エスパー魔美
(1987年4月7日〜1989年10月26日・全119話 / TV放送)


〜「エスパー魔美」 必見エピソード紹介・その2〜
 前項に引き続き、「エスパー魔美」の必見エピソードを紹介。



第117話 「恋愛のススメ」
〜あらすじ〜
 ある日突然、魔美はクラスメートの富山に相談をもちかけられました。それは普段物静かな富山には珍しく、恋の悩みだったのです。 富山が恋焦がれる相手は、クラスメートの藤野さおり。SF小説が好きなことを名前のイニシャルに引っ掛けて、SFとあだ名される 女の子でした。
 人の悩みを聞いたら、頼まれていなくても首を突っ込むのが魔美の性格。富山の相談を受けた魔美は恋のキューピット役を務め ようと、グループデート攻撃、プレゼント攻撃など、次々と作戦をを仕掛けていきます。ところが、結果は豆腐に鎹。どうにも 藤野の反応はよくありませんでした。
 不思議に思った魔美が藤野にその真意を尋ねてみると、彼女は「私、本を読んでいるときの方が楽しいの。現実の恋愛なんて、 そんなの興味ないわ」と答えるのでした。
 現実と虚構の世界を区別せず、より居心地のいい空想の世界に閉じこもっている藤野。かたくなな態度を崩さない彼女のことを、 魔美はどうしても理解できません。そんなある夜、非常ベルを受けた魔美が駆けつけた先は、なんと藤野の家でした…。

藤野さおり


〜ちょっと一言二言〜
 本郷みつる氏が、脚本・演出・絵コンテと一人三役をこなしてしまった作品。
 世間と交流するより、空想の殻に閉じこもることを選択する少女…。同種のテーマは古くから存在しており、アニメ作品でも 「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」などで扱われていました。ですが、1989年という本作の放送年から考えるに、この 脚本はそういう普遍的なテーマによるものというよりは、前年に発生した連続幼女誘拐殺人事件に触発されて書かれたのかも しれません(全然違うような気もしますが…)。
 ともあれ、これは引きこもりという言葉が日常化した現在においても十二分に通用するような内容ではないでしょうか。 いや、むしろそんな現在だからこそ、より強く響いてくるようにも思います。



第119話 「動き出した時間」
〜あらすじ〜
 魔美の父、佐倉十朗はフランスで個展を開かないかと持ちかけられました。祖母の生まれ故郷であるフランス、美術の本場である フランス。そこを訪れ、画家としての腕前を磨くということは十朗にとって長年の夢であり、それがついに実現することになったのです。
 それを聞いた魔美は素晴らしいことだと喜びますが、その実、父が遠くへ行ってしまうことに寂しさを隠しきれませんでした。 もう父が自分の絵を描いてくれることもないだろうと悲しむ彼女に対し、高畑は十朗の描いた魔美の絵を前にしてこう語りかけます。
 魔美の父は、魔美が悩んでいたり、悲しんでいたり、輝いていたり…そんな様々な姿を暖かい眼差しで見つめ、キャンバスに 残してくれた。画家という、ちょっと距離をおいた立場で。フランスへ行っても、彼は魔美の絵を頭に思い浮かべるのでは ないだろうか、と。
 そして、止まっていた時間が動き出した…。


〜ちょっと一言二言〜
 2年半に渡って放送された「エスパー魔美」の最終回です。
 物語中盤、父がパリへ留学することを知った魔美が、土手で物思いに沈みながら「何だか…止まっていた時間が動き出したみたい」 とつぶやくシーンがあります。この”動き出した時間”とは、佐倉十朗の新たな旅立ちを象徴する言葉でしょう。が、それと同時に、 父との別離を経験し、新たな生活を始めることで、また一歩大人へと成長していこうとする魔美自身にも当てはまる言葉だった のではないでしょうか。 (それと、同じ年を何度も繰り返しながら登場人物は歳を取らないという、長期アニメの特性上避けられない時間のループから抜け出る というメタ的な意味合いもあったのかもしれませんが)
 なんにせよ、「エスパー魔美」が親子、家族という人間関係で幕を閉じたのは、後に原監督が劇場版「クレヨンしんちゃん」 シリーズでも家族の絆を中心に描いていったことを予感させて興味深いものです。
 余談ながら、「エスパー魔美」と同時期に裏番組として放送されていた「ミスター味っ子」も、当初は過剰演出を売りにしていた ものが最終回間近のオリジナル展開に突入した途端、同じように家族の絆を描く作品へと変貌していきました。結局、人間ドラマの 行き着く先は家族の絆ということなのかもしれませんが、それでも面白い類似点として注目しておきたいところです。




〜「エスパー魔美」 注目の製作スタッフ〜
 ということで、最後は「エスパー魔美」注目スタッフのリスト。シンエイ動画関係者が多いのは仕方ないですか。

原恵一
 総監督。元々はアニメーター志望だったが演出家へ転向。シンエイ動画の「ドラえもん」の演出を経て、「エスパー魔美」で 初監督。劇場版「クレしん モーレツ!オトナ帝国の逆襲」のヒットによって、一躍名を知られるようになった。
 他の代表作は「クレヨンしんちゃん(TV版)」、「クレヨンしんちゃん アッパレ!戦国大合戦」、「21エモン」(監督)。

桶谷顕
 シリーズ構成。アニメ界を代表する脚本家の一人。魔女っ子アニメに限定すれば、「魔法のエンジェル スイートミント」 にも参加していた。こちらは「エスパー魔美」が初のシリーズ構成担当作品だった模様。
 他の代表作は「チンプイ」、「コメットさん」(シリーズ構成、脚本)、「機動戦士Vガンダム」、「機動戦士ガンダム第08MS小隊」、 「こどものおもちゃ」(脚本)。

富永貞義
 作画監督。劇場版「ドラえもん」シリーズをはじめ、数々の藤本作品に携わっている人物。元は東映動画に所属していた ようだが、独立(?)した後にトミプロに設立している。
 他の代表作は「クレヨンしんちゃん」(作監)。

堤規至 (現・堤のりゆき)
 作画監督。シンエイ動画の名アニメーター。「星空のダンシングドール」で作監を務めていたことから考えても、氏の 作画がアニメ版「エスパー魔美」の基準ということになるのだろう。
 他の代表作は「チンプイ」、「クレヨンしんちゃん」(作監)。

高倉佳彦
 作画監督。めがてんスタジオ設立メンバーの一人。じゃんぐるじむ所属時代には「ペルシャ」〜「パステルユーミ」の ぴえろ魔女っ子にも参加していた。
 他の代表作は「魔法の妖精 ペルシャ」、「クレヨンしんちゃん」、「はいぱーぽりす」、「赤ちゃんとぼく」(作監)。

林桂子
 作画監督。スタジオれんげ所属。氏の作監担当回は、全体的にキャラクターが丸くなっていたような気がする。
 他の代表作は「きまぐれオレンジ★ロード」、「忍たま乱太郎」、「魔法のステージ ファンシーララ」(作監)。

橋本とよ子
 作画監督。かなり古参のアニメーター。アップの際、魔美の目に白抜きが2つ入ることが特徴。妙に腰周りのラインが肉感的な 作画になっていた。
 他の代表作は「オバケのQ太郎」(キャラデザ)、「クレヨンしんちゃん」(作監)

なかじまちゅうじ (中島忠二)
 作画監督。スタジオ・リバティー所属。最初は原画で参加していたが、第13話から作監へ。魔美の鼻に縦線が入っていたり、 独特の崩し絵を多用するなど、かなり特徴のある作画を提供していた。
 他の代表作は「戦国武将伝 爆風童子ヒッサツマン」(キャラデザ)、「夢のクレヨン王国」、「おジャ魔女どれみ」(作監)。

本郷みつる (本郷満)
 演出・絵コンテ・脚本。めがてんスタジオ設立メンバーの一人。改めて説明するまでもない、有名なアニメ監督。 ぴえろ魔女っ子にも参加していたような。
 他の代表作は「チンプイ」、「クレヨンしんちゃん」、「シャーマニックプリンセス」、「星方武夾アウトロースター」、 「カスミン」(監督)。

貞光紳也
 演出・絵コンテ。現在はプロダクションIG所属。中盤以降、「エスパー魔美」は原、本郷、塚田庄英、高柳哲司の ローテーションだけで作っているような状況になっていた。
 他の代表作は「機動戦士ガンダム(初代)」、「だあ!だあ!だあ!」、「セクシーコマンドー外伝!! すごいよマサルさん」、 「クレヨンしんちゃん」(演出)。

パク・キョンスン
 演出・絵コンテ。アニメ界では数少ない女性演出家の一人。やはりシンエイ動画、特に「ドラえもん」の演出家といえば、 この人の名前が出てくるだろう。「エスパー魔美」は途中からローテを外れており、至極残念。
 他の代表作は「ドラえもん」、「オバケのQ太郎」(演出)、「クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲」。

もとひら了
 脚本。シンエイ動画を経て、「エスパー魔美」の頃はフリーで活動していたとか。
 他の代表作は「超ロボット生命体トランスフォーマー マイクロン伝説」(シリーズ構成)、「ドラえもん」、「飛べ!イサミ」、 「こち亀」(脚本)。

富田祐弘
 脚本。こちらも有名な脚本家(ただし、アレという意味で)。「エスパー魔美」では、桶谷、もとひらの3人だけで大半の回を こなしていた。
 他の代表作は「魔法の妖精ペルシャ」、「美少女戦士セーラームーン」、「愛天使伝説ウェディングピーチ」、「おもいっきり 科学アドベンチャー そーなんだ!」(シリーズ構成)。



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