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のっけからピアノ版です。もともとハルサイのピアノ版は、ピアノ2台での演奏用に編曲された4手版というのが存在するんだけど、本作はサイによる多重録音版。4手版をベースに、ピアノのあらゆる奏法を駆使してオーケストラの音を全部拾ったらしい。とにかく凝りまくりの一品だが、こういうのはハルサイを愛してなかったらできないだろなあ。 で、実は個人的にこれが初めてのハルサイ。曲がとっつきにくく、何回も聴かないと面白さが見えなかったけど、まあこういうことはままあるわけで、たとえばYesの「危機」やレコメン系なんかも僕にとってはそういう類の音楽だった。最初は難解でも、ハマってしまえば最高なわけです。 サイの解釈は個人的にすごく共感でき、静動の力の入れ具合、テンポやアクセントの位置など、ほとんど不満がない。序奏はひたすら妖しくも美しいし、「誘拐の遊戯」は死ぬほどスリリングだし、「大地の踊り」は息苦しいほどに緊張感が高い。そしてなにより、かなり強靭な打鍵で、猛り狂いながら馬車馬のように爆進するラストの狂気。そこにはもはや理性も何もない。すべて丸出し、なにもかも曝け出して、忘我状態で事切れる、まさに美と狂気の祭典という感じである。 とにかくテンション高いんだけど、冷静に全体を振り返ってみると不思議と端整な演奏なのよ。だからかどうかわかんないけど、とにかく飽きるということがない。だいぶ前に買ったが、未だに毎日聴ける。 このサイ盤は、「春の祭典」一曲しか入っていないため、日本盤でさえ1050円しかしません。輸入盤はPCで映像が見られます。タワーレコードのクラシックコーナーにあります(上記ジャケットをクリックするとアマゾンの当該ページへ)。買うべし。
またもやピアノ版。こちらは4手版なので、時として10手も使う上記サイ盤と比べると当然音数は少ないのだが、思ってたほどに聴き劣りしないのが不思議。とはいうものの、やはり音数が少ないのは残念である(というか、これが正規のピアノ版なんだけどね)。また残響が少ないのもちょっと物足りない。サイ盤と比べると、少々ちゃちく聴こえる。まーサイ盤をかなり聴いてきたからなあ。自分の中では完全にそれが基本形になってしまっているから、なにを聴いても違和感あるのかもしれん。しかしまー、これはこれで、この盤なりの良さはある。サイ盤に勝ってる部分もちらほらあるし。第一、4手でよくこれだけできるもんだ。 ちなみに、併録のケージはかなり面白い。民俗音楽チックでミニマルっぽくもある。とくにパート3は、躍動感があり音数もかなり多く、かなり速いのにめちゃくちゃ変則的で、もうわけわかりません。一方、ライヒはめちゃ単調なのであまり面白くない。第一、オルガンは苦手だからなあ。あんま好きじゃない。 このディスクは、輸入版で1300円ほど。非常にお買い得。タワレコでも買えます。
しつこくピアノによるハルサイ。今度は2手版です。もともと2人で演る編曲があるのに、それをひとりで演っちまおうっていうんだから驚きです。しかも、自分で独奏用に編曲しているという気合の入れよう。この偏愛ぶりは、ひとりで多重録音したサイに負けてません。 さて演奏だけど、独奏なのに、とくだん4手版に聴き劣りしないというのは立派。しかし、一部でアシャツ独自の音が聴けたりするものの、全体的にはさほどのサプライズがなく、割とおとなしい。もっとエグさやグロテスクな面を前面に出してくれたら、ぞくぞくするような名盤になったのに。もっと猛れ!咆えよ!と言いたい。でもまー、技巧的にさしたる不満もなく、独奏版としての価値はやっぱ高いけどね。 「火の鳥」はアシャツとストラヴィンスキーの息子さんの編曲で、やはり独奏です。まー、ハルサイと同じで、これは!という驚きはなく、ホントひとりでよー頑張ってるなと思いつつも、どこかでオケ版のほうが良いよねと思ってしまう。 「ペトルーシュカ」はローランド・ポンティネンの演奏。ペトルーシュカはめちゃムズい曲だけど、やや遅めのテンポで大過なく無難にこなしている。だからもちろん悪くないんだが、かといってすごく良いというわけでもない。
今度はオルガン版です。 ふごーー!ふがーッ!という力強くて凄みのある音や、SFちっくな玄妙な音など、オルガンならではの面白い音がいっぱい聴けるが、反面、込み入った和音の部分などは音の輪郭がぼやけやすい。特に低音部が濁りやすく、背後の音がよくわかんなくなる。また、速い連打が苦しかったり、このへんにオルガンの限界を感じたりもする。。 ともあれまー、オルガンの音は楽しめたんだが、編曲や解釈の点ではあまり面白味がなく、水準以上の演奏だとは思うんだけど、やはりこうした編曲もの(しかも音色の豊富なオルガン!)には、その楽器にしかできない表現や、はっとするような驚きを求めてしまう。演奏うまいねーという感想だけで終わるのはちょっと寂しい。単にオケ版をオルガンに写したというだけではなく、もっと編曲した意味を感じさせてほしかった。だからまー、上記のアシャツと同じく、演奏技術や偏愛ぶりには敬意を払うが、あまり印象に残るものではなかったというのが正直なところ。 しかし、そうは言っても、買って後悔したということはまったくない。むしろ聴けてよかったと思っている。やはり好きな曲だからこそ、いろんなヴァージョンで聴いてみたいし、少なくとも、この編曲は失敗はしていないし。 ちなみに、ライナーがドイツ語なので詳細はまったくわからんが、おそらく、アシャツと同じように2手版だろう。
この盤は、数あるハルサイの中でもけっこう異端視されているらしい。ゆえに賛否両論あるみたいだが、賛のほうがだいぶ勝ってるようである。ちなみに、僕が初めて買ったオケ版がこれだったので、そんなに変わってるとは思わない。ほかの指揮者もいくらか聴いてみた上で改めてこれを聴くと、なんだかだいぶ劇的に演奏してる感じはする。そういう劇的演出を嫌う向きもあるようだが、まー、なんだかんだ言って個人的にはけっこう好き。全体的な印象としては、けっこう土俗的で、「異教徒」の雰囲気はかなり出てます。アヤシイ〜感じがなかなかよい。 特徴的なのはやはり第二部。下記タイムテーブルを見ればよくわかるが、テンポが非常に遅い。後述のブーレーズ盤よりも遅いので、まどろっこしいかと思いきや、意外とそうでもない。その分、「異教徒」の怪しい雰囲気がよく出ている。序奏の静けさなんて死臭がぷんぷんしてます。その濃密なあやし〜い静寂が、不吉な何かを予感させる。遠くの空がドス黒く曇ってるような感じの不気味な静寂。 フィナーレはかなり劇的。一歩一歩踏みしめながら破局へ向かうに従い、こちらの心拍数も上がってくる。そして最後の一撃の前の長い沈黙。これが最高。この沈黙を破って、すべてを完全に葬り去るべく、冥界から圧倒的な一撃が飛んでくる。それが鉄塊で叩き潰すかのごとき一撃なわけです。地獄!!!
最初聴いたときは、おいおいそりゃねーだろと思ったわけだけど、やはりこの盤のテンションの高さは特筆もんだよなあ。マグマでいうと、トゥールーズでしょうかね。とにかく、バーバリズムの極致ともいえる内容で、テンション高すぎてリズムが乱れがちなんだけど、そんなこたぁどうでもええわいと思わせる爆発的突進力とエゲツないほどの破壊の数々が繰り広げられている。もう、破壊神降臨て感じである。これでもかというくらい暴虐の限りを尽くています。 このように、動的エネルギーがあまりにも凄まじいので、生身の、剥き出しの「生」が圧倒的に迫ってくる。それゆえ、直截的で明快で非常にわっかりやすく、また聴き所も満載。とくに、眼前の惨状に並行して、水面下でも同規模かそれ以上の規模でうごめいている莫大なエネルギーが、一気に噴出して津波のように押し寄せてくる「大地の踊り」は圧巻。その凄まじさは、思わず身の危険を感じるほど。 第二部になっても相変わらず大暴れ。「選ばれた乙女への賛美」に至る太鼓連打なんてめちゃ凶悪です。破滅の音です。破滅の。そして最後の「いけにえの踊り」。これがまた、地獄の釜の蓋を開けるが如く、その凄絶さたるや、もはやこの世のものではない。地軸が揺らぐほどの再三の爆撃に次ぐ爆撃で、全てが死に絶え、もはや草木一本残っていないのに、だめ押しの一撃を以って容赦なく幕。は、春が再び巡ってきますように(^^;
ハルサイの決定盤と言われているのがこれ。まあたしかに悪くはないですけど、あまり面白くないです。テンポの緩やかな緩衝部はかなりいいんだけど、大激動するパートまで遅い。なんちゅうか、僕がこの曲に求めてるものは、深いところから沸き起こる根源的な爆発力みたいなものなので、もっとなりふりかまわず突撃してほしい。まあそういうのは浅い聴き方だとは思うけど。 しかしまー、マルケヴィチを聴いちゃうと、やはり物足りなさを感じますな。緩衝部はマルケよりもはるかに良いので非常に惜しい。もっと大爆発してくれれば。ちょっと理知的過ぎるんだよね。 でもまあ、細部までよくわかる演奏ではあります。今、何が、どこで、どのように起こっているのか。これだけよく見えると、本質的なものというのは本来グロテスクであるということがよくわかる。けどまー、理性の眼で見るとグロくて狂ってるんだが、感情の眼で見ると美しいんだねこれが。困ったもんだ。 なお、カップリングのペトルーシュカのほうは最高。
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| 春の祭典は、バレエ音楽なんである。バレエのために書かれた曲なんである。だから当然、現在までに数々の「バレエの春の祭典」が上演されてきたわけである。しかし、このバレエ、僕はまだ見たことない。世間的にも、音楽は好きだがバレエはまだ見てないという人が多いんではないだろうか。 むかし、NHKのドキュメントでそのバレエの断片をちらっと見たことあったけど、これがめちゃくちゃ面白そうだった。いろんな振り付けがあって、どれも面白そう。衣装も、凝った民族衣装のようなものから、シンプルなレオタードまでけっこう多彩。一度通して見てみたいもんだ。放送してくれNHK。 上記の画像はそんなバレエの一場面だが、生贄の少女が踊り狂う背後で、大地から生贄よこせとばかりに突き出している腕のオブジェが面白い。ちょっと画像処理してみたが、両手先とつま先に躍動感が出て、なかなかよい効果が生まれている。満足。 追記: YouTubeで春の祭典にまつわる映像をいくつか発見したので紹介します。 タイトルをクリックすると別窓で当該サイトに飛びます。低速回線の方は、画面の大きさを変化させるか、ダウンロード開始後すぐに停止を押して、全部ダウンロードしてから見ることをおすすめします。 ■ 伝説の初演の再現映像 Premiere Performance Part1 A Premiere Performance Part1 B Premiere Performance Part2 A Premiere Performance Part2 B 1913年にパリで初演された春の祭典は、演奏会史上に残る大スキャンダルとなったそうな。当時の感覚からすると、ハルサイはあまりにもラジカルすぎて、客には騒音にしか聞こえなかったようだ。ニジンスキーの振り付けも、従来のバレエの振り付けからはありえない、相当にぶっとんだものだったようで、理解できずに発狂した当時の観客はたちまちフーリガンと化した(映像では再現されてないが、殴り合いもあったらしい)。そんな修羅場と化した状況にもかかわらず、踊り子たちは踊り続け、オーケストラも演奏を止めなかった。そうした芸術家たちと聴衆の、いわば闘いの模様が収められているのである。 まず、冒頭のファゴットが鳴り始めてすぐに客席から嘲笑や哄笑が沸き起こる。次第に、やめろやめろ!などの観客の罵声がある程度やかましくなってきたところで、ストラヴィンスキー(?)がキレ気味で「Keep Going(怒)」というのが笑える。そして、こんなものはゴミだカスだ、歯医者を呼べ!などの怒号によって、音楽が殆ど聴こえなくなる状況の中で、ブチギレ寸前の若きニジンスキーが、必死でカウントを数えてダンサーたちに伝えるシーンがなんとも印象的である。 その後も騒ぎ続ける観客に、黙って聴かんかい!と呼びかけたり、客電を入れたり消したりして冷静に観るように促したりもするんだが、一切無駄である。客の狂乱は治まらない。 しかし、なんやかんやあっても、音楽的緊張が高まってくるラスト近くでは観客も騒がなくなり、クライマックスでは見てるこちらも思わず息を飲む。最後に、事切れた生贄の乙女が高々と神に捧げられた後は、ブラボーとブーイングの嵐。実際もこんな感じだったんだろうね・・・。 まー、というわけで、非常にリアルに再現されており、当時の臨場感がものすごく伝わってくる興味深くて笑える映像だった。放送してくれNHK。 それにしても、ダンサーの民族衣装がかわいかった。三角帽子とかさ。振り付けも面白い。 ■ 男と女がテーマ?な映像 Stravinsky Rite of Spring - Young Girl's Dance こちらは、ひじょーに変わった演出の、ちょっと異様な感じのする映像でした。 まず、比較的美形のアジア系ねーちゃんがひとり、キャミソール、ミニスカという出で立ちで、暗い舞台の中央にすっと歩み出てくる。この時点で「なんだこれは?」と思ったんだが、それからねーちゃんは悩ましげな動作で、なんとパンツを脱ぎだすのである。そして、パンツを両足首にかけたまま、ぽつねんと佇んでいる。すると、同じようなファッションをした女性ダンサーが5人出て来、やはりパンツを脱いで両足首まで下げる。一体、何をやっとるのだ、キミらは。ほんと意味ワカンネーです。ともあれ、ここでやっと序章が鳴り始め、パンツ降ろしたまま踊りだすのである....。 まあ、見てやってください(^_^ゞ 容量の都合のためか、8分半しかないけど。 |
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