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 (4)製作前キットレビュー
   KVF-1J/A VALKYRIE (1/48 ハセガワ)

 ハセガワの 1/72 VF-1A バルキリー(ファィター形態)のキットが世に出て、今年でかれこれ10年になろうとしています。(2010年3月現在)

 「航空機のハセガワ」がバルキリーをキット化するという「夢」が実現してから、数多のVFシリーズがキット化され世に溢れた今となっては当時の感動も薄れ、私の押し入れに積み上げられたキット達も日常の風景の一部としてすっかり馴染んでしまっています。って何を感傷にひたってるんでしょうね?

 というのも、このキットを手にするまでに少しばかり頭を悩ませていたからです。
 確かに「出尽くした感」のある1/72シリーズから1/48への展開は自然な流れかもしれませんが、私にとっては1/48のYF-19の発売は「思いもしなかった」出来事なのでした。
 そして当然のように後に続いて出てきた「VF-1」。
 コレクター属性の強い私にとって、現在収集しているのと同じアイテムをスケール違いで保有することにはある程度の条件が必要でした。

 誰でも何かを買うときには購買理由というのはありますがそういう動機的なものではなくて、それを買うことによってあるいは買わなくてもそれが存在するだけで、過去に自分が収集したキット達が陳腐化する・時代遅れになるのではないかという危機感のようなものを乗り越えなければならないのです。

 話が大仰になりましたが、判り易く言うと10年前の1/72キットと今回のキットで中身が全然違ったらどうしよう、凄く良くなっていたらこの1/72キット達の立場は?という気分です。
 そして逆に、買ってから単なるスケールアップキットだと判ったらそれはそれでつまらん買い物を後悔することになるゾ、とのジレンマもありました。(ハセガワのサイトで見る限り、強く購入意欲が刺激されなかったのも一因です)

 しかし結論から言うと今回の1/48のキットは既存の1/72シリーズに対して実にうまいアプローチで自身の存在意義と過去のキットとの共存を図っています。

 あれ、肝心の購入に踏み切ったきっかけは?そりゃいつもの通り、お店でキットを手に取ってから無我の境地でレジ前まで歩いて行っただけです。簡単ですよ、はい。


 長々と冗談を羅列してしまいましたが、とりあえずキットの内容を見て行きましょう。

■Proportion: ☆☆☆☆☆

 [1/72(上)と1/48(下)との比較]

 


 画面上に組立説明書の塗装指示図を同じ大きさに見える様に並べてみました。模型と同じCADデータで描かれてあるはずですので、ほぼ正確な比較になると思います。

 機首周りはあまり変わりありませんが、キャノピーのラインが盛り上がって胴体につながる線も合わせて少し盛り上がっている様に見えます。
 胴体部分は特に下側に厚みを増し、脚部付け根のインテイク部から膝関節部にかけてめり込みが多く、胴体と一体化しているような状態になっています。
 特に違いが顕著なのはエンジン部分からノズルで、ひと周り以上太くなっています。1/72では尻下がり気味だったエンジン角度はほぼ水平になり、脚部下面のつながりも空力的にスムーズになるよう変えられたようです。バトロイドの頭部もボリュームが増しています。

 よって受ける印象はコックピットが強調され、胴体は厚みとかたまり感を増し、エンジン部は力強くなった、といったところです。
 結構思い切ったイメチェンだと思いますが、1/72のエンジン部分は同スケールのバトロイドと大きさにかなりの差があったので、見直しを図ったということでしょうか?
 初見では太目で違和感があったのですが、見慣れるとこれもいいかも。

■Detail: ☆☆☆☆☆

 [1/72(左)と1/48(右)の比較]
 
↑胴体下面のディティール
 
↑胴体上下面共に 1/72 のパネルラインを踏襲してあり、若干追加されるくらいに止められています。これは全体に対しても同様に言えます。

 上面のインテイク周りのエッジは 1/48 では滑らかな面となり、空力的にはリアルになったと云えるかも。最近ではステルス性能を考えたら平面構成もアリではありますが。

    特筆したいのは、マクロスメカに特徴的な「丸イチ」マークが立体的に再現されていることです。各種の設定資料で「固定フック用ポイント」兼用「低推力バーニア」とされてきた部分ですが、ようやく立体化されました。すり鉢状のくぼみに画像右のフィンを取り付けます。

        
 解せないのは、1/72では片翼に5箇所あった武装用のハードポイントが2箇所に減らされていることです。5箇所が多過ぎやろ、というのももっともかも知れませんが、あえて減らす必要もないと思うのですが。


 「おまけ要素」として紹介されている、エンジン部のディティール。一方向からの成形の割に良く出来ているのですが、無いよりはいいというか、あってもしょうがないというか、微妙です。パネルが別パーツになっていることは、「マックス機」や「柿崎機」を作る上では塗装が楽でいいですね。機体の外側の面だけですが。


■Structure: ☆☆☆☆

 ハセガワの製品紹介では「パーツ数は無闇に増やさず、比較的簡単に組み上げて、塗装に凝ることができるボリュームになっています。」とのことですが、具体的にはどうなっているか見てみましょう。

 [1/72(左)と1/48(右)の比較]
↑腕のパーツの型割りが変更されて合わせ目が外側に出ないようになりました。
 これは嬉しいですね。袖口の凹モールドがあるので合わせ目消しが意外に手間なんです。
↑上腕から肩にかけてのパーツは同等の型割りですが、1/48では開口部の「フタ」のパーツが付きます。完成後は見えないんですけど、何となくあった方がいいかな。
↑細かいところではベクタードノズルの先端、1/48はさすがフィンが別パーツです。(右がフィンのパーツ)



↓下の頭部パーツは1/72(左)に対して右の様にこのままバトロイドにも使えそうなくらいに凝っています。これも目立つ箇所にパーツの合わせ目を見せないという配慮です。J型もカメラ部にクリアパーツが付くようになりました。
 右の「A型」の頭部も合わせ目を隠すパーツが付いていて、目立たないように工夫されています。
 ここでひとつ謎が。丸印で囲んだパーツ、てっきりカメラ部のパーツかと思いきや、組立説明書では使用しないパーツとされています。何者でしょう?
  
 頭部カメラ用のクリアパーツには「S」型用と思しきものがあります(左画像右上丸印)ので後続してくるのは確実でしょう。

 問題は左下丸印部のパーツです。このキットではこれも不要部品とされていますが1/72キットと比較すると、これはストライクバルキリーの2連装ビームキャノンのセンサーに相当するようです。

   

 となると、ストライクパック付きまでラインナップ予定?とは考え過ぎでしょうか?
 うーん、嬉しいような、悲しいような。   
 着陸脚のハッチ全てには開閉用アクチュエータが一体成形されており、部品点数の削減とディティールの両立が上手く図られています。

   
 あと、1/72ではエッチングパーツで再現されていた、可変翼と胴体の隙間を隠す「カバー」が付いています。


■Cost Paformance: ☆☆☆☆

 まだ紹介していないのはデカールの構成くらいですが、これまたちと中途半端です。



 一条機が完全に再現できるのは当然として、「マックス」「柿崎」機用にベントラルフィンと尾翼先端のみデカールが付いています。

 「マックス」「柿崎」機を作る様な人は、脚部や腕部でもっと複雑なマスキングが必要なわけで、一部のデカールだけが付いていても色合わせを考えると多分使いません。まあ、スペースが余ったのでせめて一部でも、ということかも知れませんが。

 総括するとこのキット、変なところでユーザーに媚びた、というか余計な配慮をしている分を別のところにまわして欲しかったと思います。
 具体的に言うとウェポンセットを出す予定がないのなら、ミサイルを付けるのは必須だったでしょう。その方がエンジンを見せるよりユーザー受けが良くなると思います。

 しかし、翼のパイロン取り付け位置の裏側は意味深に凹んでいて、穴を開けやすくなっています。売れ行きを見てから出すつもりかな。

 よーしみんな、3機ずつ買おう!(・・・結局、そんなオチか)






 Hasegawa 1/48 
  VF-1J/A VALKYRIE
 
"VERMILION SQUADRON"




↑しかし箱の大きさはちょっと予想を超えていました。VF-1って現用機と比較すると小さい部類なのでもう少しコンパクトにできたのでは?中は結構スカスカです。


↑1/72では付属しなかったパイロットもTV版のスーツ姿で付属します。


↑シートは1/72でも良く出来ていたのですが、パーツ数としては2個増えてイジェクションハンドルが追加されています。


↑左下のハンドルですが2mmそこそこのパーツに4本の赤線を描けとのご無体な塗装指示があります。


↑コンソールパネルもTV版のデザインで、特徴的な「モードセレクトレバー」がちゃんと「ファイター」のレバー(3つの右側)が下に下げられているのが判るでしょうか?
↓デカールもそのようになっています。芸が細かい!



↑1/72では再現不可能だった左右のコンソールパネルも十分なディティールです。


↑コンソール上にはHUD(ヘッドアップディスプレイ)が2枚の透明パーツ(下)で再現されます。



↑コックピット後部の隔壁が別パーツで起こされ、特徴であった2つの円筒の形状が再現されています。もう少し太いほうが良かったかも。(文句多いな)


↑1/72(上)に対して1/48(下)はタイヤとホィールが分割されています。一瞬大した事ない様に思いますが塗り分けを考えると嬉しい配慮です。









↑頭部のレーザー機銃はスライド型使用で先端が開口しています。「A型」用も同じくです。


↑細かいですが、ガンポッドの後端のパッドも別パーツに。これは塗り分けよりも合わせ目処理が楽になる構造です。














↑この脚部パーツを見ると、1/72のように流用できないのでスーパーパック付きは発売しないのかとも思えます。





↑クリアパーツの構成は1/72と基本的に同じです。それだけ1/72が良く出来ていたということですね。
ハセガワのサイトでは、中央にパーティングラインの入らないタイプのキャノピーが選択出来ます!とアピールされていますが、そのラインを消す手間を惜しむ人が1/48を買うとは思えないんですが。ましてやエンジンパネルの内部を塗装して構造を楽しむなんて・・・。
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