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食事
旅の楽しみの一つが食事ではないかと思います。ご存知の通り、イランはアケメネス朝ペルシアを初めとして、古代文明の発達した長い歴史のある国です。その間ギリシアとの攻防(マラトンの戦いが有名ですよね)、イスラム化、モンゴル人の侵攻など、周辺民族・国家との交流、交戦を繰り返し、お互いに多大に影響しあってきました。その事はイランの民族構成、公用語である現在のペルシア語の各単語の語源を見ても明らかですが、食生活からも伺い知ることができます。下記にご紹介する料理の一部には、アフガニスタン、アラビア諸国、ギリシア、トルコ等でも味や名前が似ているものが見られたりもします。ここではそんなイランの料理と、食事処をご紹介しましょう。
ただ残念ながら、外食産業が発達し、首都東京でなくても和洋中+エスニック料理が楽しめる日本とは異なり、イランでは外で食べられる食事の種類はかなり限られています。家庭料理は本当にいろいろあって、地方色も豊かなのですけど・・・イラン人は外食するより、家にお呼ばれし合うのが好きなのです。確かにレストランでひげのおじさんに給仕してもらうより、美人な奥さんにおもてなしされたほうが心地良いかもしれません。実際お料理もはるかに美味しいです。最近家庭の食卓も無国籍になってきた日本人とは異なり、イラン人は母国の料理をこよなく愛しています。
でも次に彼らが好きなのが、ジャンクフードです。若者の中にはこちらばかり食べる困ったさんも。イラン人と買い物ついでなんかに外食するとなると、ハンバーガー屋を利用することが多かったです。チャドル姿でハンバーグを食べ、瓶入りのコーラを飲んでいる義母の姿は、なんだかとてもミスマッチでした。
では話を戻して、まずお料理からご紹介しましょう。
飲み物
ザムザム: イランの代表的なコーラ。オレンジ色もある。
ドゥク: ヨーグルトドリンク。日本の物とは違い、味付けは塩で、しかも発酵の進んだヨーグルトを使用するので酸っぱい。レストランでは炭酸入りのものがでてくる。(私は時々無性に飲みたくなるのですが、日本人では好き嫌いが分かれます。)
チャイ: 紅茶。ガンドという硬い砂糖を口に含んでいただく。
ネスカフェ: インスタントコーヒーをなぜかこう呼ぶ。レストランでコーヒーを頼むと、こちらが出てくることが多いで、コーヒー党の人にはちょっとつらいかも・・・
スープ
アシェ・ジョー: 麦のスープ。レストランでもよく見る。
スッペモルグ: トマトベースの鶏ガラスープ。野菜がいろいろ入っている。
アシェ・レシュテ: 豆、ハーブ、レシュテ(うどんのようなもの)を煮込んだスープに、細かくした乾燥ミントの油炒めとチーズソースをかけて食べる。
アシェ・ドゥグ: ヨーグルトスープ。アルデビル名物。
サラダ
サラデ・カフー: レタス、トマト、キュウリなどが入った普通のサラダ。
サラデ・シーラーズィー: トマト、きゅうり、玉ねぎのみじん切りのサラダ。
マスト・ヒアール: きゅうりと玉ねぎのみじん切りにヨーグルトソースをかけたもの。
キャバブ
串刺しにした肉を炭火で焼いたもの。香草、バターライス、焼きトマト、ナンと一緒に出てきます。ジュジェ・キャバブ以外は牛肉か羊肉です。下記以外にもレバーのキャバブ(新鮮なの物は本当に絶品)などもありますが、専門店に行かないと置いてないかと思います。
フィレ・キャバブ: フィレ肉のキャバブ。
キャバベ・バルグ: たたいた肉のキャバブ。
ジュジェ・キャバブ: 鶏肉版。
キャバベ・クビデ: ひき肉にスパイス等あわせて、串に平たくはりつけて焼いたもの。
ホレシュト
カレーと似たような要領で作る煮込み料理です。ただカレーほどはスパイシーではありません。ここでは代表的なものを一部ご紹介しましょう。
ホレシュテ・ゲイメ: 肉、玉ねぎ、レンズマメを煮込んだもの。ナスを加えたり、ポテトフライを添えたりもする。ジャガイモはフライでなく一緒に煮込む場合も。
ゴルメ・サブズィ: 肉、玉ねぎ、ハーブ、小豆を煮込んだもの。
ホレシュテ・フェセンジュン: 鶏肉をざくろペーストと細かく砕いた胡桃で煮込む。
アプ・グシュト: 専用の壷で肉、玉ねぎ、ジャガイモ、レンズマメなどを煮込んだもの。スープにナンを浸して食べた後、残った具をつぶして食べる。
ドルメ: ホレシュトではありませんが・・・。炒めたひき肉、玉ねぎ、ハーブ、レンズ豆、米をぶどうの葉に包んだり、米なすやピーマンに詰めたりして煮込んだ物。夏の季節料理。
ポロウ
混ぜご飯のようなもの。「ポロウ」とはピラフの語源だとか。
サブズィ・ポロウ・バ・グシュト: 肉入りハーブライス
ゼレシュク・ポロウ・バ・モルグ: バーベリーライスに鶏肉を添えたもの。バーベリーとは赤くて酸っぱい木の実です。
ターチン・ポロウ・バ・モルグ: 鶏肉、玉ねぎ、バーベリーのサフラン入り混ぜご飯。
キャレ・パチェ
羊の頭部(キャレ)と足(パチェ)料理の総称です。日本では羊の脳みそが有名ですね。脳みそだけでなく、舌、頬肉などもあり、食べたい部分ごとに注文出来ます。脳みそ以外は結構いけます。舌の煮込みはトロっとしていて最高です。足は美容と健康のために食べる女性も多いですよ。日本の豚足みたいなものでしょうか。
脳みそは何度か挑戦しようとしましたが、カットされることもなく、脳みそがそのまま出てくるんですよね・・・。サンドイッチもあるそうですが、私は断念しました。旦那に言わせると、味は磯の香りがしない「うに」だとか。うにだったら、食べてみればおいしいのかもしれませんね。
ジャンクフード
ハンベルゲル: ハンバーガー。「ゲ」にアクセントを置いて発音して下さい。日本と比べるとサイズはかなり大きめです。
ピッツァ: ピザ。生地が分厚く、ハムやチーズなどの具がたっぷりです。
サンドヴィーチ: サンドイッチと言いたいところですが、ホットドッグです。
次に主な御食事処をご紹介しましょう。
レストラン
キャバブからホレシュト、サラダ等のサイドメニューが一通りそろっています。肉料理が主ですが、魚料理を食べさせてくれるところもあります。観光地では英語メニューも置いてある所が多いので、便利です。
ホテルのレストラン
朝から営業しているお店はそう多くないので、朝食はここで済ませておくと便利かもしれません。パンがナンのところもありますが、卵にチーズといった普通の朝食を食べられます。バイキング形式のところもありました。その他のメニューは巷のレストランと似たようなものです。
キャバビー
キャバブ専門店です。イラン人は外食をする場合、キャバブかジャンクフードを食べる場合が多いので、街の至る所にあります。英語メニューなど置いていないところが多いのですが、庶民も利用するだけあって安価でおいしいです。
ハンバーガー屋
大抵ハンバーガーの絵や英語表示が店の看板にあり、若者などでごった返しているのですぐに分かるかと思います。ハンバーガーやチーズバーガー以外にも、サラダ、ポテトフライ、ドリンク類があります。注文後にパテを焼き始めるので、長時間待たされることがあります。多くの店員がマイペースなのも一因かもしれません。
サンドヴィーチ屋
待ち時間が短く手軽なので、仕事の合間などに利用する人が多いです。椅子やテーブルを備えている所もあれば、簡易なスタンドのようなところもあります。
キャレ・パチェ屋
キャレ・パチェ専門店です。イラン人の中には朝からキャレ・パチェを食べる人がいるので、早朝から深夜まで営業している所が多いです。お店によって味に大差があります。特に毛の処理をきちんとしていないところもあるので、挑戦される方は気をつけてください。キャレ・パチェ屋の窓ガラスには、羊が踊っている絵があるので、すぐ分かると思います。
好みは人それぞれ
イラン料理は基本的には日本人の口に合うものが多いのですが、やはり外国料理ですので、どうしても人によって好き嫌いが分かれるようです。あとは外食メニューの選択肢にかなり限りがあるので、飽きがくるケースも多いようです。
肉料理が主で、しかも油を多く使用しています。量もかなり多いです。慣れない食生活や旅の疲れで体調を崩すことがまれにあるので、携帯の日本食を用意しておいた方が無難でしょう。弱った胃袋に上記の料理は厳しいです。胃腸が丈夫でも、毎日肉料理では飽きる可能性もありますし。せっかく外国にきたのだから、その国の料理をいろいろ試すのも楽しいですが、自分の経験上体調と相談するのがよろしいかと思います。