プリンタの解体工事     「プラスメカ会報」より転載
プリンタの解体工事(第1回)
1目 的
    機構部分を作るのには材料の調達や加工が必要になる。加工については 精度よく加工しないと動きが悪く動かなくなることもある。また、個人でいろいろな機械を揃えるのは大変なことである。そこでプリンタの往復する機構を利用し、マイコンを使ってプリンタ内部の駆動機構を動かしてたい。
2解体したプリンタ
    Canon製 JBC210J  購入価額 500円
    購入時、ACアダプタ・カラーインクつきで完動品でした。解体するの が惜しい気持ちになりました。
3解体したプリンタの様子
      購入時のプリンタ(正面)        プリンタの裏側
プリンタ内部(前カバーを開けたところ)        前カバーを外す
       後部カバーを外す        全部のカバーを外す
     歯付きベルト (固定端)      歯付きベルト(駆動側)
ステッピングモータ1(インクカートリッジを駆動する)

 

  ステッピングモータは比較的6本線のものが多く使われているがこのプリンタは4本線のステッピングモータであった。6本線は今までに動かした経験があるが4本線のステッピングモータは初めてであった。
  ステッピングモータのドライブ回路には6本線のユニポーラと4本線のバイポーラのものがある。
  この機構の場合は4本線なのでバイポーラの回路を使わなくてはステッピングは駆動しない。
ステッピングモータ2(紙送り用)
  紙送り用のステッピングモータは線が
5本出ているが端子をみると6個あり6
本線のものと同じである電源線を共通に
して使用している。

 

プリンタを制御する基板
 このプリンタの制御基板を取り外せばプリンタの解体工事が無事終了することになる。解体する前は結構難しく、時間もかかるかなと思っていたがそれほど時間もかからなく写真を撮りながら20分ぐらいで解体することができた。以前はこのようなプリンタを解体すると1時間ぐらいかかったような気がしました。最近はプリンタの製作コストなどを考えると短時間で組み立てられなければ経費がかかってしまうことになる。解体する時も時間がかからないということになる。
プリンタの解体工事(第2回)
4 ステッピングモータ1の制御
   @バイポーラ駆動

     励磁電流の方向が切り替わる方式で、モータ巻線が有効に使用されています。 

    この方式はユニポーラ駆動に比較して低速で大きいトルクを発生します。しかし、巻線が2倍(A,Aバー相  直列)になったことで回路の時定数は増加して、高速時のトルクは減少します。しかし、巻線の相数はユニポ  ーラ駆動時の半分になるため、巻線のバラツキが原因で起きる角度誤差が小さくなります。下図はバイポー ラ駆動の回路例を示します。
     センターを利用しないとき       センターを利用するとき
A励磁シーケンスは図のようになります
    バイポーラ駆動の励磁タイムチャート 自作のステッピングモータ用の基板とステッピンダモータ
Bステッピング駆動用ドライバ
      三菱電機 M54544L
ステッピング駆動用ドライバの回路図
5スッテピングモータ(SteppingMotors) 

    ミツミ電機(株)製MITSUMIM42SP-7

  @概 要
     1.外件φ42モデルシリーズのスタンダ一ドタイブ

     2.M42SP-7」ステップ角7.5°、励磁方式は「M42SP-5」と共通でありながら、ホディ厚を15.7mmに縮小。
  

     3.小型機器に最適なタイプです。
  A特 徴
     1.高出力トルク。
     2.優れた走行静粛性・安定性を実現。
     3.ステッフー角7.5°。
     4.優れた対応力を獲得。
  B用 途
     プリンタ、タイプライタ、ワーフ□、ファクシミリなど。
  C仕 様

項目

  DC12V

  DC24V

使用電圧範囲

DC10〜13.2V

 DC21.6〜26.4V

定格電流/相

  259mA

  173mA

相数

  4Phase

  4Phase

巻線抵抗

 50Ω/phase±7%

 150Ω/phase±7%

ステップ角度

 7.5°/step

 7.5°/step

励磁方式

2-2 Phase excitation  (Unipolar driving)

絶縁階級

Class E insulation

Class E insulation

ホールディング・トルク

49.0mN/m

52.9mN/m

プルアウト・トルク

23.5mN/m/200pps

33.3mN/m/200pps

プルイン・トルク

19.6mN/m/200pps

29.4mN/m/200pps

最大応答周波数

600pps

650pps

最大自起動周波数

420pps

430pps

D特性図
Eステッピングモータ外形図

 

プリンタの解体工事(第3回)
  いよいよバイポーラ駆動のステッピングモータを制御してみましょう。
ステッピングモータを制御するドライバーICは三菱のM54544Lを使用します。
  いままでにDCモータを2個制御したドライバーICと同じものです。6の実験のようにポケコンでBasicのプログラムを作ってステッピングモータを制御してみました。
6 実験
ステッピングモータの駆動実験はポケコンを使ってやりました。

プログラム
10 OUT &H23,&H82
20 A=200:B=0
30 FOR J=0 TO 11
40 OUT &H20,&H5
50 FOR I=0 TO A:NEXT I
60 OUT &H20,&H6
70 FOR I=0 TO A:NEXT I
80 OUT &H20,&H10
90 FOR I=0 TO A:NEXT I
100 OUT &H20,&H9
110 FOR I=0 TO A:NEXT I
120 B=B+1
130 PRINT B
140 NEXT J
150 END

   このステッピングモータは1パルス7.5°進むので1回転するのには48パルス出してやればよい。上のプログラムではFOR〜NEXTの間に4パルス出しているので12回繰り返せばよいことになる。また、インクカートリッジが片道動かすには300パルス出せばよいので FOR〜NEXTを75回繰り返せばよいことになる。

    パルスの出し方は正回転を6・5・9・10とすると逆回転は10・9・5・6となります。
  バイポーラ駆動のステッピングモータが手に入りましたら実験をしてみてください。
プリンタの解体工事(第4回)

 いよいよ、プリンタの解体工事も4回目を迎えることになりました。
今回から「プラスメカ」で使用するプリンタのことについて書いていきます。
前回の定例会ではプリンタの機構部の取り出し方について実際にやってみました。
今のパソコンはコストダウンや環境、リサイクルのことを考えて簡単に組み立てや分解ができる構造になっています。今回の分解もドライバとラジオペンチの工具で分解が可能です。
以下の写真はプリンタの分解の様子です。

プリンタの本体
プリンタの内部
 
プリンタから機構部を取り外した ステッピグモータの部分
ステッピングモータの制御

   今回使用するのステッピングモータは6本線のユニポーラ方式のものです。
制御方法は1相励磁の場合はA相、B相、Aバー相、Bバー相の順番に励時(データを送る)させればよいわけです。

Basic言語による C言語によるステッピングモータの1相励磁の制御プログラム  

正転
10 out &h23,&h82 10 main
20 for i=0 to 3   20 {
30 out &h20,&h1 30 int k,s,i;
35 for j=0 to 300:next j 40 outport(0x23,0x82)
40 out &h20,&h2 50 while(1)
45 for j=0 to 300:next j 60 {
50 out &h20,&h4 70 for (k=0;k<=48;k++)
55 for j=0 to 300:next j 80 {
60 out &h20,&h8 90 outport(0x20,0x01)
65 for j=0 to 300:next j 100 for (i=0;i<i=500;i++){}
70 next i   110 outport(0x20,0x02)
80 end 120 for (i=0;i<i=500;i++){}
130 outport(0x20,0x04)
140 for (i=0;i<i=500;i++){}
150 outport(0x20,0x08)
160 for (i=0;i<i=500;i++){}
170 }
180 }
190 }
プリンタの解体工事(第5回)
 ステッピングモータとドライバが接続したら前回のプログラムを実行してください。うまく回転すれば成功ですが回転しないときは配線の接続が間違っていることがありますので再度ステッピングモータとドライバの配線を確認してください。
 
ステッピングモータの配線 フォトインタラプタを2個接続 フォトインタラプタ
 外部のから制御するのにセンサを取り付けます。センサには透過型のフォトインタラプタを使用します。プリンタの機構部の底板を折り曲げてフォトインタラプタを左右に2個取り付けます。

フォトインタラプタからのデータ入力の数値はそのままでは252がでています。左側のフォトインタラプタの光を遮断すると254の数字が右側のフォトインタラプタの光を遮断すると253が出ます。
それぞれの値254,253のときステッピングモータの動作をどのようにすればよいかをプログラムすればいいのです。

プリンタの解体工事(第6回) 特別編
プリンタの機構部を利用したエレベータ       
   完成写真 エレベータ        ポケコンで制御

 1 はじめに

  最近のOA機器は短期間の内に新しいものが発売されています。プリンタもそのひとつで4〜5年で 新機種へ買い換えをする人が多くいるようです。まだ、使用できるプリンタでもプリンタの精度のよい 物へと買い換え、古いプリンタが廃棄されたり、リサイクルショップなどで安価で販売されています。しかし、リサイクルショップなどで販売されている古いプリンタもなかなか販売できないようです。いずれ廃棄の道をたどるようです。そのようなプリンタを有効に利用する方法はないかと考えま した。

2  リサイクルプリンタを使ったエレベータの製作

@プリンタを分解してプリンタの駆動部分を取り出す。
A精度の良い機構部分を製作するのは大変な作業ですがプリンタの駆動部を利用することで製作  が短時間ですむ。
Bプリンタの板金の部分を折り曲げる。
C塩ビ版を使ってエレベータの囲いを作る。実際は塩ビ板の代わりにPET材を利用す る。
D正面の角穴を空ける。
Eセンサー基板・制御基板・インターフェースを製作する。

3 エレベータの動作
@各階にはセンサーが設置して有り、箱がセンサーの所にくると停止する。
Aモータはステッピングモータを使用している。
B各階のスイッチを押すことによりモータが回転してエレベータの箱が指定した階で停止する。

4 インターフェースを変えることによって用途が広がる
@小型マイコンを使うことで手軽にエレベータの制御ができる。
A多くの工業高校生が授業で使用しているポケットコンピュータを使ってエレベータの制御実習が  できる。
Bパソコンを使用することによりVisualBasicなどでエレベータの制御がで きる。


5 エレベータを製作しての成果
@プリンタの分解をすることによりプリンタの構造などを理解することができる。
Aエレベータを製作することによって製作するための加工工程が理解できる。
B製作したエレベータを各コンピュータ(小型マイコン・コンピュータ・ポケットコン ピュータ)を使っ
   て制御実験ができる。
Cプログラム言語学習の制御対象として実際に制御して動きがわかる。
D製作する過程において物の大切さや環境・リサイクルなどの理解もできる。
E使用する機械も穴あけに使用するボール盤だけですむので手軽に製作できる。

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