思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります。-11 (2012年)



2012年はマヤ歴によりますとカレンダーの終わりの年なのだそうです。変革の時代が迫っているのかも知れませんね。

思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-01 (98-2002年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-02 (2003年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-03 (2004年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-04 (2005年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-05 (2006年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-06 (2007年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-07 (2008年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-08 (2009年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-09 (2010年)
思うこと・作者の思うことを気ままに綴ります-10 (2011年)



107・世界を眺めて(2012年12月31日)
今年もいよいよ大晦日、世界を眺めて感じることを書き留めてみます。2012年12月に世界が終末を迎えるという説が広まる中、少なくともこの年末が歴史の転換点にあると言う人が多く居ます。確かに世界の政治・経済を見回しますと閉塞感が漂い近い将来大きな変化が起きるのではないかと想像してしまいます。シリアの内戦は泥沼の状況で破壊が進み多くの人が犠牲になっていますが、周辺国、大国の意向が交錯してなかなか解決は難しいようです。この他アフリカやアジアを中心に多くの失敗国家そしてその予備軍が存在し世界をより不安定にしています。特にアフリカ中央部には失敗国家が大きく広がっています。

数十年間にわたり世界をリードして来た欧米日に関しては財政通貨で完全に行き詰まりを見せています。欧州の通貨危機は持病になってしまい、対処療法で一時的に問題の先送りを繰り返していますが抜本的な解決の方向には向かっておらず今後更に問題が深刻化すると予想されています。世界をリードして来た米国は財政の崖の問題が解決できずにいます。ただこれに関しても例え解決するにしても対処的な解決にしかならず財政の悪化は更に進んで行く事でしょう。ドルという世界通貨を持つ事である程度無制限に近い状況で国債を発行していますがそれにも限界があり、今後問題が顕在化する事でしょう。日本は欧米の危機がより深刻に見える中で問題を先送りにする事に成功して来ました。公的な借金は積み上がり1200兆円もあるとの事で国債の価格が僅かに下落するだけでその大半を所有する金融機関に大打撃を与える危機を孕んでいます。新政権はインフレターゲットを2%に設定していますが金融機関が耐えうる限界の数字なのかも知れません。インフレ率をコントロールするのは非常に難しい事でこれに失敗しより高いインフレ率になりますと所有する国債の価値が下落し一気に金融危機に陥る危険性があります。国債の外国所有率が10%を超え一気に売りが増える事態も想定しなければならず財政の舵取りは一層難しくなる事でしょう。

東アジアでは朝鮮、中国も大きな問題を抱えています。朝鮮では数年前に実施された通貨切り下げの大失敗で少しは育っていた中間層が完全に破壊されてしまい、国民は新指導者に経済の立て直しを期待していたにも関わらず十分な成果を挙げられないまま一年が経過しました。幾ら独裁政権であっても国民の支持が全く無い状況では政権運営も難しくなります。一番の拠り所である軍の幹部を次々に交代させており、軍の反発を招くと難しい局面に立たせられる事になるでしょう。在日の娘で踊り子出身の夫人をブランド物で着飾り一緒に行動する姿を連日マスコミに出していますが、国民がどこまで納得し、新指導者を支持し続けるのか関心があります。全ては経済で国民の生活を多少なりとも改善する事が出来るのかその成否に注目しています。

世界の中で一番の問題は中国でしょう。建国以来、共産党の一党独裁の体制で汚職が蔓延し、それがより深刻化しているように見えます。毛沢東の時代辺りまでは党は貧民の味方で知識層、富裕層に敵対していましたが、現在は党は富裕層と結託しているのが実情です。共産主義が看板で建前は変わっていないので社会に大きな矛盾が広がっているように見えます。以前は国家が所有していた利権を民間が狙い官に賄賂を贈りその利権を獲得して利益を得ていました。公平さには問題があるもののそれなりに経済成長には寄与していたように思います。現在は官が持つ利権を官が取る、もしくは民の活動に関して官が阻害し賄賂を受け取るというような経済活動の妨げになるものが大半を占めているように見えます。共産党の建前は平等ですが、依然として農民戸籍というものがあり都市で生活する場合には人間扱いされず大きな差別を受けます。共産党に通じる一部の特権階級が大きな利益を不当に得ていると考える人が急激に増加しているように見えます。経済成長が続いている間は何とか不満を抑えられると思いますがバブルが崩壊した時にどのようになるのか想像も付きません。民主化し共産党以外の政権を認めるとなりますと国家の根本が揺らぐ事になり難しいと思います。共産党が原点に立ち返えり不正を無くす取り組みを行い国民が納得するか待ったなしの対応が求められているように見えます。いわゆる中国的な「革命」が再度起き、共産党政権が政権維持が出来ない状況になりますと民主的な国家として成熟段階にある台湾の中華民国政権が再度全土を支配する可能性さえあるのかも知れませんね、新指導者の下、共産党政権の改革に注目です。



(地図:失敗国家・2012年)



106・星を継ぐもの(2012年12月18日)
昔からずっとSF小説が大好きで沢山読みましたが、その中で一番お勧めしたい作品はJ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』です。アングロサクソン的な特有の嫌らしさはあるものの、内容特に意外性は今までで一番でした。物語は月の裏側で人が遺体で発見されるところで始まり、どう調べても全く地球人そのものなのですが数万年前に死んでいるという事実からスタートします。ミステリーや矛盾が次々に明らかになり、結論は小惑星は以前はミネビアという惑星でそこに現在の地球の月が回っていて、ミネビアでは核戦争で惑星自体が破壊され粉々になり、小惑星が形成され、月は太陽の引力に引き寄せられ落下し途中にたまたま地球があり太陽に落ちることなく地球の衛星となり要するに現在の月になったというものです。月面基地で僅かに生き残っていた人達は月では生き続ける事が出来ないので目の前にある原始の地球に向い、地球に到着後生き残った人達は今までの文明的な事は全て喪失してしまい原始の生活に戻りそこから再度文明を再構築したのが現在の人類という話です。ミネビアと地球と同じ系統の生物がいた事に関しては古代の別系統のミネビア星人が地球から原始的な動植物を持ち帰りそこから人類が発生したとしてミネビアで進化した人類が地球の生物と同系列である事を説明しています。類人猿、ネアンデルタール人までは地球で進化したとしています。着眼点、ストーリー性もよく本当にすばらしい作品だと思っています。説明はありませんが有袋類と有胎盤類が別々に進化してほぼ同じような動物に進化したのですから類人猿が存在しても不思議な事ではなく、別々に進化することは有り得ます。

最近火星の探査が進みこれに近い説が紹介されていたので興味を持っています。火星は誕生間もない頃には現在の地球とよく似た環境で大量の水が存在し海と陸があったとの事です。生命発生には海と陸がある事が不可欠のようで地球に生命が誕生した時には地球全体が海で覆われていて陸は無く一つの謎になっているそうです。その当時の火星は現在の地球に似た環境であったようで生命は火星で誕生したとする説です。先の小説では古代星人が生物を運んだとしており、誰も居ない状況で生命体が移動できるのか疑問に思っていましたが、大隕石の衝突か何かで火星から大量の隕石が飛び散りその中で地球に落下したものがあるという説明で辻褄が合うとのことでした。千年前の蓮の種が発芽する事もあるのですから隕石に含まれていた生命体が地球で活動を開始したと考えるのは自然な事です。非常に説得力があり、納得していまいます。

火星で有機物が発見されたという話もありますがもしその時代に生命が存在したとすれば大いに可能性があると思います。現在は当時と比較しますと生命体にとっては非常に過酷な火星の環境ですがもし現在まで生き延びていたとすれば地球と同系統の生命体かも知れませんね、現在行われている火星の探査に注目しています。生命の進歩は想像以上に早いものなので、もしかしてもうその時には火星で知的生物が居て、迫り来る危機の中、生物が全て絶滅するのを危惧して水に覆われた当時の地球に生命体を送り込んだのかも知れませんね。現在の環境では難しいでしょうが超古代には火星人が居たのかも知れませんね。SF小説でしばしば登場する火星人が現実のものだったと想像すると面白いですね。



(想像図:海があったとされる太古の火星)



105・映画鑑賞「ハンガー・ゲーム」(2012年04月24日)
久しぶりに映画鑑賞に行きました。観たのは「ハンガー・ゲーム」という映画で原作が大ベストセラーになり映画化され、米国で大ヒットしたSF映画という事という話を聞いてはいましたがどのような内容を知らずに行きました。あらすじは簡単に言いますと物語の舞台は未来の米国で独裁的かつ強権的な国家となっており国は首都地域によって支配されている。被支配地域12地区から毎年男女1名づつ24人が籤で選ばれ首都に集められて設定され管理された森の中で殺し合いをさせ最後に残った勝者一人には栄誉と富が与えられるというもの、これに参加させられた一人の少女を主人公として追い、延々と生々しい若者同士の殺し合いが続く殺人をゲームとして楽しむという嗜好の映画でした。

出場者の内23名は死ぬ運命にあるのですが参加者は何故か非常に冷静で、中には嬉しそうに振舞う者もあり、前日にはテレビでトーキングショウがあるのですが、どの人も動揺する様子も無いのは不思議です。実際にこのような立場になると余程の幸運が無い限り生きて戻る事は無い訳であり、死の恐怖で取り乱すのではないかと思いますが如何でしょうか?最後は主人公とその相方の男性要するに同じ地区の男女が特例として無事に家に戻るというものですが、上映時間の大半は凄惨な人殺しが続き、人が死んでいく様子がリアルに描かれている映画でした。殺し合いのフィールドは森の中ですがよく管理されているということで全国に向けて中継映像が放映され、それを皆がテレビで観戦するのです。少しおかしいと思うのは主人公の少女が木の上に追い込まれて下で数名のライバルに見張られてずっと降りられないというシーンがあるのですが、食べない事は可能ですが排便する事なく過ごせるものなのでしょうか?殺し合いはリアルですが生理現象をカットするのはおかしな事ですね。

正直、観た後の後味の悪さは今まで無いもので未だに気分が悪い状態が続いています。内容をインターネットなどで確認せずに誘われるままにのこのこと従いて行ったのが悪いのですが、このような映画がごく普通の娯楽映画として制作され、世界中にばらまかれ多くの人がお金を払って観ている現実を知る事が出来ました。ホラー映画とか殺人映画というような案内では無く大ベストセラーの映像化というような宣伝の仕方で多くの人が煌びやかな宣伝文句に釣られて見に行くと思います。日本では12年・秋の公開のようですが、解説には「冷酷な支配者層」という言葉はありますが、若者同士のリアルな殺し合いが続く映画との説明はありません。紹介されている映像も綺麗なものが多く若い素敵な男女が森の中で愛を語っているような写真が多いのです、確かに映画の一場面ではありますが、凄惨に人が死んでいる写真でも載せるべきだと思います。。もう一つ気になるのは特に高目の年齢制限を設けていないようで多くの青少年がこのような映像を観ている事です。誰でも無制限に見て良い映画とは到底思えません。

このような残酷残虐な映画は米国人好みなので非常に特殊なものかと思い調べますと何と日本でもほとんど同じようなストリーの映画「バトルロワイヤル」が制作されており、その年の興行成績第三位になったとのことです。内容はよく似ており「ハンガー・ゲーム」に対してパクリ疑惑が起きている程で、こちらは日本が舞台で戦前の体制のまま進んで大東亜共和国となっており、少し若い世代の若者、皆が顔見知りの中学のクラスメートという設定なのだそうですが同じように最後の勝者一人を決めるまで殺し合いをするというものなのだそうです。また、若者達は中学卒業までこれに参加させられるのではないかと不安を持って少年時代を過ごすという事で年齢こそ多少違いますが18歳まで不安の中で暮らす「ハンガー・ゲーム」の社会と同じです。その不安を利用して独裁者層が国民に対して締め付けを図るという事のようです。日本では当時この映画は内容が余りにも残酷過ぎるという事で国会でも取り上げられて社会問題となりその結果R-15指定を受けたのだそうです。出演者の設定が中学生という事ですが高校生以上しか観る事が出来なったというのは何とも皮肉ですね。

今回の「ハンガー・ゲーム」は興業としては大成功という事であり、また原作となった小説は既に続編が出ており、続きの映画が計画されているとのことです。興行成績が良かったのでもしかしたらハリーポッターのようにシリーズ化を狙っているのかも知れませんね。そのような事になりますと多分刺激を求めて続編はもっと過激な映像となるのでしょう。また、このような映画がヒットしますと二匹目のドジョウ狙いで同じようなグロテスクな映画が増えて来るのではないかと心配しています。また、将来は更なる刺激を求めてこのような映画も3D化されるようになり、コンピュータグラフィックも駆使して首や手が切られて血がリアルに吹き出し、客席に向かって飛んでくる様になるのでしょうね。観客はジェットコースターに乗っている時のような叫びを上げて恐怖を楽しむのでしょうか。

現世人類は20種近く存在したと言われる人類の中で勝者となり、唯一の人類として繁栄しています。これは想像ですがネアンデルタール人等他の人類は固有のトラブルが発生して滅びたのでは無く多分異なる人類間で生存競争があり、一番戦争に強かった相手を叩きのめす事に長けていた現生人類が他を滅ぼしたのでしょう。有史以来、人類の歴史は戦争の歴史です、戦いを行い人を殺すと快感を得るのでしょうか?ボクシングやプロレス等殴ったり叩いた血を出したりする興行に人気があるのも同じような快感を感じるからなのかも知れませんね。小さなミスで事故が起き大惨事になるか分からない、何時ドライバーが死んでもおかしくないような高速で自動車を走らせる競争に熱狂するのか全く理解出来ませんが、多分これも同じ理由なのでしょうか。普段は冷静で残酷な事とは全く無縁のような人も一旦「スイッチ」が入ると残虐非道な行為も平気になるのかも知れません。

戦争の無い平和な社会を築こうというお題目をよく耳にしますがこのような映画が制作され多くの人が鑑賞する状況では難しいのでは無いかと思います。また多感な青少年にこのような映画は見せて良いのでしょうか?欧米等では銃の乱射事件、日本でもナイフによる無差別殺傷事件が起きています。一旦不満を持つ普段はおとなしい若者にスイッチが入ると同じような行動に出る事でしょう、このような映画上映を放置しておきますとスイッチが入りやすくなり悲惨な事件が増えてるのではないかと心配になります。映画等の年齢制限はエロには厳しく18歳以上に指定しているものが多く、その上日本ではモザイクをかける事を義務付けています。これに対して殺人等の暴力には甘すぎるように感じます。映倫で人間同士が愛し合う行為が御法度で傷付け殺し合う残虐行為がOKなのは何とも納得出来ません。映画を見てレイプに走る人が増加するとは正直思えません。人間には性欲があり、それが自然な事であり性的事件が絶える事は無いでしょう。例え映画を見て刺激を受けて事件を起こすような人が居たとしても映画を見て無差別殺人を起こすよりはまだましでしょう。殺人欲は性欲などとは異なり自然に備わったものではないでしょうし、許されるものではないと思います。個人的にはエロに関しては制限を緩やかにし暴力に関してはより強い規制を設けるべきであると思いますが如何でしょうか。



(映画ハンガー・ゲームの一場面)

(映画解説より)
文明崩壊後のアメリカは、“パネム”と呼ばれる独裁国家へと変貌し、僅かな富裕層のみが住むことを許された都市・キャピトルが、12の地区を支配していた。冷酷な支配者層は毎年、各地区から12才から18才までの男女を選出し、森の中で命をかけた“ハンガー・ゲーム”を開催していた。死んだ父親の代わりに狩猟で家族を養っていたカットニス(ジェニファー・ローレンス)だったが、プレイヤー選出の日、まだ幼い妹・プリムローズが選ばれ、とっさに身代わりを申し出るが…?




104・距離(2012年04月21日)
距離というのは自分が暮らしている近くについては大体正しいのですが、遠い所や直接行く事が出来ない場所に関してはどこくらい離れているのか見当が付きません。最近はグーグルアース等便利な道具が出て来ましたので思い通りの2点間を計測する事が出来ます。東京から南米の中心サンパウロを一般的なルートであるロスアンジェルス経由で行く場合には半分以上はラテンアメリカの上を飛ぶと言いますがメキシコの最北の都市ティファナまでの距離はサンパウロから9,733.8キロ、東京から9,017.5キロでティファナからですと東京の方が近い事が分かります。南米に住んでいますと実感として距離感がありますが日本の人にとってはこれは意外かも知れません、この事でラテンアメリカの大きさが理解出来ます。あるテレビ局から「ドミニカ共和国の方をご存知ないですか?同じラテナメリカで近くでしょう」という問い合わせが来ました。「あなたに同じアジアの近いインドに知り合いが居るのでしょうか」と逆に問い掛けました。アスンシオン-サント・ドミンゴ5,054.0キロ、東京-カルカッタ5,139.2キロとなります。コロンビアのボコタで事件があった時には日本の友人が「大丈夫か」心配してくれました。アスンシオン-ボゴタ3,771.4キロ、東京-ハノイ3,669.4キロですので、ベトナムで事件があった時には東京の友人の安否を気にしなければなりませんね。日本の方にはラテンアメリカは一つの地域であり、内部の距離感は無いのでしょう。

ラテンアメリカに関しては距離を過小に感じている日本の方も欧州となると話は別のようです。ロンドン-パリは344キロで東京-京都364キロキロより近いのです。ドイツには多くのトルコ人が出稼ぎに来ていると聞きますが、何となく「遠くから来ている」と感じてしまいます。実際にはミュンヘン-イスタンブール1,586.6キロは東京-那覇1,533.8キロとほぼ同じ位で、簡単に行く事が出来る距離です。コソボで内戦状態になっても他の欧州諸国に波及しないのか心配されません。それに対してラパスやリマで何か起きるとアスンシオンはすぐ近くと日本の皆さんは心配されます。コソボ-ロンドン1,867キロ、コソボ-ローマ697キロです。これに対してアスンシオン-ラパス1、465キロ、アスンシオン-リマ2,513キロです。歴史でポエニ戦争というのがあります。北アフリカ現在のチュニスに拠点を置くカルタゴとローマの戦争ですがアフリカとヨーロッパであり、何となく遠いように思いがちですが599キロで、これは東京から福山位の距離です。幕末に戌辰戦争というのがあり江戸の徳川政権と長州・萩、薩摩・鹿児島との戦争ですがこちらの方がずっと遠い相手と戦ったという訳です。北アフリカと欧州の距離は近く例えばアルジェからスペインのカルタヘナまでは367キロ、バルセロナまで521キロ、パリまで1,348キロです。同じ北アフリカ、隣国はリビア、その隣りのエジプトのカイロまでは2,713キロとパリまでの距離の倍以上、アフリカ南端の南アフリカのケープタウンまでは8,028キロあります。



(地図:ティファナ-サンパウロ:距離9733キロ)



(地図:ティファナ-東京:距離9017キロ)



103・フランス(2012年03月05日)
フランスと言いますとパリ、音楽や美術等の芸術や料理やお菓子、ファッションが有名でエレガントなイメージがあり、女性に人気の国という印象があります。一方で何となく女性的な印象ががあり、ドイツや英国等と比較しますとひ弱ではないかと想像がちです。ほとんどパリだけですが、実際に数回訪問した印象は欧州の中心の国、頑固で保守的な国でありながら新しい事にも果敢にチャレンジする国という印象です。国連安全保障理事会の常任理事国であり、米英露中と並ぶ世界の大国として君臨している国家であり、ドイツと共に欧州をリードする国家でもあります。軍事力も高く兵器を世界に輸出する国もであります。歴史的には英国との確執があり、戦争を繰り返し、帝国主義の時代には世界の覇権を争った国でもあります。世界に多大な影響を与えた国である事は間違いありません。現在でもフランス語は話者は英語等と比較しますと少数ですが、国際公用語としての地位は英語と並び高く、日本の大学もほとんどの学校で英語では無くフランス語で入試を受ける事が出来ます。以前はパリではほとんど英語が通じませんでしたが最近、特に若い世代は英語を使いこなしている人が多くなっているようで、これはフランス人が以前はプライドがあり、英語を話せてもフランス語しか話さないというような人が多かったと聞きますが実質を重んじる人が増えているのでしょう。

欧州大陸全体が非常に近い存在のようで英国は海の向こうの外れに在る国という感じです。王室の結婚の場合に外国の人と結婚する事は当たり前であり、歴史を見ますと王様自体を外から入れる事も頻繁に行われていました。例えばフランス王家であるブルボン朝はフランスでは滅びましたがスペインではその子孫が現在王様になっています。これは多分、欧州の国は日本の江戸時代の「藩」のようなものでしょう、そのように考えると理解出来ます。それぞれの国が日本の藩のような感じで明治維新の廃藩置県に当たるのが欧州連合EUだと考えると実態に近いのでしょうね。

フランスはドイツと共に欧州主要部の中央に位置しています。周囲を海を隔てて英国と、国境はベルギー、ルクセンブルク、スイス、ドイツ、イタリア、スペインに囲まれ、この他にはモナコとアンドラと国境を接しています。スイスを含め国境がある国は全て域内自由通行を認めるシェンゲン協定に加盟しているので国境は全く意識されていないと思いますが、言語でフランスとしての存在を示しているのでしょう。スイスは欧州連合に加盟しておらず、通貨も独自のものを使っているのでジュネーブやローザンヌなどフランス語圏がフランスに飲み込まれる事は無いでしょうし、ルクセンブルクはドイツ語等も使われ、独自の国家として存在感があり、これも飲み込まれる恐れは無いように思います。ベルギーは既にオランダ語圏とフランス語圏に分かれてしまっており、今後フランス語圏・ワロン地域は北部フランドル地方よりも経済規模が大きいフランスへの依存が高まるのではないかと見ています。

フランスの今後を考えますと欧州の安定、特にドイツとの協調が最重要であるように見えます。ギリシア政府の財政赤字の増大から欧州はかつてない程の危機を迎え波乱含みですが、欧州連合の維持が最重要課題でしょう。自国の財政状態も決して安定的とは言えずどこまで欧州内の弱小国の面倒を見ることが出来るのか注目しています。国土は豊かで広く今後も発展の余地を残しており特に中央部は人口も少なく開発の余地があると見ています。欧州の核としての存在感は揺るがない事でしょう。南米から見ていますと余りフランスの存在を感じる事がありませんが、今後は域内でもその存在感を増して来る事でしょう。フランスの今後に注目しています。



(旗:フランスとイル・ドゥ・フランス:パリを中心とする地域の旗)



(地図:フランスの人口密度)



102・ベルギー(2012年01月28日)
ベルギーと言いますとチョコレート、ダイヤモンド、小便小僧などが思い出されますが、国際的な欧州の中央に位置するヨーロッパの中心の先進的な国というイメージであり、ベネルクス三国の真ん中にあり、周囲をオランダ、ルクセンブルク、ドイツ、フランス、海を隔てて英国と欧州を担う先進的な主要国家があり、首都ブリュッセルは国際都市、そして欧州の首都としての機能を有している欧州統合の中核都市というイメージを持っています。岩手県と福島県を足した程の広さの小国で人口は1千万人程ですが欧州の中で最も安定し豊かな国家というのがつい最近までのイメージでした。パリからアムステルダムまでは500キロ余り、要するに東京-大阪とほぼ同じ距離であり、実際に最速の特急は3時間20分程で両都市を結んでおり、この列車に乗りますとベルギーの通過時間は僅か1時間程であり、静岡県を走行している程度という事になります。王国ですがそれ歴史は新しく他の国の貴族を頼んで王になってもらい、現在の王様が6代目なのだそうです。最初の国王はギリシアからも王の就任があったのを断ってベルギー王になったそうです。その後の王家の配偶者はイタリア人、フランス人など国際的でこのような王家を敬しているという事は民族という意識が日本人等とは明らかに異なる証拠でしょう。江戸時代、将軍が薩摩から嫁をとっても不思議ではなかったのを考えますと日本全体と西欧全体が同じような感じなのでしょうね。

ギリシア国債の問題から顕在化した欧州経済危機で最初に大きな問題として出たのがベルギーに本拠を構える金融機関デクシアの破綻し、その後世界の鉄鋼不況等により経済は低迷を余儀なくされているようです。欧州統合の象徴的な国家というイメージから安定した政治経済状況であると勝手に想像していましたが、実際には国はオランダ語圏、フランス語圏、ドイツ語圏に分かれて事実上国家は分裂状況にあるのですね。長い間国家としての首相は不在であったとかでそれでも特に問題は無いと言うのは何とも不思議な話です。2011年12月に新たに決まった首相も同性愛者でイタリア移民の子供、フランス語は出来るがオランダ語は出来ないという人物であり、これで北部・フランデレンの人達が納得するのか、何か大きな問題が起きた場合には北部の同意を取り付ける事が出来るのか心配になります。北部はゲルマン系でオランダ語で勤勉で経済的に良く、フランス語は勿論英語やドイツ語等を話す人が多いのに対して南部はフランス語でラテン系で失業率は高くオランダ語を使える人は少数のようです。また首都ブリュッセルはトルコやモロッコ等から移民を受け入れたので現在では1/4がイスラム系の市民で占められているのだそうです。

欧州の危機、ユーロの危機が問題になっていますが、欧州の核に位置するベルギーが分裂の危機に瀕しているというのは何とも象徴的な話です。国境の出入りが自由化され、同一の通貨を使用している状況の中でベルギーが統一した国家として存続するには住民特に北部のオランダ語圏の人々が何らかのメリットを感じなければ難しいでしょう。欧州全体が経済危機に見舞われる中、北部は経済的にもオランダとの連携を強めて行き、立ち遅れたオランダ語を解さない南部の人達を支援する気持ちは薄らいで行くことでしょう、もしかしましたら既に気持ちは離れているのかも知れません。北部フレンデレンに島のようにフランス語話者が多数を占める首都ブリュッセルがあり、この欧州の首都とも言える都市を抱えている事のメリットがあるが故に国家の中に踏み止まっているのでしょう。欧州全体が不安定になる中ベルギーがどのような方向に向いどのような形になって行くのか将来の欧州連合に大きな影響があるだけに注目しています。

20世紀は国家が基本の時代であり、国家間の競争の時代で、自国の領土を拡大する為には手段を選ばない帝国主義の時代でした。この国家というものは人間が創造したものであり、変更可能であり、もしかしたら何時かは無くなるものかも知れません。少なくとも形そして内容は変化して行く事でしょう。失敗国家が多く在り、国家というシステムの問題が様々な形で顕在化しつつあります。アフリカの多くの国はかつては欧州の植民地でその領域を引き継ぐ形で独立し国家となった為に民族毎では無い不自然な国境線が引かれたまま現在に至りソマリアやジンバブエ等幾つかの国では国家の体を為しておらず国家は既に崩壊したと言っても良いでしょう。ただ今まで先進国では国家崩壊が起きていなかったのですが、このベルギーが国家崩壊の過程にあるので興味を持っています。同一の政治経済の最小の単位であるはずの国家は既に市民達の殻とはなっておらず、3つの言語共同体がこれに代わり、外の殻として欧州共同体が存在するので中間のベルギーという国家の殻が次第に消えかけているように見えます。



(国旗:ベルギーの三色旗)



(地図:ベルギーの3地域)



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