Vol.85

アレが入ってる方のモンブラン「初体験」

たとえばこのドラマを
誰か他の人に勧めるとき、
何て言えばいいんだろう。
メチャおもしろいさわやか系ラブコメ
でもないし、
芸術祭参加のコッテリ系人間ドラマ
でもないし、
たとえばこんなふうに言うしかないんだよね、
「う〜ん、
なんていうか
うまく言えないんだけど、
すっごい好き
なんだよね
ワタシ的には。
ていうか、
真ん中にマロングラッセの入った
モンブラン?」

まだ第1回を観ただけだから
なんとも言えないんだけど、
「初体験」
ってこれ、
タイトル通りのラブコメ
になる予定だったんだと
思うんですよ。
高梨真智(水野美紀さん)は
27歳にしていまだ処女。
はやく初体験をしたいと焦ってる、
そこへ王子様のような素敵な男性が現れて・・。
ってまあ、
たしかにその通りの展開になりそう。
でも注意してみると
もうちょっと違うものが入ってる。
真ん中あたりで出てきた
真智の台詞〜ナレーション
「相手がほしいとか、結婚したいとか
そういうんじゃなくて、
大人として、世の中でね、
仕事したりとか、誰かと会ったりとかいうときに、
いまいち自信が持てないっていうか。
(中略)
結婚はしたくないの、
仕事はおもしろいし、充実してるし、
でも時々思うんだよね、
これだけって?
私の人生これだけ?
充実してるからって、
仕事だけで生きてていいのか。
(中略)
つまり私は、
昨日までの私を
捨てたいわけ!」
だから、
彼女が初体験をしたいのは、
憧れやミエや世間体じゃなくて、
自分のカラを破りたい、
っていうことでしょ。

それから、
フサちゃん(藤木直人さん)だけど、
やっぱり
ただの“憧れの王子様”じゃない。
なんていうか、
少女時代に誰もが心に持っていた、
ピュアな何か
なんだと思うんですよ。
だから
クラス会で飲み明かした翌日
学校の裏山の登った三人は、
(水野さん、坂井真紀さん、篠原涼子さん)
一瞬、真顔になって、
叫ぶんですよ、
「フサちゃーん!」って。
あ〜〜
よかったなぁ〜、
あのシーン。

というような
ピュアな部分(=マロングラッセ)を
包み込むように
全体としては、
正当派のラブコメ(=モンブラン)
として
品よく創ってる。
けっこう構成も凝ってるし、
真智がみんなの初体験の年齢を聞きだして
落ち込んでくところなんて、
テンポの良さに思わず笑っちゃったし、
逆に初体験の年齢を聞き返されて答に窮し、
時計を見ながら
「19、(カチッと針が動いて)じゃなくてハタチ。」
なんてニクイ小技が楽しいし、
音楽は今どきのカフェっぽい
フレンチなボサノヴァ風だし、
さりげなく
サガンの「悲しみよ、こんにちは」なんかが
台詞に出てくるし、
なんとなく
小洒落たフランス映画の趣き
ですね。
好きだなぁ〜、
こういうの。

とくに、あ〜音楽、いいな、
と思ったら、
中西俊博さん、でした。
アコースティックがブームになった84年に
アルバムデビューしたヴァイオリニストで、
まあ、元祖癒し系、でしょうか。
自ら15枚のアルバムを発表する一方、
作曲家、編曲家として、
多くのアーティストに楽曲を提供し、
CFやテレビ番組の音楽も手掛ける才人です。
(ドラマでは「お見合い結婚」「神様のいたずら」など)
こういう方を起用するあたりにも、
なんていうか
「こういうドラマにしたい」
が見えてきますよね。

ところで、
公式ホームページでは
たとえば
真智のキャラクター
「憧れの獣医になったものの
仕事はおもったほど楽しくない。
そして、気がつけば27歳にして処女。
『世間体』と『ミエ』のため、
早く卒業したいと思っているのだが・・」
ってなってます。
これ、
さっきの台詞とちょっと違いますよね。
ということは、
企画の段階では入ってなかったんじゃないかな、
マロングラッセは。
仕込んだのは、
きっと、
脚本の神山由美子さん
でしょう。
第2回からは、
“生身”のフサちゃんが出てくるようです、
う〜ん、
どんな感じになるんだろう。
期待大です。

P.S.
チラッっとしか映らなかったけど、
少女時代の篠原涼子さん、
クリソツ!
じゃなかったですか!?

(JANUARY.11)


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