Vol.90
新ジャンル、笑える難病モノ『木更津キャッツアイ』
「海図のない旅」が
求道的正統派ラーメンなら、
「木更津キャッツアイ」は
さしづめ
じゃんがららあめん全部入り
でしょうか。
木更津を舞台にした、
まあ一言で言えば、
青春ドタバタ群像モノ
なんだけど、
東京以外の人には
この木更津っていうのが
どういうポジショニングなのか、
わかりにくいかもしれませんね。
東京から特急で1時間弱。
しかも神奈川でも
都下でもない、千葉。
まあ、ひとことでいうと
ダサ・・
っていう共通認識かと。
しかしそれにしても
騒々しいドラマで
このテンションについていくのは
けっこうたいへんス、
30過ぎのドラマファンとしては。
しかも
騒々しいだけじゃなくて、
野球のオモテ・ウラみたになってて、
同時進行してる“ウラ”を
あとで巻き戻して見せる趣向
になってるもんだから、
わかりにくい、わかりにくい。
途中で
アレ?って思うところが
いくつかあって、
最後になってようやく
なるほど、
と納得
(できるかどうかはしらないけど)
するようになってる。
ドタバタモノとしては、
それはそれで面白いんだけど、
このドラマの
ほんとに面白いところって
難病モノ、
しかも不治の病、
ってところですよね。
主人公のぶっさん(岡田准一さん)は
末期ガンで長くて半年の命
って宣告されちゃうんだけど、
(で、残りの人生、
悔いを残さないように
好き放題生きたい、
とか言って、
怪盗団「キャッツアイ」を結成するんだけど)
まわりのみんなも
なんか実感がない。
よくある難病モノドラマみたいに
ドラマチックになったり
深刻になったりしないで、
いつもどおり
バカやってる。
で、ときどき
「で、来年は」
みたいな話になると
ぶっさんがボソッと
「じゃ、オレだめじゃん」
で、一瞬シラっとして
気まずい空気。
この“間”が可笑しくて、
いつも、笑っちゃうんだけど、
現実ってこんな感じかな
とか思うんですよ。
以前に“難病モノは
リアリティがないからちょっとね・・”
みたいなこと言いましたけど、
もしもまわりに
難病の人がいたら、
まあ、こんな感じなのかなと。
こういう
ドタバタの中に垣間見える
ペーソスっていうんですか、
可笑しくて、ジンとくる、
みたいなのって
宮藤官九郎さんならでは
ですよね。
一見、ド派手な創作料理みたいだけど
食べ進むうちに
う〜ん、出汁が効いてる、
みたいな。
とくに、アレ
いいですよね、
“普通って書いたボール”。
この一点だけで、
もう、買い!ですね、
ワタシ的には。
前作の
「ロケットボーイ」でも
宮藤さんは
小林くん、鈴木くん、田中くん、
“普通の人たち”を描いてました。
今回も、
シチュエーションが、
どんどんエキセントリックになっていく一方で、
みんな“普通”でいいじゃん、
とか言ってそう。
そういう意味では、
この「木更津キャッツアイ」、
「池袋ウェストゲートパーク」の続編、
というよりは、
むしろ
「ロケットボーイ」の続編
って感じがします。
「ロケットボーイ」のときは、
こんな青春モノ、照れくさいよ、
っていう宮藤さんを
高井一郎プロデューサーが
説得して書いてもらったそうですけど、
この「木更津〜」は、
宮藤官九郎的青春モノ
なのかも。
ナンシー関さんが
あるコラムで、
「今、最も深読みされ、
語られ、
注目される人物のひとり
であることは
間違いない
宮藤官九郎」
って書いてたけど、
もしかして
コレも
深読みか?
(FEBRUARY.15)
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