Vol.98

コクはあるけどキレもある「天国への階段」

ワタシはビールの味なんて、
よくわからないんで
何飲んでも
おんなじなんだけど、
まあビールの場合は
コクがある
っていうのは
当然、いいこと、なわけです。
ところが
ドラマの場合だと、
このへんが難しいところで、
コクがある、
っていうと、
見方によっては、
まあ、
重たい、暗い、うっとうしい
ととる人もいて、
一概に“いいこと”
とは言えないんですよね。
まあ、そのへんが、
テレビドラマの
おもしろいとこだと
ワタシは思ったりするんですけど。

で、この
「天国への階段」。
もう典型的なコクがあるタイプ
ですよね。
ストーリーは、
白川道原作のベストセラーだそうだから、
すでにご存知の方もあるかも
しれませんが、いちおう・・・
ベンチャーからたたき上げた
カリスマ資産家 柏木桂一(佐藤浩市さん)は
政界進出を企む。
それは、かつて父親を自殺に追い込んだ
代議士江成(風間杜夫さん)
に復讐するため。
しかもその当時の幼なじみが
今は江成の妻(古手川祐子さん)になってる
っていうんだから、
もう、ドロドロの愛憎劇。
他のキャストも
津川雅彦さん、森本レオさん、古尾谷雅人さん、加藤雅也さん
もう渋い、渋い。
つい“旬の美味しいところ”を
はめておきたいようなところにも、
本上まなみさん、中村俊介さん・・
う〜ん、
妥協がない
と言いましょうか。

で、初回は時間延長だったんですけど、
いや、ほんと、
引き込まれました。
ただコクがあるだけじゃないですね、
なんていうか
テンポのいい展開が、
深みのある、
しかも複雑な内容を
重くなく見せてくれる感じ、
う〜ん、
なんていうか、
柏木と江成の対決を軸にして、
過去の殺人事件の謎、
その被害者の息子(中村俊介さん)、
江成の娘(本上まなみさん)、
柏木の妻(大塚寧々さん)のエピソードが
クロスワードパズルのように交錯する
華麗なフットワーク
とでも言うんでしょうか。
初回だから、
回想シーンを多用してたりするけど、
そのへんも
けっこう単純じゃなくて、
たとえば
競馬場にいる柏木と
自宅で自殺を図る妻とを
カットバックしながら、
同時に過去の幼なじみとの思い出や
父の自殺なんかを重ねる
ミルフィーユ状態。
とか、
社長室で一人物思いに耽る
柏木が回想するのは、
かつての幼なじみとの愛の告白
続いてそのシーンを回想しながら、
故郷を出て行く日のプラットフォーム、
を回想する現在の柏木、
という
マトリューシカ構造。
なんていうか、
重たいフランス料理も
目先に工夫して、
少しずつ小皿で供する
懐石風フレンチ、
みたいな。
(コクがあるどころか
バリウム級に重い
六平直政さんも
ちょっとずつならアクセント)

演出の鶴橋康夫さんと
脚本の池端俊策さんは
主に80年代に数々の名作を残してきた
コンビですが、
これは
1993年の「私が殺した男」以来の
コンビ復活。
で、池端俊策氏にとっては、
なんと
「協奏曲」以来の
民放での連ドラ
ということになるんじゃないでしょうか。
以前にも書いたけど、
ワタシはこの
“民放での連ドラ”
っていうのに
ちょっとこだわってて、
それは
コクよりも
むしろ
キレっていうか
軽さを要求される
場所だから。
そういうところで、
池端氏のような
大御所と言われるような
実力ある方が、
その技を駆使して、
軽さを求める視聴者に
応じて出してくる料理の数々は、
やっぱり
見かけだけのフレンチ懐石じゃないぞ、と。

そういう意味でも、
今回の「天国への階段」
ワタシ的には
今クールのダークホースです。
まあ、それでもきっと
「永遠の仔」みたいに
ジミだのクラいだの
言われるんだろうなぁ。
視聴率も
あんまりよくないんだろうなぁ。
それにまた、
今クールは
重量級が多いし・・。

それからこのドラマ、
選曲もなかなか“大人向け”なんだけど、
初回ラストシーン
柏木(佐藤)と江成娘(本上)が
出会うシーン、
「Do You Wanna Dance」は
なんかヘン?

(APRIL.13)


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