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治療した歯は悪くなる

 歯医者さんたちは,日頃の経験の中で,治療した歯のほうが治療しない歯よりも悪くなりやすいことをよく知っています.もちろん、こんなことはあまり口にしません。治療したほうが悪くなるなんて、おかしなことですが本当です.

 銀歯をかぶせた歯のほうが,何もしない歯よりも早く失われるという調査もあります.とくに歯のクビのあたりまですっぽりと被せた歯が早く悪くなるようです.一般論として,とにかく治療のしてない歯のほうが,治療を受けたことのある歯よりも長持ちする傾向があると言えます.

 その原因はいくつか考えられます.すなわち,被せるような歯は,そもそも大きなむし歯だった,つまり悪くなりやすい歯であるということ,詰め物と歯の境目からむし歯が出来やいこと,詰め物の周りに汚れが貯まりやすく歯周疾患を起こしやすいことなどが考えられます.

 それならば,「治療しないほうがいいのか」という質問したくなります。そこが難しいところです.正直なところ,どの程度のむし歯ならば,歯を削って治療したほうが良いのかという基準がはっきりしていないのです.

 とくに小さなむし歯を削るか,削らないで済ますのかは歯医者さんたちも非常に迷うところです.大きな穴が開いたようなむし歯は削るしかないのですが,その場合も,すっぽりと被せるのか,部分的に被せるのか判断は一定していません.こういうことについては,歯科の医学としての基盤が定まっていません。それぞれの歯医者さんの裁量に任せられているのが現状です。

 その歯の治療をどのようにするのかという問題については一概には言えません.例えば,同じ大きさのむし歯であっても,10才の子供のむし歯と60才の人のむし歯は,同じ治療法というわけにはいきません.むし歯の活動性(悪性度?)が年齢によって異なるからです.あるいは,フッ素を使っている人と使っていない人でも治療法は異なります.フッ素を使っている人のほうがむし歯になりにくいことがわかっています。歯磨き状態の良い人,悪い人でも治療法は異なることがあります.

 結局,その歯を治療するか否かは,歯医者さんが決めることになりますが,それらを総合的に診断するのが歯医者さんの能力(診断力、技術力)ということになります.この能力は,それぞれの歯医者さんで異なりますので,これもまた難しいところです.

 結論的には,いろいろ疑心暗鬼にならずに,信頼できそうな歯医者さんに任せるしかなさそうです。上手に治療をうければ,それなりのメリットがあることは確かです.いろいろと心配な人は,フッ素入り歯磨き剤を使う,歯磨きは人一倍念入りにするなどして自衛して,できるだけ歯医者さんに行かなくても済むような状態を維持することです.

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