花の魔法使い マリーベル
(1992年2月3日〜1993年1月18日・全50話 / TV放送)


〜「花の魔法使いマリーベル」 必見エピソード紹介〜
 というわけで、前項で「マリーベル」の魔法を紹介したのに引き続き、ここからは必見エピソードを紹介していこうと思います。



第1話 「こんにちは! 私マリーベル」
〜あらすじ〜
 サニーベルという街にユーリとケンという名前の姉弟がいました。毎日のように魔法使いマリーベルの絵本を読んで遊ぶ 仲の良い姉弟でしたが、彼らにはとっても大きな悩みごとがありました。それは、両親の経営するフラワーショップ 「マリーベル」に全然お客さんが来てくれないことでした。二人はどちらからともなく、ため息混じりにつぶやくのでした。
 「こんなとき、マリーベルがいてくれたらなぁ…」
 と、そのとき、彼らの目の前に奇妙な花が出現したかと思うと、その中から一人の女の子が姿を現しました。彼女の名前は マリーベル。そう、あの絵本に描かれていた、花の魔法使いなのです。
 ユーリとケンの悩みを聞いたマリーベルはフラワーショップに出かけ、花が売れない原因は花に元気が無いからだと判断しました。 さっそくマリーベルは花魔法を使って花を元気付けますが、ちょっとした手違いから魔法の花が店の外に飛んでいってしまい、 街は大混乱となってしまいました。機転を利かせたマリーベルは、街中に散らばった魔法の花を使ってフラワーショップを宣伝し、 これにて事件は一件落着(?)となりました。
ともだち光線
 こうしてフラワーショップ「マリーベル」は、いつもお客でにぎわう人気のお店に大変身したのでした。


〜ちょっと一言二言〜
 強引、という言葉でも生易しい超シナリオで幕を開ける「マリーベル」。その徹底的した陽性の物語は、ヒネた大人にとってはあまりにまぶしく 感じるくらいで、唯一無二、独特の味わいとなって襲い掛かってきます。そしてまた、同じ葦プロ作品の「アイドル天使 ようこそようこ」を彷彿と させるミュージカル風演出になっていることも、その楽しい雰囲気を強める要因となっているように思います。
 しかしなにより、この第1話で最もド肝を抜かれるのが 「ともだち光線」 の話。マリーベルの説明によると、 お花は「ともだち光線」なるものを発射しており、それを受け取った人間は花をカワイイ、キレイと感じて、摘んだり買ったり する…のだとか。よくもまあ、こんなすっごい話を考え付くもんだと、感心のあまり捻転してしまいます。




第30話 「迷いの森のビビアン」
〜あらすじ〜
 その日、マリーベルたちはハイキングへと出かけることになりました。みんなが湖の見える高原で写生を楽しむ中、 一人だけ気乗りのしない様子を見せているビビアンは、ふと奇妙な物音を耳にします。
 不思議に思って振り向いてみると、なんと一羽のウサギが彼女のお弁当を盗もうとしているではありませんか。 慌てたビビアンはウサギを追って森の中に駈けて行きました。
 森の中でビビアンは一人の少年に出会います。彼の名はモーリィ、イラズラ好きの森の妖精なのです。意気投合した 二人は森の中で一緒に遊ぶことになったのですが…。


〜ちょっと一言二言〜
 嫌悪とまではいかないものの、異質な存在としてマリーベルや妖精たちと距離をおいていたビビアンが、マリーベル側に歩み寄ることになった 記念すべきエピソード。これ以前も両者の間にある程度の意思疎通が見られましたが、本エピソードが決定的なものであったのは確かでしょう。
 この後、第40話のジート、そして最終話のシェルボー教授と、マリーベルと対立していた人間はことごとく彼女を受け入れるようになります。 その典型的な姿として本エピソードをチェックしておきたいところです。
 余談ですが、ここで「マリーベル=世に溢れる不思議な事柄、ファンタジックな夢の暗喩」であり、シェルボー教授などは夢を忘れてしまった 頑迷な大人の暗喩ではないかという見方もできるような気もしますが、これは筆者の勝手な思い込みでしょう…。




第47話 「がんばれタンバリン」
〜あらすじ〜
 冬の湖へ遊びにいったマリーベルたちは、越冬のために訪れてきたカルガモの群れに出会いました。それを見ているうちに ユーリは、以前に彼女が世話をしたピッチーのことを思い出します。たぶん、この大勢の群れの中のどこかにピッチーがいるはずだと。
 ところが、再会を望むユーリのためにマリーベルがカルガモたちに話を聞いてみたところ、まだピッチーは来ていないというのです。 もしかすると北の海を渡ってくる途中で何かあったのかもしれない、というタンバリンの言葉にユーリは酷く落ち込んでしまいます。
 責任を感じたタンバリンは単身、事情を探るべく北方へと向かいます。やがて北の地でピッチーと再会したタンバリンは遅ればせながら 南へ向かうことになったのですが、その途中で突然の猛吹雪に襲われてしまい…。


〜ちょっと一言二言〜
 第8話「はばたけピッチー大空へ」に続く、渡り鳥ピッチーのお話。
 脚本的にはマリーベルとタンバリンの関係が語られること以外、さほど見所のあるものでもないのですが、千羽作監の担当回だけあって 作画レベルが高いのがポイント。特に終盤におけるマリーベルたちの描き込みは尋常なものではなく、「マリーベル」最高のクオリティ といっても過言ではないと思います。

 それと…これは余談も余談なのですが。
 制作側が大人の男性が主であるために子供向けのアニメでもパンチラなどのサービスカットが登場するのは、歴代の魔女っ子アニメを 見れば分かると思います。それは「マリーベル」でも同じことで、OPをコマ送りしてみると見事にマリーベルがパンチラしてますし、第30話 などではパンチラどころかパンモロをやっています。
 ところが同じサービスカットでも入浴シーンは不思議と少なく、登場するのは全50話中、この第47話だけだったりするのです。唯一

入浴中のマリーベル
マリーベルの入浴シーンが拝めるという点で是非とも注目しておこうと、まあそんなところです(ちなみに、タンバリンの入浴シーンは 第2話から見られます)。




第48話 「サニーベルの一大事」
第49話 「マリーベルと聖なる樹」
第50話 「夢をあなたに」

〜あらすじ〜
 シェルボー教授は人々の生活をよりよくするためとサニーベルの街の改造計画を持ちかけます。ところが、それは教授が妖精を 捕獲するための作戦だったのです。その結果、サニーベルの街に聖なる樹が出現して植物を奪い尽くそうとします。
 マリーベルは聖なる樹を阻止しようとしたものの、その力を使い果たして花魔法界へと戻ってしまいます。 邪魔者のいなくなった聖なる樹はなおも暴走を続け、サニーベルだけでなく世界中から緑を奪って肥大化していくのでした。

 その後、花魔法界の心・フローリアの導きによって花魔法界を訪れたユーリとケンは、そこで妖精の話を聞かされました。
 マリーベルを始め、花の妖精たちは人々の夢見る力を糧にして生きている。そして眠りについたマリーベルを蘇らせるためには、 人々がマリーベルを想い、彼女に夢の力を注ぎ込んであげる必要があるのだと。
 ユーリとケンはマリーベルに戻ってきて欲しいと必死に願いました。彼らの、そしてサニーベルの人々の想いによって、 ついにマリーベルは魔法の力を取り戻します。

 見事、復活を遂げたマリーベルはユーリ、ケンと共に人間界へ戻り、聖なる樹と対峙します。
 そこでマリーベルの出した解決法は、聖なる樹と争うのではなく、対話をするというものでした。そして聖なる樹の怒りを鎮めるために、 彼女は魔法を使って人々と聖なる樹とが会話できるようにしたのでした…。

マリーベルに
おまかせよ!


〜ちょっと一言二言〜
 一度は倒れてしまった主人公が、みんなの願いを受けて蘇り、そして最後は人々が手を取り合って事件を解決する…。
 このように「マリーベルの」の最終三話は、まさに王道というべき展開となっています。「マリーベル」第2期目のEDには「もうあきらめて しまう方が 幸せですか」「見えない力を感じて 強い気持ちでいて」という歌詞がありますが、それを表現したような前向きの内容となっていて、 同じ人間の夢を扱っていながら自壊してしまった「海モモ」とは正反対になっている点が興味深いところです (どうでもいいことですが、 この第2期ED「思われている」は超特級の名曲です)。
 個人的な好みでいえば、全体的にノンビリとした物語だった「マリーベル」が最終三話になって急にスペクタクルになってしまったことが 少々残念なところではありました。ですが、メインの視聴者である子供層に最終回だぞと印象付けるためには、これくらい派手な内容にして 正解だったのかもしれません。

 ところで、「マリーベル」と同じ”先天性の魔法使いが人間の世界を訪問する”という形式の作品の場合、その結末は…
 1・魔法の国に帰る(または別の地へ移る)。
 2・魔法の力を失って人間として生活する。
 …の、どちらかのパターンになるのが一般的です。
(1のパターンは「魔法使いサリー」、「魔法使いチャッピー」。 2のパターンでは「魔法のマコちゃん」、「魔女っ子チックル」、「魔法少女ララベル」、「魔法のプリンセス ミンキーモモ」が挙げられます)

 このようになるのは、先天性の魔法使いが人間の世界では異物であるため、その異物を取り除かないことには物語の世界に絶対的安定が得られないから、 という理由によるものだと思われます。これは後天性の魔法使いの物語においてはさらに絶対的なルールとなっていて、大半の作品が魔法の力を 失って日常へ戻るという結末になっています。
 それゆえ魔法の力を失わず、なおかつ人間の世界で生活を続けながら最終回を迎えた作品は非常に少なく、本作以前では 「魔女っ子メグちゃん」「魔法のエンジェル スイートミント」 (「魔女の宅急便」も同種ですが、作中における魔法の扱いが大きく異なるので省きます)しか存在していません。
 「マリーベル」を含めたこれら三作品に特徴的なのは、物語が最終話で閉じていないことです。なぜなら、主人公が魔法の力を失っていないため、 最終話以前と状況が変わっていないからです。ゆえに最終話はそれ以前から連なる物語上の1エピソードにすぎなくなり、この後も物語が続いていくの だろうと思わせるような結末とならざるをえないわけです。

 さらに「マリーベル」は、同じ閉じない結末である前二作品とも決定的に異なる点があります。それは多くの人々(少なくともサニーベルの住人全員) に魔法の力を知られていながら、それでもなお人間界で生活できているという点です。つまり、人間が異物であるはずの魔法の存在を知覚していながら、 それを排除せず受け入れてしまっているのです。
 これは実に途方もないことで、そのような結末を迎えた魔女っ子アニメという点でも、「マリーベル」は注目すべき作品なのではないかと思います。



 必見エピソードの紹介は以上で終了です。次項からは「マリーベル」の四方山話に移らせていただきます。



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