Vol.84

あけましておめでとうございます。
見逃さなくてよかった「夫婦漫才」

その昔、
「ブラザー・サン・シスター・ムーン」
っていう映画があって
今となっては、
まあ、ある意味
カルトな映画かも知れないけど、
このとき誰かがこんなこと言ってました。
「悪人を描いた映画はたくさんあるけど、
聖人を描いて成功した映画は少ない。」
で、このドラマ
「夫婦漫才」って、
つまり妻を一筋の男の話なんだけど、
これ、すっごいよかった。
夫婦モノっていったら、
普通はすったもんだあって、
まあ、有り体に言えば
不倫とか、離婚の危機とか、
すれ違いとか、誤解とか、
いろいろあって、
最後はやっぱり君が一番だと、
なるじゃないですか。
あの名作「親愛なる者へ」も
そんなでしたよね。
でもこのドラマ、
最初から最後まで、ゾッコン。
時代は戦時中から昭和晩年に至る
激動の時代だったり、
話の大筋は、
長屋住まいの夫婦が
漫才で成功するまでの波瀾万丈の人生
だったりするなかで、
夫の妻への気持ちだけは変わらない。
そんな当たり前のことに
感動させてくれる
ってところが
すごくいいなぁ。
いやぁ、見逃さないで良かった。

まあ、そもそも、
ワタシ的には“タイプ”ってこともあるんだけど、
こういう、
なんていうか
語り口、っていうんでしょうか。
たとえば冒頭、
道頓堀川にかかる橋の上、
老人(男)が車椅子を押してくる。
車椅子に乗っている方の老人はどうやら女性のよう。
男は川の見える位置に車椅子を止め
自分もそのとなりに椅子を並べて座る。
その後ろ姿に、ナレーションがかぶさる。

「まあ、これはね、
長いようなんだけど短い話です。
人が生きるということは、
まあ、長いようで短い。
うかうかしてると
あっと言う間の出来事ですわ。 いちおう小一時間、
時間もらえるらしいから、
手短かにしゃべりますわ。
はよせんとこいつももたんやろし。
ガンでんのや。
もう聞いたときワテも『ガーン!』でした。
(笑)えろすんまへん。」

もうこれで
掴まれてしまいました。 最初からこの調子で、
タンタンとしてる
というか
ヒョウヒョウとしてる
というか。
こんな調子で、
夫婦の出会いとか
人生の節目とかが描かれていく。
なんかこう
大袈裟ぶらないところが
いいですよね。

それにこの話、
大阪を舞台に漫才を扱いながら、
芸の話がぜんぜん出てこない。
この夫婦が漫才を続けるのは、
夫にとっては
妻の笑顔が見たいから、
妻にとっては、
子供を大学に行かせたいから、
漫才を芸としてきわめよう
みたいな話はこれっぽっちも出てこないところが
いい。

こういう
なんでもないところで、
グッとこさせる語り口、
好きだなぁ。
こういうのって、
やっぱり
キャスティングも大きいですよね。
花紀京さんの語り
甲本雅裕さんと中山美穂さんの夫婦漫才、
それから
夢路いとしさんもいい味出してました。
ネタばれになるから
言わないけど、
ラストも泣かせますねぇ。
原作・脚本・演出の
豊川悦司さん、
第二の北野武、
でしょうか。

それにしても
途中JTのCMで出てくる
あの帽子の人、
甲本雅裕さんに似てる
って思ったの、
ワタシだけ?

(JANUARY.6)


back





mail to: ueno-no-panda@geocities.co.jp