Vol.99

ヴァージョンアップして帰ってきた
岡田惠和脚本「夢のカリフォルニア」

別にどこかに行っていた
ってワケじゃないけど、
やっと岡田惠和さんが
帰ってきた
って思いました、
「夢のカリフォルニア」。

ここでは何度も書いたけど、
「彼女たちの時代」で
ひとつの世界を突き詰めた後、
「天気予報の恋人」で
揺り戻してバランスをとって、
その後「ちゅらさん」に
“行く”わけですが、
民放連ドラ復帰第一弾
「アンティーク」は
ちょっと企画もの
っぽかったんで、
次回作に期待、
だったワタシとしては、
この「夢のカリフォルニア」
期待通り
ていうか
期待以上で
とってもうれしい!

主役は三人の男女
さえない普通の大学生 終(堂本剛さん)
昔ブス、今モデルの琴美(柴咲コウさん)
昔マドンナ、今さえない事務員の恵子(国仲涼子さん)
この三人が
中学のクラス会で再会し、
そこでおこったある事件をきっかけに・・・
っていう展開は
しいて言ってみれば
“青春群像もの”
なのかもしれなくて、
もしかして
「若者のすべて」や「彼女たちの時代」みたい?
そういう意味では、
帰ってきた、
っていう印象なのかな。
でもやっぱり
何かがちがうぞ、
ヴァージョンアップしてる!
って思ったのはワタシだけ?
で、
このニューヴァージョン、
なんだかすごくよくて、
それだけで今クール
ワタシはうれしい!

まず、なんていうか
キメが細かい。
もちろん岡田さんの脚本は
以前からそうだったけど、
なんか久しぶりに観たせいか、
エッジが立ってるっていうか、
すみずみまでピリピリと
神経が行き届いてる感じ?
これ、全体を通してそうなんだけど、
たとえば初回、
クラス会に遅れてきた琴美が
みんなの注目を集める
っていうシチュエーション、
ここのところ、
ぜんぜん、わざとらしくなくて、
琴美の微妙な心の影みたいなものが、
すっと入ってきた感じ。
すごく小さなことかもしれないけど、
こういうことの積み重ねが
ドラマだなぁ〜
ってワタシなんかは
思っちゃうんですよね。

それからその後の
夜の教室での告白大会。
こういうところも
ともすると
クサくてジョーゼツなシーンに
なったりするじゃないですか。
でもこれは、
ギリギリそうならないように
細心の注意がはらわれていたように思います。
そういう下地があってこそ
そのあとの“大事件”が
すっと受け入れられるんだと
思うんですよね。

それから
今回注目なのが、
田辺誠一さん演じる中林倫太郎。
こういうキャラって
今までの岡田作品にはなかったですよね。
なんていうか
ヒネリが効いてる
っていうか、
真っ直ぐじゃない
っていうか。
(今までのキャラは、
根は真っ直ぐか、その裏返しか
どちらかじゃなかったですか?)
この中林さんが、
クラス会に出るという終に
「クラス会なんて自慢のし合いと、
ウソのつきっこだよ。」
なんて言ったり、
「いつかまたきっと行けますよ(海外旅行に)」
という終に、
「きみって、ほんとにつまらないね。」
なんていうときの、
あの鋭い切れ味も
なんだか新鮮でゾクッとします。
いずれにせよ、
このドラマのポイントになるキャラ
ですよね。

「夢のカリフォルニア」、
まだ2回をオンエアした段階で、
この先どういう展開になっていくのか
分からないですけど、
「彼女たちの時代」以前の岡田作品に通底する
「挫折と癒し」というテーマが、
ニューヴァージョンでは
どんなふうになっていくのか
注目です。
初回ラストの“事件”って
文芸時評風に言えば、
「あらかじめ挫折する、という結論を
目の前で突きつけられた三人が、
自分の中に内在する
“挫折の種”みたいなものに
どう対処していくか」
というテーマの提示
って言えなくもないし。
どうなんでしょう。

というふうに
ここまでこのドラマ
脚本を軸に、
いろいろ言ってきたわけですが、
ホントは演出の土井裕泰さんの力も
大きいのではないかと。
叙情派と言われる土井さんが
行間から微妙な色合いを引き出してる
っていう感じ?
岡田脚本って、
もともと“微妙”な分だけ、
演出にかなり左右されやすいですよね。
今回、
デリケートな土井演出と好相性
なんじゃないでしょうか。

なんて偉そうなこと
相変わらず言ってますが、
ホントに、
ドラマファンの一人として、
手ばなしで
ゾクゾクするドラマです。

(APRIL.20)


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