Vol.82

なんで視聴率よくないの「さよなら、小津先生」
中だるみなんか吹っ飛んだ「スタアの恋」

連続ドラマで
いちばん面白い回は
第何回目で、
いちばん面白くない回は、
第何回目でしょうか?
まあ、
そんなこと一概に言えるわけないんだけど、
理屈で考えると、
いちばんおもしろいのは、
第1回目。
数ある新番組の中から、
選んでもらわなくちゃならないから。
で、いちばんおもしろくないのが
最終回。
もう来週は観てもらう必要がないから。
って、これ、
ワタシが勝手に考えた理屈だけど、
前者はともかく、
後者はけっこう当たってる、
ときがある、
と思うんだけど。
もちろん
当たってない時の方が、
うれしいけど。

まあ、そういうわけで、
今週はいろいろ最終回。
今クールの
マイベストワンは?
っていう話です、今週は。

今クール、
ぜったいよかったのが
「さよなら、小津先生」。
へたをすると
ちょっとクドい熱血教師モノ
になりがちなところを、
(ま、実際、内容はそうなんだけど)
ググッと抑えて
ちょうどいい火の通し加減に
したところが、
なんともよかったです。
途中、
「スタアの恋」が
どうも煮え切らなくて、
グツグツしてたときも
こちらは
コンスタントにウルッとさせてくれて。
そういう
視聴者を裏切らないところ
も、一ドラマファンとして
うれしかったんで、
今クールのマイベストワンに、
決まり!
って思ってました。
で、
最終回。
あいかわらずコンスタント
予想通りの展開、
まあ、ちょっとサービスしすぎかなと、
ちょっとフランベして
見せ場つくったりして。
でもまあ、いいかな、と。
マイベストワンはこれでしょう、
って思ってました、
「スタアの恋」最終回を観るまでは。

う〜ん、
ほんとに見事。
最終回だから
気を持たせたあげく
ラスト5分でハッピーエンドにして
落とし前だけつけとこう、
なんて
これっぽちも考えてない。
いきなり婆さんですよ、
桐島ヒカル子(藤原紀香さん)が。
最終回にして、
どうぞ視聴者の皆さん楽しんでいってね、
っていう、
ヒネリのきいた入り技
からして引き込まれました。

それでもって
あの劇中の映画のワンシーン。
ヒカル子がしがないメイドで
おそらくはご主人様から
愛の告白をされる、
という役。
つまり現実と立場が逆転しちゃう。

主人「その椅子に座る人は、
私の妻になる人です。」
メイド「めっそうもない、
何をおっしゃってるんですか。
あなたはご自分が誰だか
ご存知のはず。
私も自分が誰だか知っています。
どんなにお慕いしても
私には手のとどかない存在でであることを
十分承知しています。」
(中略)
メイド「その言葉を待っていました。
・・・あなたを愛しています。」

このシーン、
なかなか金田中監督(森本レオさん)のOKがでない。
で、
監督は言う。
「あなたは、
女優である前に
桐島ヒカル子という
ひとりの女性なんです。」
で、
ヒカル子は
次のテイクで、
この台詞を
スタジオにきていた草介(草なぎ剛さん)に向かって言う。
「あなたを愛しています。」
でOK!
つまり、
このときスタア桐島ヒカル子から
ひとりの女性にもどって
草介と向かい合うことができた
というわけですね。
ってついつい
牛のように反芻してしまいました。
で、この
締めくくりの大仕掛けを
もう最初の頃から用意してた
ってことですよね。
だってずいぶん前から、
金田中監督
次回作は椅子の映画を撮る
って言ってましたよ。

それから、
結婚式のシーン、
「異議あり!」
って最初に立ち上がる
麗子ちゃん(安西ひろこさん)。
と、牛山さん(古田新太さん)。
今までの二人のキャラ、
全部、ここで生きてくるじゃないですか
このときのために
この二人、
キャラを磨いてきたんじゃないかって思うくらい。

もうほんと、
言い出したらきりがないけど、
今までの集大成
っていうか
オセロの最後の1枚をパチンとおいて
もくろみどおり、
パタパタと全部白にしてしまいました
いう感じの
最終回、すっごくよかったぁ〜。
今クールのマイベストワンは
「スタアの恋」
ということで。

それにしても
草介のプロポーズ。
「返事は今じゃなくてもいいです。」
言うかぁ、ふつう、
主人公が、
最終回のクライマックスで。
ほんとに草介らしいんだから。
っていうか
中園さんの細やかさ、
でしょう。
ほんとに
フランベとか
しないんだから。

(DECEMBER.21)


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