| アイドル伝説えり子 (1989年4月3日〜1990年3月26日・全51話 / TV放送) 〜「アイドル伝説えり子」 必見エピソード紹介〜 前項に続き、「アイドル伝説えり子」の必見エピソードを紹介していこうと思います。 第15話 「束の間の無伴奏」 第16話 「復活の詠唱」 〜あらすじ〜 グアムロケの最中、えり子は項介の陰謀によってトラブルに巻き込まれてしまい、週刊誌で不名誉な記事を載せられてしまいました。 スキャンダルにまみえれた清純派アイドルを使うテレビ局などあるはすもなく、えり子は次々と仕事を失っていき、さらには社長の 内田は過労で倒れてしまいます。それでも項介は攻撃の手を休めず、えり子が出演しそうな番組に自社の新人アイドルをねじ込んで 徹底的にえり子を包囲していくのでした。 | |
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そんなある日、ようやくえり子にオファーが舞い込んできます。 地方でのミニライブという小規模な内容のものでしたが、今のえり子にとっては何よりも嬉しい仕事の依頼です。ところが現地に 着いてみると、ミニライブといっても海岸で行われている着ぐるみショーの前座であり、しかも音響施設は皆無に近い状態でした。 あまりにも酷い実情にえり子は愕然とします。 続いて、えり子は岡山の地方テレビに出演することになりました。それに合わせて岡山のレコード店を回り、サイン・握手会、 店頭での新曲お披露目ライブなどを精力的にこなしていきます。 しかし、売れていないアイドルの歌に耳を傾ける人などいるはずもありません。えり子の歌声はレコード店の店頭で空しく響く どころか、朝霧麗の新曲プロモーションビデオの大音響にかき消されてしまう有様。あまりに厳しすぎる現実を目の前にして、 えり子は歌手としてやっていく自信を失うのでした…。 | ![]() 海岸のミニライブ ![]() 店で歌うものの… |
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〜ちょっと一言二言〜 話を感動のカタルシスへもっていくためには、当然のことながら前段階でのタメが必要になります。主人公が不幸に見舞われながらも、 けなげに頑張って一歩一歩前へ踏み出そうと努力する姿があるからこそ、その後の成功がより感動的に見えてくるわけです。「えり子」 において、そんなタメ段階の代表となるのが、この2話だと思います。 とにもかくにも アイドルが地方をドサ回りする という展開が衝撃的で、本作が実在するアイドルのプロモート番組 であったことを考えると、その激しくチャレンジブルな内容に感嘆してしまいます。レコード店の店頭で新曲パフォーマンスをすれども客の 反応は鈍く、それどころか店側のサポートも酷いものという場面などは涙なくしては見られません。 と同時に、これ以前のアイドルアニメの代表的存在である「クリィミーマミ」において、マミがデビュー時から大禍なくトントン拍子に トップの座へと上り詰めていたのとは実に対照的であることも興味深いところです。この差異はやはり、おニャン子クラブの登場によって80年代の 中頃からアイドルという職業の神聖さが崩壊していったことの、一つの表れといってよいのではないでしょうか。もうすでに、アイドルは幻想の世界 の住人ではないのだと気付いた、そんな世相の変化が垣間見えるような気がします。 第18話 「25メートルの幻想曲」 〜あらすじ〜 西条プロデューサーの計らいによって、えり子に全国ネットの仕事が舞い込みます。番組は「オールスター水泳大会」、えり子は その番組の中で25メートルを泳ぐことになりました。しかも西条は、驚くことに新曲発表の枠まで用意してくれていたのです。 久しぶりの朗報に沸き返る内田プロ。ところが、えり子は泳げませんでした。 キャンセルも止む無しと判断する内田たちに対し、えり子は収録までの一週間で泳げるように特訓すると誓います。えり子は水泳部のキャプテン だった中田先輩の助けを借り、壮絶な猛特訓を行います。しかし残念ながら、えり子は25メートルを泳げるようにはなりませんでした。 そして本番の日がやってきました…。 | |
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〜ちょっと一言二言〜 全51話に及ぶ「えり子」。仮に、その物語の中から一つだけ選べと言われたら、筆者は迷うことなくこの第18話を挙げます。過剰演出によって 「えり子」には異様な雰囲気が漂っている、とは今までも散々書いてきたことですが、この第18話は異様の一言ですますわけにはいかないような、 レッドゾーンを振り切って彼岸の世界に片足を入れてしまっているほどの無茶な代物となっているのです。 なにしろ、冒頭のナレーションからして尋常ではなく、 「(前略)そんな時、プロデューサーの西条から久方ぶりに 全国ネットのテレビ出演のチャンスが与えられた。 ところがその番組で、えり子は25メートル泳がなくてはならなかった。 えり子は泳げなかったのだ… 」 …と腰砕けになりそうなくらいに情けない話を、滝沢久美子氏がド迫力ボイスで語ってくださいます。冒頭のナレーションからして これですので、その後は推して知るべし。 地獄の特訓が始まる! と煽っておいて、えり子の最初の試練といったら… | |
| 中田先輩 「顔を水につけてみな、5つ数えるまでだよ」 えり子 「私は泳げる、泳げる…」(自己暗示をかける) ジャブン(えり子、水の中に顔をつける) |
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| 中田先輩 「1・2・3・4・5」 えり子 「ぷはっ! はぁはぁ…」 (えり子、顔を上げて苦しげに息をする) |
| 中田先輩 「水の中で目をつむっちゃダメだよ、目を開けなくちゃ。 遊びにきてるんじゃないんだろ!」 えり子 「はい…」 中田先輩 「もう一回!」 |
もう、幼稚園児の水泳教室レベル の内容。それをスポ根アニメの猛特訓であるかのごとく大真面目で演出しているの ですから堪りません。スタッフは視聴者を笑い殺させるのが目的だったのではないのかと、ついつい勘ぐってしまいます。 …などと書いてみましたが、この第18話は終盤での盛り上げ方が凄まじく、思わず握り拳を作ってしまうような燃える内容になって いることも記しておきましょう。とにかく、アニメファンなら絶対に見ておくべきではないかと思います。 第38話 「うたかたの聖歌」 第39話 「栄光への行進曲」 〜あらすじ〜 「ロックンルーツ」の選考も終了し、ようやく日本へ帰国したえり子。 その後の精力的な芸能活動が実を結んで、彼女は年末のディスク大賞で新人賞の最有力候補に挙げられます。父の雄介は亡くなったものの、 不幸のどん底でもがき苦しんでいた半年前に比べると大違いといえるほどの変化。えり子は、現在の幸せに酔うようにして日々を過ごすのでした。 | |
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ところが田村プロの謝恩パーティが近付いた、ある日のこと。朝早くベッドで目覚めたえり子は、自分の体に起こった異変に気付きます。
なんと、声が出なくなっているのです…。 医者の診断によると過労からくる精神的なもので、時間が経てば声が戻るとのことでした。しかし、ディスク大賞までに病気が治るという 保障もありません。さらに声が戻らぬまま出席した謝恩パーティで、えり子は歌えなくなったことを報道陣に知られてしまいました。 | ![]() 声を失ったえり子 |
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それもこれも自分が幸せによって、歌に対して真剣さを失いつつあった報いなのだ。そう考えて再び絶望の底に沈みゆくえり子に、
麻美が、一樹が、中田先輩が、そしてファンの人々は励ましの言葉をかけます。皆の温かい心に触れ、えり子は涙するのでした。 そして十二月三十一日。運命のディスク大賞の日がやってきました…。 〜ちょっと一言二言〜 第3クールの軸となる「ロックンルーツ」編が一段落したのも束の間、またもや運命の稲妻がえり子を襲うという怒涛の展開が繰り広げられる 第38〜39話です。 年末のグランプリで新人賞を受賞するというのは、アイドル物のアニメにおける山場の一つとしては定番の展開らしく、これは 「クリィミーマミ」でも同様の物語が用意されていました(当時の現実のアイドルにとっても最大の目標だったとは思います)。 ただ、そこに至るまでにもうワンステップ、ドラマを入れるあたりが、いかにも「えり子」らしいと言えるのではないでしょうか。 個人的な不満を言うなら、声を失うというショッキングなアクシデントであるにもかかわらず、わずか2話で解決してしまうのは物足りなく 感じてしまいます。もう少しじっくりと描いてくれれば(第4クールにずれこんだとしても)、よりドラマチックな物語を見せられたのでは ないかと思うのですが…。 参考までに「えり子」がリアルタイムで放送されていた1989年、ディスク大賞のモデルと思われるレコード大賞の受賞内容が どのようなものだったかというと… ・レコード大賞 WINK 「淋しい熱帯魚」 ・歌唱賞 石川さゆり 「風の盆恋歌」 ・最優秀新人賞 マルシア 「ふりむけばヨコハマ」 ・新人賞 田村英理子、尾鷲義人、川越美和、香田晋 …となっていて、田村英理子氏は残念ながら最優秀新人賞を逃してしまったようです(当時はWINKの全盛期で、プリンセスプリンセスが 「Diamonds」を大ヒットさせていました。なんとも受賞者の顔ぶれに時代を感じざるを得ません)。 必見エピソードは以上で終了します。次項では「えり子」の四方山話でも紹介させていただきます。 | |