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くりいむレモン 二人のハートブレイクライブ (1987年 / OVA) 〜エピゴーネンとしての魔女っ子エロアニメ〜 OVAという新メディアの登場によってエロを題材としたアニメが登場したことは 「魔法のルージュ りっぷ☆すてぃっく」 の欄でもご紹介したとおり。 このジャンルは近年、やや頭打ち傾向にあるといわれているそうですが、それでもレンタルビデオ店に行ってみるとアダルトコーナーにおける アニメ作品の比率は年々増しており(あくまで筆者の体感)、独自の市場を確立しているのは間違いありません。 とはいえ、やはりアニメ界全体からすればエロアニメの市場規模は微々たるもので、低予算の中で制作陣は色々と苦労されているそうです。 特にス〇トロ物は描き手側にも大きな精神的負担を強いるとかで、通常の作品に比べて(以下略)。 それはともかく。 日本にエロアニメ市場が確立したのは、やはりなんといっても「くりいむレモン」という傑作シリーズの存在があったからでしょう。これは、 衆目の一致するところだと思います。 シリーズ第1弾「媚・妹・Baby」は、可愛い少女キャラ(しかも血の繋がっていない妹!)の性行為をモロに描写するという当時の常識を覆す作品 となっており、1980年代初頭から巻き起こっていたロリコンブームという追い風もあって、「亜美飛んじゃう!」の名台詞とともに(一部のマニアの間で) 大ヒットを記録しました。その影響たるや相当に大きなものだったようで、実物は見たことがなくても「くりいむレモン」の名前だけは知っている、 という人もおそらく多いのではないでしょうか。 現在から振り返ってみると、この流れが現在ある”妹萌え”に繋がるようにも感じられ、そういう意味でも「媚・妹・Baby」はアニメ史上に重要な 足跡を残した作品といえるかもしれません。 「くりいむレモン」人気は「レモンエンジェル」シリーズという姉妹作を生み出しています。こちらは三期に渡ってフジテレビ系の深夜枠で放送するという 現在のアニメ深夜枠放送の先駆けとなるような意欲的な作品で、抑えられた描写とはいえ地上波でエッチな内容のアニメが堂々と放送されるという驚愕の事態に、 当時の少年たちは(色々な意味で)熱くなったのでした。 この「レモンエンジェル」は登場キャラと同じ名前のアイドルユニットを売り出すというメディアミックス(当時はそんな言葉もございませんでしたが) も組まれ、他にも「ヤングジャンプ」誌に同名の漫画(わたべ淳氏の最大のヒット作かも?)が連載されたり、PC用のゲームが制作されたりもしていました。 それらの作品をご記憶の方も多いのではないでしょうか。 脇道にそれたので、本家「くりいむレモン」に話を戻しましょう。 同シリーズは大きく分けると三つのシリーズに分類することができます。 第1が「媚・妹・Baby」〜「エスカレーション3」までの初期シリーズ16作品。 第2が「5時間目のヴィーナス」〜「放課後XXX」までの新シリーズ9作品。 第3が「亜美・それから」などを含む番外編。 このうち評価が高いのは第1の初期シリーズで、「エスカレーション」シリーズ、「ポップチェイサー」、「黒猫館」などは現在でも人気が高い作品です。 特に「ポップチェイサー」は北久保弘之監督を中心として「Gu-Gu-ガンモ」の制作メンバーが参加しており、他にも西島克彦、もりやまゆうじ、庵野秀明、 摩砂雪、佐野浩敏、毛利和昭(以上、敬称略)…などなど、並のアニメを遥かに凌駕する驚異的なスタッフは現在でも語り草になっています。 | |
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それらについても紹介したいところではありますが、本欄の趣旨から大きく外れてしまいますので…。今回取り上げるのは新シリーズの7作目にあたる
「二人のハートブレイクライブ」という作品です。 「くりいむレモン」はれっきとした商業作品ではありましたが、OVAの、しかもエロアニメというジャンルのためか同人的なノリも多分に持っていました。 ゆえに、どうしてもその系統の作品に多く見られる、先行作品のパロディという要素を含んでしまうのは仕方のないことなのかもしれません。 「二人のハートブレイクライブ」も同様で、そのパロディ対象は魔女っ子アニメ、中でも”ぴえろ魔女っ子”を意識して作られていうことがハッキリと 分かる内容となっています。 <小学生の少女・”るり”は年上の幼馴染である”コージ”のことが好きなのですが、彼はアイドルの”斉藤こなみ”に首ったけで自分のことなど気にも 留めてくれません。 そんなある日、思い悩んでいる”るり”の目の前に謎の精霊が現れ、彼女に大人になる魔法を授けてくれたのでした…。> 以上が物語のあらすじ。これを見ても分かるように基本設定の部分は明らかに「クリィミーマミ」です。 しかし、それ以上に類似点の目立つ作品が「マジカルエミ」。目についた範囲内で、以下に「マジカルエミ」との 類似点を列挙してみます。 ・主人公の家はクッキー屋…じゃないけど、喫茶店。 ・やたらと雨のシーンが多い。 ・主人公が「んべぇーっ!」をやる。 ・魔法を授ける精霊は、ぬいぐるみに宿って生活。 ・しかも、その声がえらいことに…。 | ![]() ![]() ![]()
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特に最後の二つに、「マジカルエミ」ファンの方なら度肝を抜かれることでしょう。 …といいますか、それ以前に「マジカルエミ」が好きな方であれば、作画を見るだけでも思わず苦笑いを浮かべてしまうかもしれません (特に、るりのパパとママのデザインは必見)。 強引に類似点を数値化してみると… 「魔法のスター マジカルエミ」が89% 「魔法の天使 クリィミーマミ」が10% 残りがオリジナル要素といった感じです。 「二人のハートブレイクライブ」と”ぴえろ魔女っ子”の類似点は以上のようなところ。 では、肝心の本編の中身はどうかというと、作画面に関しては相当に頑張っています。特に中盤の背動シーンは、「くりいむレモン」シリーズとは いえエロアニメでここまでやらなくてもと…と思えるくらいに無駄に力が入ったものとなっています。 しかし哀しいかな。さすがに正味25分程度のOVAですので、主人公の恋の鞘当に関しては駆け足で終わっており、純粋に魔女っ子アニメとしては、やや食い足りないと いったところです(物語が中途半端に終わっているのは、当初予定されていたシリーズ化が立ち消えてしまったため、という事情もあったようです)。 しかも残念なことに、大人に変身する場面ではマジックアイテムや呪文が登場しません(このあたりは「ハーバーライト物語」でも 同様でしたが…)。 本作を見ると、間違いなく制作者は”ぴえろ魔女っ子”が好きなのだろうということ、エピゴーネンとはいえ本気で制作したであろうことは伝わってきますが、 少しばかりツメが甘かったように思います(「りっぷすてぃっく」が全く不必要なアイキャッチまで用意していたのに比べるとなおさら)。 追記: ところでエロシーンはどうなのか、ですか?(以下、文字反転) 作中では二回。最初は、”大人るり”が欲情した”コージ”によってロストバージン、しかも中出しされる(おいおい…)というもの。 次が”小学生るり”がロリコン趣味の蕎麦屋に襲われるものです。 現在、「二人のハートブレイクライブ」が語られる際に話題に上るのはもっぱら後者のようです。やはり、蕎麦で触手プレイ という凄まじいシーンが忘れられないのでしょう。あのインパクトは絶大なものがありますから…。 | |