魔法のプリンセス ミンキーモモ
(1991年10月2日〜1992年12月23日・全62話 / TV放送)


〜伝説は海より蘇る〜
 あの「ミンキーモモ」が復活する!

 そんな衝撃的な報せがアニメファンにもたらされたのは、1991年の秋のことでした。
 これより以前、1980年代の後半に「ひみつのアッコちゃん」、「魔法使いサリー」と立て続けに有名魔女っ子アニメがリメイクされ、 共に成功を収めていました。しかし、まさか「ミンキーモモ」までが、という思いがファンにすらあったようです。しかし、その報せは ウソなんかではありませんでした。
 当時のアニメ雑誌を紐解いてみると、例えば「アニメージュ」誌ではカラー8ページで特集という相当に大きな扱いとなっており、これを見るだけでも 当時のアニメファンたちがどれほど大きな期待を抱いていたかが分かるのではないでしょうか。(…などと書いてますが、実をいうと筆者、リアルタイムで は新規の「モモ」をほとんど視聴していなかったため、かなり憶測に頼る記述となることをお許しくださいませ)

 この新作「モモ」の制作陣には、もちろん前作の中核を成していた湯山監督&首藤脚本という不動のコンビが名を連ね、そして作画には葦プロと スタジオライブも前作に引き続いて参加することになりました。またキャラクターデザインには、前作を代表する作画監督・渡辺浩氏が起用されています。
 ただし、この新作「ミンキーモモ」は前作の単純なリメイクというわけではなく、別の違った作品として制作されることになりました。
 で、新しいモモは海の底に沈んでしまった夢の国”マリンナーサ”からやってくる、という設定になっています。このため、現在では空の向こう にある”フェナリナーサ”から降りてきた前作の「ミンキーモモ」を「空モモ」、新作を「海モモ」と読んで区別するのが一般的なようです(というわけで、 以下「空モモ」、「海モモ」と表記していきます)。








 このようにして大きな期待を受けて発進した「海モモ」号。
 しかしながら、番組終了から10年以上を経た現在になって振り返ってみると、その評価はいまだに賛否の間で針が揺れ動いており、当初の期待に 比べると微妙な結果になっているように思います。
 例えば現在でも「空モモ」に言及したサイト、それも「空モモ」オンリーというものが多く見られるのに比べると、「海モモ」の扱いは 非常に小さなものとなっています(「空モモ」に付随して語られるパターンが多いです)。
 それどころか、「海モモは認めない」だの「自分にとってミンキーモモとは空モモのこと」だの、「海モモ」の存在を否定する発言すら見られるという有様です。

 作品単体として見てみると、「海モモ」は決して「空モモ」に大きく劣る作品というわけではない、と個人的には思います。脚本は一定の水準を保って いますし、作画レベルに関してはむしろ「海モモ」の方が比較にならないくらいレベルの高いものとなっています。

 にもかかわらず、どうして先述したような結果になってしまったのでしょうか。
 考えるに、これはやはり、あまりにも前作の呪縛が強すぎたためだと思われます。


 「空モモ」は魔女っ子アニメ、と限定するよりは当時のアニメにロリコンという一大革命をもたらした存在であり、それゆえに熱狂的なファンの 多い作品でありました。
 その熱狂的なファンの多い作品を復活させるまで、製作者サイドは8年の期間をおいています。しかし、わずかに8年という歳月では、過去の記憶を 懐かしさの混じる思い出へと変換するにはあまりにも短すぎる期間だったのではないでしょうか。
 1980年代の中頃にアニメ界ではリメイクブームというものがあったのですが、「オバケのQ太郎」や「ひみつのアッコちゃん」などの成功例は だいたい20年の間をあけて復活しています。これは20年という時間が、記憶が薄れすぎもせず濃すぎもせず、ちょうど良い塩梅に思い出として醸成されるのに ベストの期間だったからなのかもしれません。そしてまた、かつての小さな視聴者が大人に成長して子供を持ち、親子二代で再び接するようになる平均的な 期間でもあります。

 しかし、「海モモ」の場合はわずかに8年でした。まだまだ前作の記憶が強く残っている中では当然、「海モモ」に対してファンの抱いた希望は「空モモ」の 再現であったはずです。さらに主人公のデザインがほぼ同じ、物語の設定も類似している、ときているのですから…こうなると前作の面影を重ねてしまうのは 視聴者としても致し方ないところでしょう。
 が、実際に視聴者の前に姿を現した「海モモ」は「空モモ」とは、かなり肌触りの異なる内容となっていました。
 この違和感は、作画や設定の違いという点もさることながら、それ以上にモモ役を担当された声優の違いが大きく影響したようにも思います。 スタッフの間では前作を「山の手モモ」、本作を「下町モモ」と呼んでいたそうですが、なるほど前作のモモが流暢に英語を喋る元気なお嬢ちゃん的だった のに比べ、林原めぐみ氏の演じるモモ(面倒なので以下、林原モモ)は元気ハツラツ、チャキチャキの江戸っ子のような雰囲気を漂わせています。

 このように両者に違いが生まれたのは、実をいうと当然の結果でした。というのも、首藤氏が「旧シリーズは(中略)あの時代でこそ作れたもので、 リメイクで旧作を越えるのは不可能です」と語っているように、同じ物を作るのでは意味がない、というスタンスで臨んでいたのですから。
 しかし、

 葦プロ・加藤博プロデューサー
  「あくまで、キャラクターのイメージはそのままに、前作を踏襲したつくりを目ざします」
 湯山邦彦監督
  「最初から別のものを作ろうとは考えていなかった」

 というように、制作スタッフが前作の影を引きずっていて、区別というか割り切りのようなものができていなかったようなのです。
 そもそも、肝心の首藤氏ですら「地球にきた理由も、していることもまったく同じな訳ですから、(「空モモ」と「海モモ」の)お互いの個性が 見えてこないんですよ」と述べているのです。


 以上のようなスッキリとしない両者の作風の違いが視聴者に混乱を引き起こさせ、結果、それが現在まで尾を引きずって「海モモ」の評価を 微妙なものとしているのでしょう。
 これに対する回答として、スタッフは遅まきながら中盤で一つの改革を断行することになるのですが、これに関してはもう少し後の項に回したいと思います。




〜「魔法のプリンセス ミンキーモモ」 登場キャラクター紹介〜
 それでは「海モモ」の大まかな内容紹介も終わりましたので、主な登場人物の紹介に移りたいと思います。

ミンキーモモ
 夢の国”マリンナーサ”のプリンセス。人々に夢と希望を与えるため海の底からやって来た…はずなのだが、本人はあまり 気にしていない様子。地上ではレジェンド・インというホテルを経営する夫婦の子供として暮らすことになる。
 地上の人間界は夢の力が不足しているので、基本的に大人に変身する魔法しか使えない。しかし大人になれば様々な専門職のテクニックを 使えるようになり、それで彼女は様々な事件を解決していく。
クックブック&
チャーモ&
ルピピ
 マリンナーサからミンキーモモと一緒にやって来たお供三匹組。
 クックブックは水色の老犬のような生物。知識が豊富なアドバイザー的存在だが、意外と頼りにならない。ご老体なので体力がない。一度だけクックターボ という乗り物に変身したことがある。
 チャーモは城と紫のツートンカラーをした猿のような生物。元気で好奇心が強く、三匹の中で一番活動的。が、全体的に見せ場は少なかったような気がする。
 ルピピは黄色い鳥のような生物。かなりのロマンチストで面食い。
パパ&ママ
 人間界におけるモモの里親となった夫婦。最終回でとんでもない設定が明らかになった。
 パパは考古学者。意外と斯界に知られた人物らしく、特にフェナリナーサや古代の世界共通語ダバダバ語については権威らしい。 性格はママさんラブ。
 ママはレジェンド・インを切り盛りする傍ら、ミステリ小説を執筆する作家。しかし送った原稿の大半がボツになるところを見ると、 作家としてはイマイチのようだ。料理の腕前は見事なもので、特にキャロットケーキは絶品らしい。もちろんパパさんラブ。
王様&王妃
 海の底に沈んだ夢の王国マリンナーサの王様と王妃。
 王様は天下太平お気楽な性格をしていて、やたらめったらダジャレを口にする。フェナリナーサの王様とは、いとこ・はとこ・いとはとこ、という 謎の関係で子供の頃からの知り合い。
 王妃は王様とは正反対の、落ち着いた性格をした女性。こちらもフェナリナーサの王妃とは幼馴染のようで、二人して遊んだことが後々に 大変な騒ぎを引き起こすことに…。
ブレンダ
 祖母と一緒に各地を転々としながら奇術の興行を行っているマジシャンの少女。その生い立ちゆえか、かなりお金に うるさい性格(完全に守銭奴)をしていた。とある事件がきっかけでモモと親交を結ぶことになった。
 実は魔女の血筋を引き継いでおり、効果が中途半端ながらも本物の魔法が使えてしまう。ジョーという名のカラスを相棒にしている。 初登場したのは第17話「魔女の魔法はそろばんずく」。途中で声優が、小林優子氏から鶴ひろみ氏へ入れ替わっている。



 登場人物の紹介は以上で終了です。次項からは「海モモ」の魔法紹介に移ります。



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