Vol.91

堤幸彦と村上春樹は井戸の底『トリック2』

突然ですけど、
堤幸彦ファンと村上春樹ファンて
けっこうかぶってる
気がするんだけど
どうなんでしょう。

堤幸彦さんといえば、
新聞のテレビ欄に名前が出る
数少ない演出家の一人なわけだけど、
それってまあ、
それだけ人気があるということだし、
それだけ個性的でもある、
ということは間違いないわけで。
たとえばあの「ケイゾク」の
カルトな盛り上がり方、
凄かったですよね。
TBS行くとグッズとか
いろいろ売ってたり。

で、その堤幸彦さんと
村上春樹さんのどこに共通点があるの?
っていう話なんだけど。

キーワードのその1は「失踪」。
村上春樹の登場人物もよく失踪します。
突然いなくなっちゃう、
で、主人公はその行方を追う
ってところから物語が始まる
っていうパターン。
もちろん
堤作品もよく失踪します。
まあ、だいたいが事件モノだから
当たり前かも知れないけど。

でキーワードその2、「宗教」。
「ケイゾク」とか「トリック」には、
よくインチキ宗教の教祖が出てきますよね。
で、一方村上さんと言えば、
例のオウム事件にとても関心を持ってる。
ていうより、
日常世界とその隣にある闇みたいなもの
として。

ということで出てくるのが
3つめのキーワード
「閉じた空間」。
堤さんは「映画ケイゾク」について
こんなことを言ってます。
「脚本づくりの段階で、
『島』というバクゼンとしたコンセプトが
まずあった。
閉塞感、密室感を持っていること、
脳内の幻覚なのか現実なのか
よくわからないラストシーンに対して
効果的であること。
そのすべてをあわせもつ空間が
『島』なんだと。」
これってたとえば
「羊をめぐる冒険」が
北海道の牧場に行き着いたのと
なんか似てません。

なんてまあ、
今回は文芸時評風に(笑)
ちょっと挙げてみただけなんで、
あまりつっこまないでくださいね。

堤幸彦さんっていうと
だいたいはその
独特な演出が話題になることが多くて、
それ自体をネタにした
「堤幸彦研究序説」とかいう
ビデオまであって。
まあ「トリック2」(エピソード1,2)の
撮影風景なんかもチラッと見られて
(仲間由紀恵さんオチャメ)
それはそれで
面白いんだけど、
なんていうか
堤作品における広角レンズの効果がどーの
とか
目線詰めなどの独特なトリミングがどーの
とか、
いちいちうるさい
マニアック(笑)なファンを
笑ってるところがあって
ちょっと反省
って感じでした。
まあ、寿司屋に行ったら、
この店の酢飯は赤酢を使用してどーの
とか
包丁の入れ方ひとつでマグロの味がどーの
とか言ってないで
はやく食えっ
って感じですよね。
で、このビデオの最後、
こういう手法なんてものは
真似しようと思えば誰でもできるんで、
要は堤監督にしかできないセンスなんよ、
という結論で
シメているのでした。

う〜ん、考えてみたら
ワタシ的に、
「ケイゾク」で
いちばん印象に残ってるのって
第8話で柴田(中谷美紀さん)が
ラブホテルから抜け出して
夜明けの新宿を走るシーンなんですね。
(覚えてます?)
夜が明ける寸前の新宿の空って、
なにかしら異次元な感じ。
そう、深い井戸の底から
見上げてるような感じ。
「ねじまき鳥クロニクル」
にそういうのがあったでしょ、
井戸の底に閉じこめられちゃう話が。
なんか
そういうところの“センス”に、
堤作品の本質
みたいなものがあるような気が・・。

って今回は
「トリック2」の話にならないですね(笑)。
え〜と、今のところ、
これ、エピソード3まで放送してる
わけだけど、
ワタシ的には、このエピソード3の
人面タクシーの話がいちばん好き。
ていうか、
いちばん堤幸彦らしい、
って思いました。
だけどこれ、
演出は木村ひさしさんで、
堤さんじゃないんですね。
ぜんぜん違和感ない、
どころか堤幸彦以上に堤幸彦的。
S・スティットのアルトが
C・パーカー以上にパーカー的に聞こえる
ようなもんでしょうか。
(わからん話をするなっつーに)

う〜ん、
今週はなにが言いたいんだ?
ワタシは。

それにしても
このエピソード3を書いた太田愛さんって、
ワタシ的にはもっと見たい脚本家だし、
もっと活躍していいんじゃない?
って思います。
がんばってほしいものです。

(FEBRUARY.23)


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