魔法の天使 クリィミーマミ
(1983年7月1日〜1984年6月29日・全52話 / TV放送)

〜「魔法の天使 クリィミーマミ」必見エピソード〜
 前項までで大まかな内容紹介も終わりましたので、ここからは「マミ」のあらすじ紹介に移り ます。…と思いましたが、少しばかり複雑な内容となっているので、ついでに必見エピソード紹介の中に組み込んでしまおうと 思います。やや長めの文章になってしまいますが、お付き合いくださいませ…。



第1話 「フェザースターの舟」
第2話 「スター誕生」

〜あらすじ〜
 クレープ屋”CREAMY”の一人娘・森沢優は、ある日、空を飛ぶ不思議な光を目にします。 その光を追って 競馬場へとやって来た優は、その不思議な光の正体が空を飛ぶ巨大な箱舟であることを知り、その中へと 吸い込まれてしまいました。
 その船の中で、優は”誰でも知っているが誰も知らない、最も近くにありながら最も遠くにある”世界であるフェザースターの住人、 不思議な小人のピノピノと出会います。彼はフェザースターへの帰り道を指し示してくれたお礼にと、 優に魔法の力を授けます。ただし、この魔法は1年間という期限と、他人には知られてはならないという条件が付いていました。
 こうして魔法の力を手に入れた優は、ピノピノが残していったフェザースターの住人・ネガ&ポジと 暮らすことになったのでした。

町中を疾走する優


フェザースターの舟

 さて、魔法の力を手に入れた優でしたが、困ったことに使い方の分かる魔法は1つしかありませんでした。それは、大人に 変身できる魔法。この魔法で大人に変身した優はその姿のままで両親や幼馴染の大伴俊夫の前に現れ、 大人になった自分が誰だか分からないでいる様子を楽しむのでした。
 やがて新宿へと出てきた優は、その足でテレビ局の訪れます。ちょうどそのテレビ局では、パルテノンプロダクションに所属 する女性アイドル・綾瀬めぐみの生放送コンサートが開かれる予定でしたが、彼女は予想外の交通渋滞に巻き込まれて時間までに 間に合わない状態となっていました。
 なんとかその場を切り抜けようと悩んでいたパルテノンプロの社長・立花慎悟は、たまたま テレビ局で出会った優を綾瀬めぐみの代役としてステージに立たせてしまいます。名前を聞かれた優は、思わず実家の”CREAMY”から クリィミーマミと名乗ります。
 ここでスタッフの手違いから、知りもしない新曲を歌わなくてはならないという予定外のハプニングが起きてしまいます。 ところがなんと、マミは即興のハミングを歌ってその場を切り抜けてしまいました。時間稼ぎができれば良いと考えていた慎悟は、 その音楽センスに驚愕し、本気でマミをパルテノンプロに引き入れようと考えるのでした。


〜ちょっと一言二言〜
 以上が「マミ」の導入部です。第1話に関しては色々と書きたいことがあるのですが、特に心に引っかかるのが脚本の強引さ、 この回だけの妙な作画、そして太田貴子氏の演技といったところでしょうか。スマートにまとまっている第2話に比べて第1話の 脚本は唐突すぎて下手すると置いていかれそうになってしまいますし (脚本の伊藤和典氏が直前まで「うる星やつら」に参加 していた影響だろうと思われます)、作画も崩れているわけではないのですが、なんだか可愛げのない面長に描かれた優には 戸惑ってしまいます。
 そしてなにより、太田貴子氏の凄まじい演技力には腰が抜けそうになること必死。氏の演技は2クール目あたりから急激に 上達するので、最終話を見終わってから第1話を見るとあまりの落差に愕然とするはずです(いやほんと、こんなに 酷かったかしら…?)。

 それとは別に、第1話で語られるフェザースターに関するお遊びのような裏設定にも注目しておきたいところです。 ピノピノ曰く、”フェザースターは生まれる前に誰もが知っている場所。でも人が生まれるとき、それを誰にも教えちゃいけないよ とフェザースターの使い魔が人の口に指を置いていく。それが人間の口の上にあるくぼみなんだ”と。
 もちろん、これは人中に関する伊藤氏流の作り話なのですが、このようなちょっとした遊び心が作品に奥行きを与えてくれて います。




第26話 「バイバイ・ミラクル」
〜あらすじ〜
 新人歌手として一躍スターダムにのし上がったマミは、ついにクリスマスの夜に開かれる芸能界最大の祭典、NPB歌謡祭に 出場することが決定しました。
 ところが、うかつにも優はクリィミーマミに変身するところを俊夫に見られてしまいます。そのため優は魔法の力を失ってしまい、 クリィミーステッキは石の棒と化してしまうのでした。ショックのあまり言葉を失うマミでしたが、それでも彼女は皆が待っている 歌謡祭の会場へと出て行きます。一方、正体を知ってしまった俊夫も、今まで追いかけてきたマミが優だったという事実に愕然とし、 歌謡祭の鑑賞に身が入りません。
 やがて式は進んでマミの番がやってきました。普段と変わりなく歌を披露するマミでしたが、やはり俊夫に正体を知られてしまった ことの動揺を隠せず、歌の途中で声が出なくなってしまいます。それでもなんとか妖精たちの助けを借りて歌いきることに成功しま したが、先のアクシデントがたたってマミは新人賞の獲得を逃してしまい、最終的に審査員特別新人賞というとってつけたような 賞に甘んじてしまいます。

正体を知られた!


石化したステッキ

 賞のことよりも俊夫に正体を知られてしまったこと、そして魔法の力を失ったことによって二度と優の姿には戻れなくなって しまったことのショックから抜け出せないマミは、パルテノンプロの打ち上げパーティも断り、行くあてもなく一人で新宿の街を 彷徨うのでした。
 雪の降る中、やがてマミは彼女と俊夫が運命の出会いを果たした公園へと辿り着き、そしてその前に俊夫が現れます。 彼もまた、マミがこの場所へやってくるだろうと思っていたのでした。
 そんな二人の前にフェザースターの舟に乗ってピノピノが現れました。魔法を見てしまった俊夫は優の力を吸い取ってしまい、 だから優はその力を失ってしまった。代わりに俊夫は一度だけ力を使うことができるのだとピノピノは俊夫に語りかけます。

公園で出会う二人
 ”君の願いは何だい?”。その言葉を聞いた俊夫は迷うことなく、一つの願いをピノピノに告げました。マミを優に戻して 欲しい、と。


〜ちょっと一言二言〜
 2クール目のラストにあたる第25〜26話は、まさに前半の山場というべきドラマが展開されます。ついに正体を知られてしまって 不安に押し潰されそうになってしまう優(マミ)の心情と、雪降る夜の新宿が見事にシンクロしていて、今見ても上手い演出だと 感心させられます。ちなみに演出担当は第25話が安濃高志氏、第26話が望月智充氏。さすがの両雄といったところでしょうか。

 ところで、この回では2点ほど注目しておきたいポイントがあります。
 まず1点目は、この辺りではまだ優が成長するとマミになるという設定になっていること。つまり、マミは 優の数年後の姿であるという描き方をしているのです。この原則は第43話「走れ優!カメよりも速く」あたりから崩れていく のですが、そのへんの細かいことについては、第52話にて書いてみようと思います。
 もう1つは、この26話を境にして「マミ」の作風が変化すること。これ以前の前期ではユニコーンや幽霊が登場するなどファンタ ジックな話が多かったのですが、後期では人間描写に傾倒して、そういった内容の話は目立たなくなっていきます。この第26話に おいて、それ以前の話で登場した妖精などを総出演させていますが、これはファンタジックな作風との決別という伊藤氏なりの 決意の表れだったのかもしれません。(伊藤氏自身は、「マミ」とファンタジーの融合は上手くいかなかったと語っています)




第37話 「マリアンの瞳」
〜あらすじ〜
 マミの次なる仕事は盛大なファッションショー。プロモーターである轟の協力で、150年前にリヒテンゲル王国の王女マリアンが 作らせたという伝説のウェディングドレス”マリアンの瞳”がショーで使用されることになりました。
 パルテノンプロのスタッフと件の”マリアンの瞳”を見たマミは、先ほど事務所に到着したときに控え室の裏で見たと語ります。 それを聞いた轟は怪訝な表情をし、”マリアンの瞳”はここにある1着だけだと言うのでした。
 驚いたマミが皆を連れて控え室を訪れると、何故かドレスは消えていました。そして不思議なことに、先ほどはドレスの左胸に 見えていた赤い染みが無くなっていたのです。皆は過密スケジュールで疲れているだけだと笑いますが、マミはどうしても納得 できません。

マリアンの瞳

 そんな中、マミは偶然にも轟とその部下の会話を耳にしてしまいます。それは「王女の秘密を知られたかもしれない。マミには 計画どおり紅小路鏡子(べにこうじきょうこ)と同じ運命を辿ってもらう…」という内容でした。
 さらに自らのラジオ番組宛に「”マリアンの瞳”を着ないで。さもないと恐ろしいことがおこります」という投書が届けられます。 葉書に書かれていた”K.B”というイニシャルから投書は紅小路鏡子によるものと考え、マミは公衆電話で紅小路の住所を調べるの でした。ところが、なんとそこに暴走トラックが突っ込んできたのです。
 間一髪難を逃れたマミは、現場から逃げ去る轟の部下の姿を目にし、”マリアンの瞳”には何か裏がある、そして轟は何かを 企んでいると確信するのでした…。

トラックの襲撃

 紅小路家に辿り着いたマミは、そこで驚くべき事実を耳にします。鏡子はすでに死んでいたこと、そして”マリアンの瞳”に まつわる忌まわしき過去について。
 全ては今から150年前に始まりました。結婚式の直前、事故によって夫となる王子亡くしたマリアン王女は、失意の中で自らの 左胸に短剣を突き立てて絶命しました。その後、”マリアンの瞳”を着た者は全て自らの左胸を短剣で貫き、自殺を遂げていた のでした。紅小路鏡子もまた、その中の一人だったのです。
 真相を知ったマミは、パルテノンプロに置いてある”マリアンの瞳”を消し去るしかないと決意します。しかし事務所に辿り 着いたところを、待ち構えていた轟の部下に睡眠薬で眠らされてしまうのでした。

 目を覚ましたマミは自分が”マリアンの瞳”を着用し、さらに宮殿の一室のような場所にいることに気が付きます。周りの侍女 らしき人物たちは自分のをマリアン王女と呼び、そして壁には自分と瓜二つの肖像画 ― むろん、それはマリアン王女のもの ― が 架けられていました。これから王女の結婚式が始まるという侍女たちの言葉に、マミは自分が誰なのか分からなくなっていくのでした。
 そんなとき、夫となる王子の訃報が届きます。錯乱したマミは机に置かれたナイフを手にし、それをいきおいよく突き下ろしました。 が、その行く先は自らの胸ではなく机の上でした。「私はマリアン王女じゃない」と叫び、マミは自分を取り戻します。
 すると、部屋の中へと見覚えのある人物が入ってくるではありませんか。それは、頭から血を流している綾瀬めぐみでした。 「マミ、逃げて。ここは恐ろしい所よ…」最後の力を振り絞ってそう告げると、めぐみは静かに息を引き取るのでした。
 めぐみの遺体を前にして、泣き叫び続けるマミ。まるで追い討ちをかけるかのように部屋の中は暗闇に包まれ、そこで彼女が 見たものは…。

倒れるめぐみ


〜ちょっと一言二言〜
 後期の「マミ」は、第31話「優のフラッシュダンス」、第46話「私のすてきなピアニスト」、第48話「優とみどりの初デート!」 など名作と呼ばれる作品が多数存在しているのですが、それらの中でおそらく最高傑作と誉れ高いのが第37話「マリアンの瞳」 ではないでしょうか。あらすじを読んでいただければ分かると思いますが、「マミ」の中では異色のサスペンスホラーとなって いまして、後藤氏のハイレベルな作画、望月氏の凝った構図などの力もあってグイグイと見る者を引き込む作品に仕上がっています。
 ただ…わざと上のあらすじ紹介では書かなかったのですが、最後の最後における展開が展開ゆえに評価は真っ二つに分かれる ようにも感じます。後に似たような脚本のハリウッド映画がありましたが、あちらも賛否両論でしたし…。



 ちょっと行数が長くなってしまいましたので、必見エピソードの続きは次項にて。



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