Vol.74
“桜”と“ヒカル”はそれぞれの道を行くか「スタアの恋」
よ、よかったなぁ、泣けたなぁ、
「スタアの恋」の第3回。
とくに後半、
あのホテルのシーン。
ホテルで二人っきり、
だっていうのに
天然無邪気で素直な
ヒカル子(藤原紀香さん)と
思わず励ましちゃったりする
“いいひと”草介(草なぎ剛さん)。
その不思議であったかい関係。
翌日の記者会見のシーン
ヒカル子の中に、
草介さんがすっと入り込んでくる瞬間。
だってですよ、
あの不躾な質問をした記者に言う台詞、
「バカという人がバカなんです。
家に帰るまでは遠足なんです。」
ク〜〜〜ッ
この台詞で泣かされるんだから、
まいりました。
アマいと言われようが、
こういうドラマが好きなのよ、
ワタシは。
とにかくこの一連のシーンは、
「やまとなでしこ」のバスターミナルのシーン
(小野武彦さんの“父ちゃん”を見送るシーンです)
に迫るくらい
好きなシーンです、ワタシには。
やっぱりこのドラマ、
「やまとなでしこ」の
“続編”みたいなものじゃないですか。
かたや
桜子さん(松嶋菜々子さん)と欧介さん(堤真一さん)。
かたや
ヒカル子さん(藤原紀香さん)と草介さん(草なぎ剛さん)。
(しかも筧利夫さんが
同じような役どころで出てますね。)
で、ともに、
プロデューサー岩田裕二さん、
企画石原隆さん、
脚本中園ミホさん。
ただし、
演出だけは、
「やまとなでしこ」が若松節朗さん、
「スタアの恋」が鈴木雅之さん。
なんかいきなり
(スタッフの名前なんか並べて)
マニアっぽくてごめんなさい。
でも今回はちょっと鈴木雅之さんについて。
鈴木さんって、
ドラマファンならご存知の通り、
とても特徴のある演出をする人で
たとえば
台詞をしゃべってるときに正面からアップで撮ったり、
周りの人がいっせいに振り返ったり、
っていう
様式的というか
舞台っぽい演出が得意で。
これってなんていうか
コメディタッチ
って言ったらそれまでなんだけど、
なんていうか、
ドラマそのものを異化する、というか
これはリアルな自然の出来事ではなくて、
お話なんですよ、って
そう、
わかりやすく言うと
“お話化”
って言うといいんでしょうか。
(って今考えたんだけど)
脚本との関係で言うと、
脚本をいったん
お話として解釈し直してしまう
ようなところが
あると思うんですよ。
そのあたりが、
たまに見かける
“鈴木雅之風”演出と
似て非なるところで、
やっぱり“本家”は
けっして他の人に真似できない、
完成されたスタイル、
カタチだけじゃない!
ですよね。
ただ、こういう演出って、
企画や脚本との相性で
ハマったり、ハマらなかったり
すると思うんですよ。
なんていうか、
お話っぽい企画、お話っぽい脚本には、
ドンピシャ。
そう、たとえば
「まだ恋は始まらない」とか
「王様のレストラン」とか
「成田離婚」とか。
たとえば「成田離婚」--
まあ、
シチュエーションコメディー
って言ってしまえばそうなんだけど、
最初に
“離婚”を
ドン!と出してきちゃうことで、
夫婦ってなに?
って問いかける
そういう仕掛けになってるじゃないですか。
“お話化”することで、
そのへんが分かりやすくなってる。
吉田紀子さんの脚本も、とっても合ってた。
だから、鈴木演出じゃない回は、
なんていうかドラマそのものの解釈が
ぜんぜん違ってて、
なんていうか
シャレのつもりが
シャレになってない
みたいな。
なんだかなぁ
って思ってしまいました。
話、長くなってしまって
すいません。
で、
今回の「スタアの恋」。
鈴木雅之さんがチーフなんだけど、
なんと、
ワタシがよかったぁ〜っていう
第3回はちがうんですね。
村上正典さん演出。
(第1回、2回は、鈴木さん)
もちろん村上演出も
鈴木演出を踏襲しようとしているみたいだけど、
(たとえば二人のデートに
いちいち野次馬が取り囲んでいるところ、とか)
でも、やっぱり後半の、
ホテル〜記者会見は、
脚本のよさを素直に活かした、
しっとりとした演出でした。
これ、
正解だったと思う。
前にも書いたけど、
中園さんて
女の人のチラッと見せる
いじらしさ、とか、
可愛らしさ、を見せるのが上手ですよね。
今回も
ヒカル子さんのキャラクターが魅力的。
それから、
細かいところだけど、
男言葉を効果的に使ってました。
ホテルでの台詞
「私はみ〜んなに気を使われ、
特別扱いされてる、そんな生徒だった
・・・・
それは今も同じだよ」
(「やまとなでしこ」では
桜子さんが欧介さんに言ったでしょ、
「風邪ひいちゃうよ」って、
あれ、耳に残ってるんですよねぇ)
こういうきめ細かさって
鈴木演出だと
どう出てくるんだろう。
なんて思ったり。
と言うわけで、
第3回まで来たところで、
どうやら「やまとなでしこ」とは
違った展開になっていきそうな
「スタアの恋」。
いろんな意味で
要チェック、
でしょうか。
(なんちゃって、エラソーなワタシ)
ところで
「ブタコケ」て言葉、
ホントにあるの?
業界では。
(OCTOBER.26)
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