アイドル天使ようこそようこ
(1990年4月2日〜1991年2月4日・全43話 / TV放送)


〜「アイドル天使ようこそようこ」 必見エピソード紹介〜
 前項に続き、以下から「アイドル天使ようこそようこ」の必見エピソードを紹介していきたいと思います。



第1話 「ようこそIN公園通り」
第2話 「歌声はバイエルで」
第3話 「おもちゃのロフト」

〜あらすじ〜
 この世界のどこかにある、とある山奥の村。そこに住む少女・田中ようこはブロードウェイのシンガーになることを夢見て、ムササビのムーと ともに東京へと旅立つのでした。やがてようこは、電車の中で知り合った少女・山杜サキと渋谷の町に降り立ちます。
 ところで、どうして渋谷に向かったのか?
 それはサキの持ってきたガイドブックに、渋谷の公園通りを歩けばスカウトされるかも、と書かれていたから。そこで二人は、スカウトされるべく 公園通りを歩き回るのでした。

ようこと駅員のダンス
 しかし何が悪かったのでしょうか。いくら歩き回っても二人は声をかけてもらえません。公園通りで見つけたスカウトマン・原田から強引にアイスター 事務所を紹介してもらうのが精一杯というありさま。
 寝る場所もない二人は、仕方なく公園のベンチで一夜を明かすのでした…。

 翌日。ようことサキは、とにかく住む場所を、ということで不動産屋巡りを始めました。しかし、幼い少女二人に紹介してもらえる物件などあろう はずもありません。
 陽もとっぷりと暮れ、肩を落として公園に戻ってきた二人は、そこで速水亮と出会います。二人のことを気に入った亮は、バー「arisu」を紹介します。 ようことサキは、そのバーで様々な人と出会うのでした。

 さて、さらにその翌日。アイスター事務所にやってきたようことサキは、そこで朗報をもたらされます。なんと、アイスターに所属する女優・久美子が 二人の住む場所を見つけてくれたのでした。
 そこは渋谷にあるオモチャ工場。その二階にあるロフトを二人のために提供してもいいというのです。
 こうしてようやく、ようことサキは念願の住む場所を確保できました。二人の夢に向かっての活動は、これから始まるのです。

二人のロフト


〜ちょっと一言二言〜
 記念すべき「ようこ」の幕開けです。
 大抵のアニメはスタートラインで作品のカラーを見せようとするものだと思いますが、それは「ようこ」も同じ。駅で汽車(!)を待つようこが駅員と 唐突にダンスを始めてしまうシーンが物語の開始からわずか三分も経たぬうちに登場するなど、「ようこ」のポップでカラフルな雰囲気がこの初期三話に ギュッと詰まっています。
 それにしても驚くのは、渋谷に出てきたようことサキの行動でしょう。家を出てきたはいいけど、住む場所がない。仕方なくベンチで一夜を過ごす…という 展開は、現在では放送が難しいかもしれません。そして、それ以上に衝撃的なのが、アイスター事務所がAV系の女優を扱っていたと思われること。「ようこ」が 少女向けアニメだということを考えると、これはなかなか凄いものがあります。



第21話 「歌え!走れ!グランプリ」
〜あらすじ〜
 渋谷の町を舞台として「F1・渋谷グランプリ」が開催されることになりました。徳大寺コンツェルンがスポンサーとなっているドライバー・島中は 渋谷がホームグラウンドということもあって、優勝が期待される存在としてマスコミに取り上げられます。
 ところが、島中は雨が降れば無類の強さを発揮するものの、逆に晴れとなるとからっきしダメ。しかも、最近はスランプ気味ということで予選の タイムも奮わず、不安の残る中で本選を迎えることになりました。
 それを知ったようこたちは、本選の日に雨が降るようにと雨乞いを始めるのでした。そして本選当日の朝…。


〜ちょっと一言二言〜
 ぶっちゃけた話をしますと、この第21話は演出や作画の頑張りが随所に見られるものの、全体としては特別面白いお話でもありません。
 では、どうしてここに取り上げたかというと、第21話は物語の進行上における一つのターニングポイントとなる回だからです。「ようこ」は アイドルのプロモート番組でありながら、ここまでは芸能界の話がほとんど描かれていませんでした。それが、第21話を境にして歌の収録や 映画への出演など、ようやく芸能人らしいエピソードが登場するようになるのです。
 そういうわけで、「ようこ」の全体からすると第21話は重要な回なのではないかと思われるのです。



第28話 「ガラスの中のアイドル」
〜あらすじ〜
 渋谷に建設された世界最大規模のイベントホール「ビッグティードア」。そのオープニング記念として世界中から有名アーティストを招待した イベントが開催されることになり、日本からは星花京子が代表として選出されたのでした。
 ところがその頃、京子の所属するマリンテラスプロでは大問題が持ち上がっていました。なんと、京子が行方不明になってしまったのです。
 日本一のアイドルとして知られる星花京子。しかしながら京子自身は、その人気を砂上の楼閣のようなものだと認識していたのです。 海外から本当の実力を持つアーティストたちが集まれば、たちどころに自分のメッキなど剥がされてしまうに違いない。京子にとってはそれが 何よりも恐ろしく、日本代表という重圧に耐え切れなくなって彼女は身を隠したのでした。
 それでも事態が気になる京子は、リハーサル当日、ビッグティードアへと向かいました。ところが、そこで彼女が目にしたのは自分の持ち歌を 熱唱するようこの姿でした。実は、マリンテラスプロの人間たちが姿を消した京子の代役として、ようこに白羽の矢を立てていたのです。
 自分を遥かに凌駕するようこの才能に打ちのめされた京子は、自分はもう必要とされていない存在なのだ、と失意の中でビッグティードアを 去ろうとします。ところが…。

代役を務めるようこ


〜ちょっと一言二言〜
 タイトルの「ガラスの中の〜」は、ガラス張りのエレベーターを舞台とした物語と、星花京子のガラス細工のように繊細な心理、というダブル ミーニングになっているのだと思われます。が、この28話も単品として見ると目立つところの少ない物語です。
 同じようにサブキャラクターにスポットライトをあてた作品でも、完成度はサキの成長を描いた「わたしのジュリエット」シリーズの方が何倍も上 だと思います。芸能界を舞台とした物語なら、第31話「シネマパニックパラダイス」の突き抜けたメタ演出&ナンセンスコメディの方が圧倒的に 印象に残るでしょう。
 それでも、これを選んだのは…作画面で注目しておきたいところがあったからにほかなりません。非常に極端な意見を書きますが、この第28話の 見所は物語中盤に登場するようこの歌唱シーン、これだけ見れば他はいりません(逆に言えば、ここはそれだけ気合の入った名場面なわけです)。
 この歌唱シーンを担当されたのは、今や名アニメーターとして知られる木村貴宏氏なのだとか。小森高博氏が作監を担当されたこの回は、他にも原画で 沖浦啓之氏、動画で長谷川眞也氏という驚異的なメンバーが参加しています。こちらも注目しておきたいところ。



第41話 「雪のラビリンス」
〜あらすじ〜
 冬。雪の降ったその夜、ようことサキは亮と豊に食事に誘われて楽しい時間を過ごしました。
 その帰り道、公園を一人歩いていたようこは一人のバイオリニストと出会います。ようこは彼の奏でる物悲しいメロディに魅せられるのでした。
 翌日、ようこはバー「arisu」の外に再びバイオリニストの姿を発見します。慌ててその男性の後を追いますが、彼は謎めいた言葉を語る だけで姿を消してしまうのでした。

ようこと謎の男性
 そして三日目の夜。またもやバイオリニストはようこの前に姿を現しました。ようこに対して彼は「約束を果たしにきた」と述べるのですが、 当のようこはというと、約束はおろか男性の顔を見た記憶すらないのです。
 「教えてください、あなたのこと…」
 ようこの言葉に、バイオリニストはある物語を語り始めるのでした。今ではない、遠い、遠い時代の話を…。


〜ちょっと一言二言〜
 この第41話は、一言で書くならSF的アイデアを盛り込んだ感動系ストーリーとなるでしょう。ですが、それよりもどちらかというと、間で魅せる ウェットな内容となっているのが一番のポイントのように思います。
 実は脚本を担当されているのが監督のアミノテツロー氏。全体的にナンセンスな色合いの強い「ようこ」の中では異色中の異色といってもいい 物語になっているのは、このことが影響しているかもしれません。



 必見エピソードの紹介は以上でおしまいです。次項は、「ようこ」の四方山話となります。



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