キューティーハニー
(1973年10月13日〜1974年3月30日・全25話 / TV放送)

〜その実体は、愛の戦士キューティーハニーさ!〜
 その当時の流行りだったのかどうかまでは分かりませんが、自分はお尻が小さくてプクッとボインの女の子だと宣言して颯爽と 姿を現したニューフェイスのヒロイン、それがキューティーハニーでした。実際に見てみると、なるほどボインなのは確か。 問題なのは、本当にお尻が小さいのかどうかですが。

 それはさておき。今回ご紹介するのは、バトルヒロイン物の先駆けとして、あまりにも有名な「キューティーハニー」 (以下、「ハニー」)です。「ハニー」が魔女っ子アニメなのか、と疑問に思われる方もいらっしゃるとは思いますが、 「魔女っ子大作戦」というゲームに参戦を許されていたので、「ハニー」を魔女っ子アニメの系列に加えるのは ほぼ公認と見て差し支えないのではないかと思われます。

 この「ハニー」という作品は、今更申し上げるまでもなく「デビルマン」や「マジンガーZ」などで知られる永井豪氏の 原作によるものです。元々は変装をテーマにした少女探偵作品になる予定だったのだそうですが、コンペの結果「ミラクル少女 リミットちゃん」が「魔法使いサリー」から続く一連の少女向けアニメ枠で放送されることとなり、「ハニー」は「デビルマン」、 「ミクロイドS」と続いていた少年向けアニメ枠の後番組となることが決定します。それにあわせて、急遽「ハニー」は少年向けの 内容へと切り替わることとなりました。
 その結果、女の子が主人公でありながら悪の組織と戦うという、当時の常識では考えられない斬新な内容の作品が誕生すること になったのです。ちなみに女の子が主人公のロボットアニメとして話題となった「ゴーダム」が登場するのは、「ハニー」の 放送から実に3年後のこと。この事実だけでも、いかに「ハニー」が先進的だったかが分かるのではないでしょうか。






 さて、こうなると真価を発揮するのが永井豪氏。氏の発案によって、アニメ史上に残る偉大な発明(?)、”変身するときは 必ず裸になる”という重要な要素が作品に付け加えられることになったのでした。
 これがどれほど後のアニメに影響を与えたかといいますと、なんと「魔法のプリンセス ミンキーモモ」の監督・湯山邦彦氏が「モモ」の変身シーンにおける「ハニー」の影響を認めているです。現在ある魔女っ子 アニメの変身シーンは「モモ」の影響下にあると言われているわけですから、それらにまでも間接的に影響を与えていると いえるわけです。さすが、永井豪氏は偉大なり。

 またまた話がずれてしまいましたが、ともかくも上記の”女の子が裸になる”という描写は視聴者、特に若い男性陣に 強烈なインパクトを与え、裏番組が「8時だよ!全員集合」だったために視聴率はさほど振るわなかった(10%前後だったそうです) ものの、異様に高い知名度を獲得することに成功したのでした。
 と、ここで本項の頭にある放送データを見て、首をひねる人もいるのではないでしょうか。それなりに人気を集めた作品で あったのに、どうして25話という短期間で放送を終了しているのかと。
 これには理由がありまして、どうも「ハニー」は最初から2クール放送、つまり全26話で終了するという取り決めになって いたのだそうです。最後の1話が欠けているのは、キャラクターデザイン・作画監督の荒木伸吾氏が直後に 放送された「魔女っ子メグちゃん」のスタッフとして引き抜かれてしまった から…だとか。


 さて、案外と見落とされがちなポイントを一つ。「ハニー」を語る上で忘れるわけにはいかないこと、それは浦田又治氏& 伊藤英治氏の手による背景美術です。
 通常、日本アニメの背景といえば写実的なものとなっているのに対し、「ハニー」での背景は派手な原色で塗りたくられた、 いわゆるサイケデリック的なものとなっているのです。サイケ美術が登場したのが1960年代後半、かのレナウン娘のCMが1967年 でしたので、やや遅れ気味とはいえ流行を流行を取り入れたということなのでしょう。
 モブシーンの人間などが単色塗りになっていることは下手すれば手抜きと指摘されかねないところですが、そこはセンスの 良さでカバー。見る者に強烈な印象を与えてくれます。これは、最近の、既に「ハニー」なんて知らないという世代の人が見ると、 逆に新鮮に感じられるのではないでしょうか。

 そしてもう一つ、これは浦田氏自身も語っていることではあるのですが、「ハニー」の背景は極めて舞台装置的なものとして 作られています。「ハニー」の画面をよく見てみると、ちょうどキャラクターの周りだけ、円形の異なった背景色が配置されて いることに気付きます。そう、あたかも舞台上の俳優にスポットライトが当っているかのように!
 そのように考えてみると、キャラクターの口上が妙に仰々しいことも、なるほど「ハニー」を舞台演劇として捉えてみれば 合点のいくことです。舞台演劇風のTVアニメとなると他には「少女革命ウテナ」くらいしか存在していないわけで、こういう 実験的な作りを1970年代前半に行っていたことは驚嘆せざるをえません。




〜「キューティーハニー」あらすじ紹介〜
 大まかな説明も終わりましたので、ここからは「ハニー」のあらすじ紹介に話を移そうと思います。以下、第1話「黒い爪が ハートを掴む」を大まかに要約した文章を載せてみたいと思います。

 聖チャペル学園高等部1年の如月ハニーは、今日もヒストラーの追撃を振り切って学園を抜け出した。その途中、 彼女は通信機になっているイヤリングから父の助けを求める声を聞くのだった。父の言葉に従い「ハニーフラッシュ!」と叫ぶと、 なんと彼女は凄腕のレーサーに変身してしまったのだ。
 困惑しながらも自宅へ戻ったハニーは謎の覆面男たちによって家が襲撃されたことを知り、さらには地下室で既に冷たくなった 父の躯を発見する。そして父の残した伝言によって驚愕の事実 ― ハニーは如月博士の生み出したアンドロイドであり、その 体内には空中元素固定装置が取り付けられていること ― を知るのであった。
 父を殺した敵の名は、世界をまたにかけて暗躍する犯罪組織”豹の爪(パンサークロー)”。彼らは如月博士の発明した空中 元素固定装置を手に入れようと、ハニーにまでも手を伸ばしてきた。そのとき辺りに響き渡る「ハニーフラッシュ!」の掛け声。 七つの姿を持つ少女は愛の戦士キューティーハニーに変身し、復讐の想いを胸に秘めてパンサークローと戦う。

 以上が「ハニー」の導入部になります。
 意外と知られていないようなので改めて書きますと、主人公の如月ハニーはアンドロイドです。バトルヒロイン作品が 珍しくなくなった現在では生身の人間が変身するという形式が多く、それゆえかハニーも人間だと勘違いしている人が 多いようですが、あくまでハニーはアンドロイドということをお忘れなきよう。




〜「キューティーハニー」 登場キャラクター紹介〜
 ここらで「ハニー」の大まかな内容紹介を終えて、次に主な登場人物の紹介に移りたいと思います。22話からの パラダイス学園編に登場するキャラクターは、登場回数が少ないので削除しております。

如月ハニー
 聖チャペル学園の高等部1年生。普段は学園からの脱走を趣味とする、美人だけどお転婆な少女。 だが、その正体は父である如月博士によって生み出されたアンドロイドだった。博士の死後は、敵であるパンサー クローとの戦いを決意。「ハニーフラッシュ!」の掛け声と共にキューティーハニーに姿を変え、パンサー・ゾラの 送り込む様々な刺客たちと刃を交える。
 聖チャペル学園の寄宿舎で暮らしていたが、学園崩壊後は早見家にやっかいになっていたようだ。
早見青児
 東日新聞の記者。ふとした偶然から如月ハニーの秘密を知ることになり(物語中盤までは、ハニーの正体を知る 唯一の存在だった)、彼女と共にパンサークローと戦おうと決意する。ハニーとは恋人同士のような、付かず離れずの仲。
 腕っ節の強いハンサムガイではあるものの、早見家の血のなせる業か、肝心の場面で締まらないところが玉に瑕。
早見団兵衛
 早見家の当主。青児、順平の父親。かなり破滅的な性格をしており、いい年をしていながらハニーを巡っては 父も子もないと言わんばかりに青児たちと張り合っている。
 武芸百般に通じていると自分で語るだけあって、パンサークローの戦闘員たちを投げ飛ばしていく様はなかなかのもの。 忍びの装束に身を包むことも多かった。
早見順平
 青児の弟。団兵衛の息子だけあって、子供のわりにしては意外と戦闘力が高い。
 お調子者で惚れっぽい性格までも父親譲りらしく、マミちゃんという可愛いガールフレンドがいるにもかかわらず 父子3人でハニー争奪戦を繰り広げている。むろん、その現場をマミに見られては引っ叩かれているわけだが。
シスター・ジル
 パンサークローの日本支部長で、如月ハニー襲撃に関する実質的なリーダーといえる存在。目的のためなら 部下の命すら犠牲にするという冷酷非道な性格をしている。幻術攻撃が得意技。人間に変身することも可能のようである。
 パンサー・ゾラのことを”お姉さま”と呼んでいるが、実際の姉妹なのかどうかは不明。
パンサー・ゾラ
 悪の犯罪組織パンサークローを率い、世界中から金品や美術品を強奪する謎の人物。普段はアマゾンにある パンサークローの本部から数多くの部下を指揮している。
 残念ながら、自身についての詳細は作品中で触れられないままだった。頭につけた豹にしても、ただの被り物 なのか、それともキメラ的な生物ということなのか全く分からない。
ヒストラー&
アルフォンヌ
 ヒストラー(左)は本名、常似ミハル。聖チャペル学園寄宿舎の舎監で、脱走常習犯である如月ハニーをなにかと 目の敵にしている。女性とは思えぬ、粗暴な言動が魅力的…かも。タバコ好き。
 アルフォンヌ(右)は聖チャペル学園の教師で、如月ハニーのクラスの担任。ハニーに対しては好意以上の 感情を抱いているらしく、なにかといえば付きまとってくる。ポチ校長からは、ことあるごとにせっかんを受けている。

 登場人物については以上で終了。次項ではハニーの秘密について紹介します。



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