パラグアイ・新世紀を迎えて
パラグアイも新世紀を迎えました。メルコスールの時代となり隣国に座して飲み込まれるのを待つのか、それとも独自路線を打ち出し、国際社会の中でビジョン示しユニークな国として存在価値を打ち出し独自の発展を遂げることが出来るのか新世紀のパラグアイを考えてみたいと思います。
皆様からのご意見・メーリング・リストから(2001年01月01日)
ご意見・その1
パラグアイの唯一明るい話題はサッカーでしょうか。しかし、サッカーだけでは国は食べていけません。資源の乏しいパラグアイが競争が激化する国際社会で生き残るには、選択肢は多くないと考えています。パラグアイには肥沃な土壌があり、このメリットを活かすとすれば、農業しかありません。しかし、隣のアルゼンチンもブラジルも農業大国。パラグアイの農業は隣の両巨人にはまねのできない、付加価値のあるものを作ることが必要です。では、具体的にはどうしたらいいのか、ということについては今後の議論としたいところですが、ところで、パラグアイの人たちはどんなビジョンを持っているのでしょうか。本を読んでも、新聞を読んでもあまり見えてきません。いつも気になることです。
ご意見・その2
「私は、パラグアイに、道徳教育を望みます。」 道に、ゴミを捨てないこと。アスンシオンに住んだことのある方なら、おわかりでしょう。街中にゴミがあふれています。 車の窓から、テレレのお茶殻を捨てる光景をよく目にします。公園には、瓶の破片が散乱して、草原に寝そべるなんてことはできません。安心して子供たちを遊ばせられません。9月20日でしたか、青年の日の前日、高校生が道の掃除をしていました。「明日の青年の日を気持ちよく迎えよう。」ということらしいのですが、なぜ、いつもその気持ちを持てないのでしょう。車の運転において、マナーを身につけて欲しい。譲り合いが存在しない。早い者勝ち、遠慮したら負け。クラクションの嵐。おかげで、私はいつまでたっても運転できません。ゴミが無くなり、車の運転が良くなったら、パラグアイの第一印象が、ぐっと良くなること請け合い。そうそう、ロペス通りだけでなく、他の道路の整備も忘れずに。
ご意見・その3
パラグアイにはかっては雄大な森林資源が在りました。その森林は木材は切り出され、近隣国に輸出され、木材を切り出されたあとは、農地が整備され、綿花、大豆、小麦 等いろいろな作物が植え付けられ、これらの木材や農産物の輸出により、今までのパラグアイ経済が支えられてきました。
ところが、これらの経済基盤は、今、もろに崩れようとしています。 森林は過去40年で殆ど切り尽くされ、一方、当初は無肥料でも作物は良く育っていた肥沃な農地も長年の連作障害で病虫害は増加、地力は劣化し、農作物の収量は年々落ちてきております。更に人口増加に伴う土地問題で、土地無き農民の続出、職を求めて都市への進出、主要都市で浮浪者の増加、相次いで起る犯罪、治安の悪化等の諸問題を含めた2次的社会障害、今、パラグアイで21世紀に向けてやらなければならないことは、農村の諸問題に取り組み、農村の生活水準を向上し、農民の都市への進出を阻止することと思います。それには、土地改良、病虫害対策、灌漑設備等の農業技術の充実化、農業生産による工場原料の確保、農産加工を促進させ、生産物に付加価値を与えること。パラグアイで は、これから工業化が進むと思いますが、パラグアイ国内で調達できる原料は農産物しかありません。農業生産での品質と生産量を確保し、農産加工を開発することが、今後、パ ラグアイが工業化して行く第1歩といえるのではないでしょうか。
確かに、パラグアイ人の国民性では、多民族に劣るところもありますが、パラグアイ特産とはいかないまでもブラジルやアルゼンチンと肩を並べられる物を作り出すのは、決して不可能ではないと思います。マキラ産業は実現すれば素晴らしいと思います。また観光資源やその他の第三次産業も21世紀の課題として、今後、開発して行くべきと思いますが、やはりパラグアイは自前の特技である農業生産とそれに関連する第2次産業、第3次産業を重視すべきと思いますが、如何でしょうか。
このご意見に対するコメント
一言だけここで言うと「パラグアイ人気質が独立当時の国造り精神から後退して
群雄割拠の国盗り時代を経て、ストロエスネル大統領の超長期独裁政権が人々のやる気を萎えさせてしまい、結果として他力依存型の風潮を定着せしめたかなと、現在のパラグアイ人の創造性の欠如、ひいては借り物で全てまかなう知恵が生まれたのかなあ。。」 と思ったりする次第です。誰かがやって呉れるとの甘さが根底に在るように思えてなりません。この風潮は根強いと思います。
ご意見・その4
T 要約
長期的な視点は、教育分野の拡充。
短期的な視点は、現在パラグアイが得意している産業に特化し(伸ばし)、それに集中する。
以上が、私の考えです。
U 重点課題
「教育分野への投資」です。
教育への投資は、裏切りません。日本が経済発展した理由、結局は国民全体の基礎教育の質の高さがあったと思うのです。教育へ投資は、全ての分野に強い影響のある投資です。(ただし、効果が現れるのは、早くても10年先ですけど)教育の効果は、一世代遅れますけど、確実です。農業、工業全てに関係します。特にサービス産業には!!また、教育の質は、国の産業を起こすだけでなく、政治も動かします。東欧やソ連の崩壊も、国民が高い教育を受けられるようになり、他国のマスコミの情報等を直接理解できるようになったため、他国の情報を隠そうとした独裁政治家を動かしたといえると思います。
現在のパラグアイの政治腐敗は日本以上ですが、国民の教育レベルがある点を 超えたとき、政治の変化はおきるはずです。江戸時代後期、各藩で時代の動きに対応するため、藩校を設立して教育力を高め、明治維新を支えたといっても過言ではありません。昔から、「読み・書き・そろばん」といいますから。では、教育分野に必要な長期的な資金をどのように稼いだらいいのか?これが次の問題になると思います。
このご意見に対するコメント
ご指摘の教育問題は、ずばり其の通りと思います。公立学校の義務教育がまともに運営できない(国、自治体の財源不足、従って施設、先生の不足、教師のメチャ低い給与問題、校舎不足からやむなき二部教育制。)etc,理由はゴロゴロ出て来る状態で、ペルーの藤森大統領が積極的に集中して進めた、学校問題の解決にパラグアイ為政者が取り組み諸外国、国際機関に援助を求める方針を打ち出す必要性があります。GNP/Capが高いと行って一見豊そうに見えるパラグアイ が実は教育面でアフリカ諸国並みの後進性を有して居ると言っても過言ではありません。日本の青年協力隊が貢献出来る分野が広がっている理由があるわけです。
ご意見・その5
最大の問題は司法にあると思います。司法の公正さ、独立性を確保することが何よりも大切なことであると考えます。そして、公正さでもう一つ重要なのが「税関」、ここが不正の温床になっている事が問題であると思います。この二つが公正になり、機能すれば外国からの投資は増大する事は間違いありません。
次ぎに一般的な消費について考えてみましょう。例えば最低給料の2倍程度、月400ドル程度を得ている標準的なサラリーマンについて、大体において月200ドル程度の自動車のローンを抱え、携帯電話に20〜30ドルは使っていると思います。これらを含めて消費のかなりの部分は外国に流れています。これに対して外国から入って来るお金は農作物の代金しかありません。年々生活水準が向上するに従い外国製品の購入代金は増大する一方、この伸びに対応するだけの農産物の拡大、すなわち外貨の獲得はありません。従って外貨が不足するのは当然と言えます。この構造を代える努力をして行く必要があると考えます。
作者のコメント
パラグアイ人のビジョンの無さが強く指摘されています。長年ブラジルとアルゼンチンという南米の両大国の狭間、独裁政権の元で生きて来たパラグアイ、主体的に物事を考える習慣が無くなってしまったのかも知れません。その中でマキラは民間主導で出て来ているビジョンであり、画期的かつ有望であると思います。パラグアイの思考を変える引き金になればと期待しております。
農村の問題は深刻であり、外の世界と隔絶されて自活して生きていた時代は過ぎたと思います。パラグアイ農業も好むと好まざるとにかかわらずグローバリセーションの只中に放り込まれる訳です。ただ反面、ピンチはチャンスでもあると思います。多少の方策でも効果は大きいと思います。世界には人口や乾燥の問題で深刻な事態を迎えて打つ手が少なく、お手上げ状態という地域も多いと思います。そのような地域と比較するとずっと恵まれているように思いますが如何でしょうか?アイデア、やる事は沢山あると思います、後は実施するだけであると思います。
一番の問題は教育にあるという指摘であると思います。単に知識だけではなく、マナー、道徳も欠如していると。確かにその通りであると思います。しかしながら他人に対する思いやり、優しさ、親切心は他の国と比較しても充分にあると思います。しかしながら例えば英語にしてもほとんどの人は挨拶の言葉も分かりません。先生の質、教育のシステムに不充分な点が多いのでしょう。しかしこれも解決可能な問題であると思います。近年アスンシオンでは私立の学校が急速に増えて競争が激しくなって来ています。人気の学校の宣伝文句は「英語」と「コンピュータ」です。近い将来、中間層以上の教育レベルは確実に上昇するものと思います。物事のレベルを引き上げるには底辺から押し上げる方法と、上から引っ張り上げる方法があると思います。日本人は常に前者を選択する傾向が強いように思いますが、後者もそれなりの効果が、特に南米では実際的で有効な方法だと期待しています。
司法の公正さを指摘する意見も的を得ていると思います。信用されないパラグアイ、を憂う声をよく耳にしますが、とにかく正義が通る社会を目指す事が何よりも大切であると思います。悪いことをしても結果的に通れば罪の意識も持たない、というような社会の悪習を一掃する事が何も求められており、外国もこの点に注目していると思います。
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