Original Soul



宝石  水滴をなぞって    時代  知らない意識  真夜中の散歩  YES  粘土細工    粉雪はらり



+++宝石+++

それらは恥ずかしそうに
日常の物陰に隠れていて
アンテナを高く張っていなければ
すぐに見逃してしまう
あらゆる教訓はまさに
僕らに向けられているのに

僕らの使命は砂場の中から
輝く石を見つけ出すこと


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+++水滴をなぞって+++

雨が降っています
窓に降りつけています
街角の枝垂桜がとても
さみしそうにしています

少なくとも今の私には
そう見えるのです

雨が降っています
水溜りができています
窓辺に佇む子猫がとても
さみしそうにしています

少なくとも私の心には
そう映るのです

この雨が
誰かの流す涙のように
そう感じるのです

窓をつたう水滴を
ガラス越しになぞって
そのさみしさを
紛らわしているのです


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+++光+++

9月の雲の切れ間から射す光は
公園の隅っこ、カモミールの花を
かすかに照らしている
心なしか冷たさを増してきた風が
その花を少し揺らして
さっきまで降っていた雨粒を
きらきらと輝かせた

ぼくらの目指してきたものは
あまりに大きく、あまりに遠くて
その長い道のりに
目がくらんでしまいそう
いつの間にかそっぽを向いて
ふてくされて
帰り道、小石なんか蹴飛ばしてる

頑張って頑張って
ときどき休んで
一生懸命頑張ったとしても
誰も褒めてはくれないんだろうな

ぼくらの目の前にある現実は
決してドラマティックではなくて
王女を助ける機会もないし
不思議な力も使えない
ただ自分が思うことをやって
地道な努力を続けながら
プロローグもエピローグもない世界で
かろうじて頑張っているよ

9月の雲の切れ間から射す光は
ぼくらを照らしてくれるだろうか
未来はまるで分からないけれども
とりあえず頑張ってみるよ


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+++時代+++

卑怯者が野放しにされる時代だ
身の回りのことに一生懸命で
物事を正面から見つめる余裕がない

真面目が忘れ去られた時代だ
子供も大人もちっとも変わらない
立派な人はイジメられる

幸せが希少な時代だ
けれどそれが何かは知らない
数字に表せないから分からない

皆が敵を探している
幸福を脅かす敵を探している
TVや新聞で探している
馬鹿げた週刊誌で探している

秩序を過ぎたら
混沌の時代だ
僕らは古いルールには頼れない
まったく新しくて
理性的で温かい世界を
自分達で創っていくんだ
見せかけだけのガラクタは蹴っ飛ばせ
もっとステキな世界が必要だ

追い風は既に吹いている

目を見開いてよく見てろ
さァ今度は僕らの時代だ!


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+++知らない意識+++

枯れた慟哭 血の涙
わたしはそれでもいいのだけれど
誰かが光を求めている

破いた心 冷えた胸
わたしはそれでもいいのだけれど
誰かが光を求めている

泣きたくなるほど傷ついて傷ついて
何も考えることができずに
ただただ悲しみに暮れる中で
無くした何かを取り戻そうと
知らないわたしがもがいている
知らない意識がもがいている

汚れた理想 消えた過去
わたしはそれでもいいのだけれど
見捨てた絆 切れた糸
わたしはそれでもいいのだけれど

知らないわたしがもがいている


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+++真夜中の散歩+++

真夜中を二人で散歩する
透き通った空間で
星の瞬きぽつりぽつり
耳を澄まして夜の音
今は言葉もいらないから
ゆっくり歩く

落ち着きながら跳ねてる心
静けさが嬉しい

街頭がぼんやりとした光
見上げる月の光
非日常的な別世界に
思わず微笑う夢心地

広い世界に今は二人だけ
うん


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+++YES+++

つらくて、悲しくて、寂しくて、
一人で、悩んで、泣き明かして、
気持ちがくじけて、嫌になって、
それでも明るく振舞って、
強がって、
だけど心は傷ついたままで

「YES」

それでいい
何も悪くないんだよ

「YES」

「YES」

「YES」

「YES」

「YES」

強くなくたっていいんだよ


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+++粘土細工+++

心の中に手を伸ばして
粘土細工をしました
曖昧な思いをこねてまるめて
人間と、戦車と、太陽がひとつになった像
わたしは満足してコーヒーを1杯

堅い扉を開けるための腕と
力強く歩み続ける足が欲しいのです
そしてできたら
誰にも負けないくらいの温かさも

今日はやけに気分が良いので
坂道だってへっちゃら
そんな心が明日も続いたならいい

とおくのほうに光が見えます
そんなに大きくはないけれど
確かにキラリと光る
見つめているだけで
ちょっといい気持ちになれるので
また明日も頑張ろうと思いました


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+++雲+++

世界はぼくらが望むほど
残酷過ぎもせず幸福過ぎもせず
ただぼんやりとした輪郭を見せて
決して劇的でも因果的でもない
無機質な事実の羅列だけが置かれた
目の前の光景を
ぼくらは突き放された気持ちで見つめている

薄暗い雨の日の
公園の隅に捨てられた小動物のように
冷たさに震えて
ひたすら不安に怯えているから
歩み寄る影に威嚇して
差し伸べられた手に噛みついて
それでも心の中では
ずっと誰かに助けを求め続けている

繕う仮面はいつからか皮膚と同化し始めていて
もはやどこからどこまでが
本当の自分なのかさえ分からないけれども
寄り添う誰かに愛して欲しいから
ぼくらは寂しさと虚しさを隠せないまま
矛盾する感情を飲み込んでしまう

幸福というでもなく残酷というでもなく
どっちつかずのその雲はまるで
磁石のN極とS極の間をさまようように
ただふわふわと宙に浮いていて
一生懸命背伸びして手を伸ばしてもつかめない
それはずっと上のほうから
無表情な眼差しでぼくらを見つめながら
相変わらず曖昧なままときどき涙を流している

ぼくらは雨の中
愛する人と手を取り合ってる



+++粉雪はらり+++

粉雪はらり 花のやう

喩えて云うなら木漏れ日を

浴びて輝く校庭の

儚く散りゆく桜花

粉雪はらり 花のやう

過ぎにし冬の思ひ出を

蘇らせては我がこころ

僅かばかりに絞めつける

粉雪はらり 花のやう

風に舞い飛び はらりるら

冷たき風に はらりるら


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