「生まれ変わったら何に成りたい、」
「信じてない。」
「詰らない返事は止してよ、」
「僕でいいよ。」
にっこりと白い歯を零す。
「イイよね。」
「格別にいいとは思わないけど。」
「それでも君は君に生まれ変わりたいの、」
「だから。信じてない、如何だっていい。」
僕の首に両腕を回して、彼は僕に口付ける。
「好きだよ、そんな所も。」
「意味わかんねぇーよ。」
窓の向こうには雨が、白い曇り空から雨が。途切れる事無く降り続く。
強くもなく弱くもなく。絡み付く湿気が吸い慣れた煙草の香りを変えて、
頭が痛い。あぁ、如何だっていい。如何だって。
「好きって云うのは、訳が分からなくなる事だからさ、ダーリン。」
ああ、そう。
投げ遣りな相槌を打って、灰皿へ手を伸ばした。
筋張った甲にぎょっとした。
いつの間に、こんなにも僕は、年をとったのか。
「如何したの、」
彼は丸い目を更に丸くして僕を見詰めている。
肌は柔らかく、頬は薔薇色。
「生まれ変わっても君になるといいよ。」
「如何して、」
「僕は、僕に生まれ変わった君を、愛せないから。」
彼の少年の時も移ろうのだろうか。
「現在は、」
「愛してる。」
そう、現在(いま)は。現在の僕は彼を愛している。
明日についてはわからない。