パラグアイの政治-ニカノル・ドゥアルテ政権 (2003年 8月 15日 就任 )
この数年間、リノ・オビエド氏等の問題で常に不安定な政情で少なからず経済にも悪影響を与えて来ただけに新大統領に対する期待は大きいようです。ここではオスカル・ニカノル・ドゥアルテ・フルートス大統領の就任以降の政治情勢を追いかけて行きます。
アルフレッド・ストロエスネル元大統領、死去(2006年 8月17日)
1989年まで35年間独裁政権を敷いたストロエスネル元大統領が亡命先のブラジルで亡くなりました。15日の段階で新聞は「死去寸前」のような記事を掲載していましたが、実際には15日に逝去されていたという見方もありますが、8月15日はパラグアイの祝日であり、この日を避けて翌日16日に亡くなった事にしたのだろうというものです。
絶大なる権力で35年間もの長期政権を保ちましたが、1989年に軍部によるクーデターでブラジルに亡命し、当初はある程度の影響力がありましたが最近は余り話題になっていませんでした。亡くなって多少は話題になると思っていましたが亡命から17年の歳月が経過し、若い世代はストロエスネル時代を知らないこともあり、意外な程市民は関心を持っておらず過去の人物の死去という印象です。新聞も余り大きくは取り上げず、「独裁者の死」という感じでようやく過去の忌まわしいお荷物を下ろす事が出来たというような論調でした。
パラグアイの元独裁将軍、亡命先ブラジルで死去 93歳(CNN)
ブラジリア──南米パラグアイで35年間にわたり独裁軍事政権を敷いたアルフレッド・ストロエスネル元将軍が16日、亡命先ブラジルの首都ブラジリアで死去した。93歳。死因は、ヘルニアの手術後に併発した肺炎による心不全だった。孫のアルフレッド・ドミンゲス・ストロエスネル氏によると、元将軍は家族に囲まれて亡くなったという。死後のことについては、何の希望も聞いていなかったが、家族は元将軍を、生地のパラグアイ南部エンカルナシオンに埋葬したいと考えているという。元将軍は、1912年11月3日、ドイツ人移民の父とパラグアイ人母の間に生まれた。17歳で陸軍に入隊し、2年後には大尉に昇進。1932年にボリビアとのチャコ戦争に従軍した。48年に、南米で最年少の将軍になり、54年にクーデターで政権を掌握。その後、89年まで35年間、大統領として政権を握った。反共産主義のストロエスネル大統領は、親米政権だったが、元ナチス親衛隊のヨーゼフ・メンゲレなどをかくまったほか、宗教弾圧や大量虐殺などを指揮したとして、国際的な批判を浴びた。その一方で、国内の近代化を推し進め、各種のインフラを整備。世界最大級の水力発電所を建設し、電力を隣国に売却することで利益を得るなど、経済の安定化に寄与した。1989年、ロドリゲス将軍がクーデター後の選挙で大統領に就任し、失脚。ブラジルへ亡命後はひっそりと暮らし、近所の人も滅多に姿を見ることはなかった。

(写真:生前のストロエスネル氏)

(写真:葬儀)
オビエド元将軍帰国(2004年 6月30日)
オビエド元将軍は予告通りタム便でフォスから帰国しました。何万人かがオビエドの帰国を歓迎に出迎え騒乱状態になるなどという予想?もあったようですがテレビでは田舎から出て来た支持者の人達が空港付近で数百人居ただけであったようです。空港から直接軍のヘリで空港から直接連行されて行きました。
帰国の元司令官逮捕=副大統領暗殺を主導か−パラグアイ【サンパウロ29日時事】
副大統領殺害などの疑いを掛けられ、ブラジルに亡命していたパラグアイのリノ・オビエド元陸軍司令官(59)が29日、5年ぶりに帰国し、首都アスンシオンの空港で当局に逮捕された。同元司令官はかつての大統領候補で、人気政治家の一人。1996年のクーデター未遂事件で有罪判決を受け、98年に禁固10年の刑で収監されたが、翌年出国、ブラジルへ渡った。99年のアルガニャ副大統領暗殺を主導したとして告発されている。

(写真:帰国したオビエド元将軍-01:ABCコロール紙)

(写真:帰国したオビエド元将軍-02:ノティシア紙)
新政権発足(2003年 8月16日)
15日、新政権が誕生しました。今後5年間政権を担って行く事になります。新大統領は就任演説の中で4つの公約を掲げ、すなわち「信用の回復」「新経済モデルの構築」「汚職・腐敗との戦い」「貧困の根絶」。厳しい財政状況の中の発足で状況は決して楽ではありませんが、若い意欲的な新大統領への期待は大きいようです。

(写真:就任したニカノル・ドゥアルテ新大統領:ABCコロール紙)
ドゥアルテ新大統領が就任=パラグアイ(時事通信)
【サンパウロ15日時事】南米パラグアイのニカノル・ドゥアルテ・フルトス新大統領(46)が15日、就任した。任期は5年間。同国では1997年のアルガニャ副大統領暗殺事件以降、不安定な政情が続いており、政治の安定化と経済の復興が新政権の課題となる。
新政権発足へ (2003年 8月14日)
オビエド氏が与党赤党候補に名乗りを上げて以来、副大統領暗殺事件など、政治的に緊迫した場面を数回迎え、政争に明け暮れ、政治は混乱し、最終的には「たなぼた式」で大統領になったゴンサーレス・マキ大統領と選挙で選ばれた野党・ジョジット副大統領という変則的な政治体制となり、無能であっても大統領を辞めさすと野党に政権が移ってしまうとあって赤党は何も出来ず、対する青党も具体的な政策を何も示す事が出来ず政府はほとんど機能不全に陥っていました。
今回ようやく選挙で選出された若い大統領が就任するとあって国民、そして周辺諸国も大きな期待を寄せているように見えます。混乱の発端となったオビエド氏の支持母体は与党とは別れて別の政党を創設し、また大統領候補として善戦したファドゥル候補の支持母体も新たに政党として活動します。与党・赤党は政権政党としての信任を得ましたが与党の支持は過半数にはほど遠く、以前ほどは強力ではなく強権的な政治を行えるような状況ではありません。常に野党そして国民の厳しい批判の目に常にさらされることになります。赤党・青党の二大政党時代から多党化時代を迎え、従来のような傲慢で無責任な政治を行う事は許されない状況であり、赤党そして新大統領も現在の置かれている状況を十分に理解していると思います。今度の政権で信を失った場合には次回の大統領選挙での敗北は間違いないでしょうし、赤党は存亡の危機に立たされる事になるでしょう。
この数年、南米では大衆、特に貧困層、労働者を代表する形でチャベス・ベネズエラ大統領、トレド・ペルー大統領、ルーラ・ブラジル大統領等が誕生しました。これらの国では大衆迎合型の政策で経済は混乱しています。ニカノル新大統領は与党の候補であり、これらの政権とは一線を画すと思います。またパラグアイでは文民大統領が選挙で選ばれるようになって以来、ワスモシ大統領、クバース大統領、そしてゴンサーレス・マキ大統領と3人の大統領が誕生していますが、大統領退任後は司法の裁きを受け、国民から厳しい視線を浴びています。(今回ゴンサーレス・マキ大統領は資金疑惑があり、外国への出国が禁止される旨、新聞に出ています。)ニカノル大統領は40代の半ばであり、5年間の任期を全うし大統領を退任した後にも長い時間が残されています。前任者達の退任後の様子を十分承知していることは間違い無く、言行には十分注意し、律した生活を送ると想像しています。
ニカノル氏は与党・赤党の人であり、農民、公務員などの保守的な層を基盤にして選出されています。民営化や公務員の効率化には手を付けるのは難しい面もあるでしょう。一方では政権党の一員としてその中枢に居た関係上、経済界との太いパイプがあるでしょうし、経済を握っている企業家達の重要性も熟知しており、彼らの意向を政策に盛り込んで行く事も間違いないでしょう。ドラスティックな改革は難しいでしょうが、分かり易い実利のある手堅い政策を打ち出して来ると予想しています。
各国の要人が次々にアスンシオン入りしています。ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラの元首などの顔が見える中、最も注目されているのがフィデル・カストロ氏です。パラグアイは冷戦の時代は反共国として有名で、共産主義はご法度でした。それが現在は大統領の就任式にカストロ氏が出席するまでに変化したという訳です。
オビエド将軍が政権に色気を出して以来、色々な出来事がありましたが、選挙で選ばれた大統領が就任することで一応の決着をみます。パラグアイが汚職からある程度決別し、まともな国になることを国民だけではなく、周辺諸国も期待しているように思います。なお、日本からは政府を代表し河本英典参議院議員が特派大使として就任式に出席されます。
パラグアイ共和国大統領就任式典への特派大使の派遣について(外務省・プレス・リリース)
わが国政府は、8月15日(金)にパラグアイ共和国の首都アスンシオンにおいて行われる予定のオスカル・ニカノル・ドゥアルテ・フルートス大統領の就任式典に、河本英典(かわもと・えいすけ)参議院議員を特派大使として派遣することとした。
わが国とパラグアイ共和国は、要人往来、経済交流、文化交流、技術協力、移住等を通じ、伝統的に友好関係を維持してきており、今後とも友好協力関係を更に増進するため、今回の式典に特派大使を派遣することとしたものである。
(参考)パラグアイ共和国では、去る4月27日(日)に実施された大統領選挙の結果、最多得票数を得たドゥアルテ候補が選挙規程に従い次期大統領に当選した。
月曜日のABCコロール紙に新大統領に期待していることは?というアンケートがあり、
雇用の創造 50.6%、
汚職の根絶 14.0%、
経済政策 10.0%
治安改善 6.7%、
貧困根絶 5.5%
となっており、雇用の創造に期待が込められている事が分かります。
またアスンシオン市民を対象としたアンケートで新大統領に対して
非常に良い:7.3%、
良い 51.2%
良くも悪くも無い 29.3%
悪い 6.1%
非常に悪い 1.2%
その他 4.9%

(写真:ニカノル新大統領とフィデル・カストロ氏:ABCコロ−ル紙)
ドゥアルテ大統領が就任パラグアイ(共同通信) 【リオデジャネイロ15日共同】
南米パラグアイのニカノル・ドゥアルテ新大統領が15日、就任した。ドゥアルテ大統領は就任演説で、近年のパラグアイはエリート層が世襲的に支配してきたと指摘。「飢餓と不平等を一掃し、希望を取り戻そう」と呼び掛けた。任期は5年。1947年から続く自らの所属政党コロラド党の長期政権による腐敗体質の一掃と、低迷する経済の立て直しを目指す。就任式にはブラジルのルラ大統領、キューバのカストロ国家評議会議長らが出席した。パラグアイでは、ゴンサレス前大統領が、1600万ドル(約19億円)に及ぶ中央銀行からの国外不正送金事件に関与したとの疑惑がくすぶっており、裁判所が退任後の出国禁止を命じている。
パラグアイ、公金流用疑惑で退任する大統領の出国禁止(読売)
パラグアイからの報道によると、同国の司法当局は14日、15日に退任するルイス・ゴンサレス大統領の出国を禁止することを決めた。約1600万ドルの公金流用疑惑で、大統領の拘束を目指している検察当局の要請を受けた措置。 ゴンサレス大統領には公金流用のほか、盗難車保有や大統領府機密費流用などの疑惑が浮上、国会は今年2月、大統領に対する弾劾決議案の表決を行ったが、否決された経緯がある。
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