシはそれが
とても好きだったのでした。
たとえば
「ビーチボーイズ」の二人
(反町隆史さん、竹野内豊さん)
もそうだし、
「ランデヴー」の
田中美佐子さんもそうだし、
「ドク」の椎名桔平さんもそうだし。
その椎名さんが、
この「彼女たちの時代」では
いくところまで行っちゃってる。
最終回、発狂寸前でさまよっているところを
奥貫薫さんの奥さんに引き戻されるんだけど、
そういう意味でも、
この「彼女たちの時代」は
ひとつの到達点だった
と思いますね。

で、次はどうなるんだろう、
と思っていたら、
「天気予報の恋人」。
これは、
言ってみれば
リバウンドみたいなもので、
職業作家として、
こういうこともできるんだよ。
というところに
一度戻ってみた、
ということだと思うんですよ。
(ご本人がそう仰ってました。)

で、その後が
「ちゅらさん」。
当たり前ですけど、
これ、NHKの朝ドラですから、
いろんな意味で、
かなり違う。
長さも違うし、
視聴者の年齢層も違う、
それから“文体”だって
違ってくるのだそうです。
たとえば、朝はみんな忙しいので
ラジオドラマのように
なるべく台詞でわかるようにしておく、とか。

だから、
正しくみれば、
これが岡田ドラマの第2章の始まり
になるはずなんです。
この「アンティーク」が。

で、
まだ始まったばかりなんだけど、
なにが違うんだろう。
っていうと、
まず、
立派に社会復帰してる、
椎名さんも滝沢秀明さんも藤木直人さんも。
今まではだいたい、
挫折して、立ち直るまでの話でした。
「ビーチボーイズ」にしても
現実から逃げてきた二人が
癒されていく話、
で、ラストで社会復帰していく。
でも今回は、
第二の人生を始めるところから、
始まってる。
一歩前進した感じですね。
しかもこのお店、
椎名さん自ら取り仕切ってるのが
いいですね。
マイク真木さんも、岸田今日子さんも
桃井かおりさんもいない。
前向きですね。
これ、
原作があるようなので、
どこまでが岡田さんの
オリジナルなのか
わからないですけど、
なんか、
新しい感じがします。

で、
もうひとつ感じたんですけど、
なんか、
親切になりましね、
観る人に対して。
以前の岡田さんは、
なんていうか
“言わなくてもわかるでしょ”
っていうところがあって、
そこがとっても
好きだったんですけど、
このドラマでは、
“わかるとは思うけど、
ちょっとだけ言っておきました”
みたいな。
なんか
そんな感じがするんだけど、
気のせいかなぁ。
「ちゅらさん」を経てきた
せいかもしれないし、
演出の本広克行さんの
せいかもしれないし。
まあ、
それって、
食べてみたら
「あ、フカヒレが入ってる、ウフッ」
って思うか、
最初から、
「フカヒレ入り!中華饅」
って書いてあるか、
の違いみたいなもんでしょうか。
どっちでも同じかもしれないけど、
ビジネスとしたら、
後者の方が
いいんでしょうね、
きっと。

それにしても、
第2話のエピソード、
よかったなぁ、
“挫折”した人に優しくて。
これって、
原作にある話なんでしょうか。

(OCTOBER.19)


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