ストラヴィンスキーといえば、有名なのが三大バレエ、すなわち「春の祭典」と「火の鳥」、そしてこの「ペトルーシュカ」である。「ペトルーシュカ」は、最初はピアノ協奏曲として構想されていただけに、煌びやかなピアノが重要なパートを担う管弦楽曲として、1911年に作曲された。そしてその後、ショパン弾きとして非常に高名だったアルトゥール・ルービンシュタインが、ストラヴィンスキーに「俺のために世界一難しい曲を書いてくれ」と依頼したことがもとで、1921年に、すでに完成していた「ペトルーシュカ」からピアノパートを中心に、3つの楽章に編曲されたものが、このピアノ独奏版である。


< 「ペトルーシュカ」からの3楽章 >
第1楽章 : ロシアの踊り
第2楽章 : ペトルーシュカの部屋
第3楽章 : 謝肉祭の日


< 管弦楽版「ペトルーシュカ」(1911年版) >
第1場 : 謝肉祭の市
1.導入−群衆
2.人形使いの見世物小屋
3.ロシアの踊り

第2場 : ペトルーシュカの部屋
4.ペトルーシュカの部屋

第3場 : ムーア人の部屋
5.ムーア人の部屋
6.バレリーナの踊り
7.ワルツ
第4場 : 謝肉祭の市(夕景)
8.乳母の踊り
9.熊を連れた農夫の踊り
10.行商人と2人のロマの女性
11.馭者と馬丁たちの踊り
12.仮面をつけた人々
13.格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩)
14.終景(ペトルーシュカの死)
15.警官と人形使い
16.ペトルーシュカの幽霊の出現

*赤字で表記された部分が、独奏版に取り入れられた部分である。独奏版の第3楽章は、管弦楽版の第4場にあたるが、通常では「熊を連れた農夫の踊り」はカットされる。


この曲はピアノ独奏曲としては最高峰に難しい作品となっており、依頼したルービンシュタインでさえもたぶん弾けなかったというほどの殺人的技巧曲となっている。
まあ、一般的には、演奏の難度があまりにも上がりすぎると、それに比例して曲が面白くなくなってしまう場合が多いようだが、この曲は難度が高いにもかかわらず、曲自体も非常に起伏があり、めまぐるしく展開し、ドラマティックでかつとても美しいという奇跡のような最高のショーピースだと思っている。ほんとに、ピアノ一台でこれだけのエンターテイメントと殺人的技巧を盛り込める音楽はそうそうない。僕は、ピアノ独奏曲でこれ以上の作品をまだ知らない。

でもまー、激ムズといっても、今となっては弾き通せるピアニストはたくさんいる。しかし、ただ弾き通すのではなく、作品として非常に高度なレベルで弾きこなせるピアニストがいるかというと、殆どいないと思う(まあそれはどんな作品についても言えることではあるが)。

さて、ぼくが初めて聴いたディスクは、ご多分に漏れずポリーニ盤だった。そのころは管弦楽版の「ペトルーシュカ」もまだ頭に入っていない頃だったので、このピアノ独奏版も聴き始めの頃はあまり良さがわからなかった。しかし、知らぬ間に曲の魅力に開眼し、現在では最も好きなピアノ独奏曲のひとつになっている。
まあそんなわけで、大好きになって以来、せっせと聴き比べをしているのです。未聴の音源は、とりあえず買って聴いてみる。駄演とされる演奏についても、「どうだめなのか」自分の耳で確かめたい!という偏愛ぶりなのである。でも、超難曲にもかかわらず、意外と音源が多いんですわ。確認してるだけで、下記の2倍は軽くあります。どうしよう・・・。

以下、録音年度が新しい順に、手持ちディスクを掲載。
星は、★が1、☆が0.5の意。





ホン/<ペトルーシュカ>からの3楽章 アルピン・ホン(Alpin Hong) ★★★★
録音:2004年 MSR

1-2.D.スカルラッティ/ソナタ K141(L422)、K87(L33)
3-8.ブラームス/6つの小品 op.118
9-12.ドビュッシー/ベルガマスク組曲(前奏曲/メヌエット/月の光/パスピエ)
13-15.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
バッカウアー・コンクールの優勝者だそうで。けっこう濃ゆい顔をしてるが、技巧水準も高いし、終始生き生きしていて好印象。3楽章の最後も、ズガーーン!と雷鳴が轟くような終わり方で面白い。


広瀬悦子/<ペトルーシュカ>からの3楽章 広瀬悦子 ★★★★
録音:2004年 Denon

1.ウェーバー(タウジヒ編)/舞踏への勧誘
2.リスト/ウィーンの夜会 第6番
3-9.チャイコフスキー(プレトニョフ編)/《くるみ割り人形》組曲(行進曲/金米糖の踊り/タランテラ/間奏曲/トレパック/中国の踊り/アンダンテ・マエストーソ)
10-12.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
13.ラヴェル/ラ・ヴァルス
べつに邦人贔屓をするつもりはないが、独特の演奏で、テンポも遅い方だが、よくわからない魅力がある。技術もまあ高い方。


キーシン/<ペトルーシュカ>からの3楽章 エフゲニー・キーシン(Evgeny Kissin) ★★★☆
録音:2004年 RCA

1-5.スクリャービン/5つの前奏曲op.15
6-9.スクリャービン/ピアノソナタ第3番
10.メトネル/追憶のソナタ(忘れられた調べ第1集より)
11-13.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
1楽章は部分的に瞬発的なキレがあったりして聴かせるが、3楽章になると鐘の部分でテンポが崩れたり、指回りを要求される部分で低速化したりと、目に見えて精彩を欠く。キーシンって、もっと弾ける人だと思ってたんだが・・・。


カバッシ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ダヴィデ・カバッシ(Davide Cabassi) ★★★★
録音:2004年 Arte Nova

1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4-9.バルトーク/舞踏組曲
10-12.ファリャ/「恋は魔術師」より(パントマイム/恐怖の踊り/火祭りの踊り)
13.ラヴェル/ラ・ヴァルス
薄いヴェールに淡い光がゆらゆら透けているような、印象派ちっくな音色がなんとも美しい。加えて、なかなかしっかりしたテクニックも持ち合わせており、1、2楽章はかなり良い部類の演奏。3楽章もこの調子でいってほしいところだったが、やはり難所では持ち前の音色攻撃も、「それどころではない」といった感じで余裕がなくなってしまっている。それでもまあ、そう悪い演奏ではないが。


ホルムルンド/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ミカエル・ホルムルンド(Mikael Holmlund) ★★★☆
録音:2003年 Caprice

1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4-5.J.S.バッハ(ブゾーニ編)/プレリュードとフーガ BWV.532
6-19.リスト/ピアノソナタロ短調
よく弾けてるのだが、取り立てて目を引く部分のない、いたってフツーの演奏。ポンティネンを若干速くしたよう感じ。ただ終始びみょーにぎこちない。


マルグリス/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ユーラ・マルグリス(Jura Margulis) ★★★
録音:2003年 Ars Musici

1-20.ラフマニノフ/コレルリの主題による変奏曲
21-23.プロコフィエフ/ピアノソナタ第7番
24.メトネル/ ト短調ソナタ
25-27.ストラヴィンスキー/《ペトルーシュカ》からの3楽章
28.スクリャービン/エチュードop.2-1
ゆっくりめのテンポで丁寧に弾いているため、大きなミスがない反面、それほど魅力もない。
3楽章では、管弦楽版と同じく、「熊を連れた農民」を挿入している。


シェン/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ウェン=ユー・シェン(Wen-Yu Shen) ★★★
録音:2003年 Cypres

1-3.ラフマニノフ/ピアノソナタ第2番
4-6.ラフマニノフ/前奏曲op.32-5,10,12
7.ラフマニノフ/「音の絵」よりop.39-9
8.リムスキー=コルサコフ(ラフマニノフ編)/くまんばちの飛行
9-11.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
1楽章と2楽章が非常に遅い。しかし、遅い部分は遅く、速い部分は適度な速さで弾いているのでメリハリがあり、たしかにトータルとしては遅いのだが、とても音楽的に聴こえる。技術力もまあまあで、部分的にすごく良かったりするのだが、やはり3楽章で明確に苦しげな箇所もある。
ちなみに、奏者は2003年のエリーザベト王妃国際コンクールで第2位を得ている。


アニクシン/<ペトルーシュカ>からの3楽章 マキシム・アニクシン(Maxim Anikushin) ★★★☆
指揮:D.ヤブロンスキー/ロシア国立管弦楽団
録音:2001年 Bel Air Music

1-4.ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲第1番
5-7.プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番
8-10.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
けっこう快速系。多少音が濁るが、よく弾けているほう。


ル・ゲ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 クレール=マリ・ル・ゲ(Claire-Marie Le Guay) ★★★
録音:2001年 ACCORD

1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4-6.ラヴェル/「ダフニスとクロエ」(ピアノ独奏版)
ふつー。悪くないが印象薄い。3楽章の最後の一撃に、やけに力が入っている。


トルプシェスキ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 シモン・トルプチェスキ(Simon Trpceski) ★★☆
録音:2001年 EMI

1-7.チャイコフスキー(プレトニョフ編)/《くるみ割り人形》組曲
(行進曲/金米糖の踊り/タランテラ/間奏曲/トレパック/中国の踊り/
アンダンテ・マエストーソ)
8.スクリャービン/ピアノソナタ第5番
9-11.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
12-15.プロコフィエフ/ピアノソナタ第6番
2楽章の終盤のブワーーっと音響を轟かせるところや、3楽章のスローな冒頭など、独自色がけっこうあり、部分的には非常に面白いのだが、聴かせどころであからさまに低速になってしまうので、全体的な印象がどうしても悪くなってしまう。


ザドラ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 リッカルド・ザドラ(Riccardo Zadra) ★★★★★
録音:99年? Aura Music

1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4-6.ドビュッシー/「版画」(パゴダ/グラナダの夕べ/雨の庭)
7-14.ラヴェル/優雅で感傷的なワルツ
15.ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
なんだか怪獣みたいな名前の全く無名の人であるが、ポリーニと肩を並べられるくらいよく弾けている。強いて難を言えば、フレーズ間の流れ、音楽的繋がりがやや不自然というところか。3楽章では、最難所で音を端折ってるようだが(この手の難所での端折りは多くのピアニストに見られる)、聴感上は問題ない。
ちなみに、84年のブゾーニ・コンクールで6位(1位はロルティ)、88年のシドニー・コンクールで2位だそうである。


Gwhyneth Chen/Stravinsky、Scriabin グウィネス・チェン(Gwhyneth Chen) ★★★★☆
録音:98年 ProPiano

1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4.スクリャービン/幻想曲 Op.28
5-8.スクリャービン/ピアノソナタ第3番
演奏精度では上位の奏者に幾分見劣りするが、若々しい元気の良さ、パワフルな勢いの良さは買いたい。あまり演奏の完璧さにはこだわらず、推進力のある鮮烈な表現に重きを置いた感じであるが、それがかえって爽快で、実にすがすがしい。第1曲でその特徴が顕著に出ている。ただ技巧的にハードになる第3曲になるとテンポが落ちるが、遅めのテンポでもきちんと弾けており、それほど大きな減点要因にはならない。水が泡立つようなラストもグッド。


ヒル/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ピーター・ヒル(Peter Hill) ★★★
録音:96年 Naxos

ストラヴィンスキー:ピアノ作品集
1-3.ピアノソナタ第2番 / 4-11.5本の指で(8つのとても易しい小品)
12.ピアノ・ラグ・ミュージック / 13.タンゴ / 14.コラール(1920)
15-18.セレナード / 19-21.「ペトルーシュカ」からの3楽章


カスマン/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ヤコフ・カスマン(Yakov Kasman) ★★★★
録音:94年 Calliope

ムソルグスキー
1-14.展覧会の絵 / 15.ゴパーク / 16.瞑想 / 17.涙

ストラヴィンスキー
18-20.「ペトルーシュカ」からの3楽章 / 21.タンゴ
テクニックはすごくあるんだが、解釈(?)が変な印象。1楽章はなぜか和音を滲ませて、輪郭があやふやにしてしまっているし、3楽章は部分部分でテンポが変だったり、意味不明なタメがあったりと、けっこうクセがある。あと、「熊を連れた農夫」が入っているが、それを8分40秒で弾ききってしまうのはやはりすごい。
関係ないが、「展覧会の絵」は名演。


ウゴルスキ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 アナトール・ウゴルスキ(Anatol Ugorski) ★★★
録音:91年 DG

1-16.ムソルグスキー/展覧会の絵
17-19.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
遅さ爆発だが、弾けてはいる。


ブロンフマン/<ペトルーシュカ>からの3楽章 イェフィム・ブロンフマン(Yefim Bronfman) ★★★★
録音:90年 Sony

1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4-19.ムソルグスキー/展覧会の絵
20.チャイコフスキー/ドゥムカ(ロシアの農村風景)
非常に良く弾けていて、技巧的にはトップレベルの演奏。とくに1楽章が素晴らしい。しかし、どうも肩に力が入っていて、3楽章など表現が少し硬い。
余談だが、友人にドラマ「のだめカンタービレ」で、先生宅のプレイヤーで鳴ってたのは誰の演奏かと訊かれ、ドラマを全く見てなかったのでVTRを見せてもらったら、1楽章の最初の40秒くらいが使われていたが、それがどうもブロンフマンっぽかった。後日、ディスクを持参し、VTRとCDを同時再生したら、やはりこのブロンフマン盤である。2つの演奏が寸分の狂いなく進行するのはちょっとした快感だった(^_^ゞ


ロルティ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ルイ・ロルティ(Louis Lortie) ★★★★
録音:88年 Chandos

1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4-6.プロコフィエフ/ロミオとジュリエットよりNo.4、6、10
7.ラヴェル/ラ・ヴァルス(pf独奏)
8.ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー(pf独奏)
これまた技巧的に高度に安定した相当優れた演奏である。しかし、優等生的というか模範的に過ぎるというか、どーも印象が薄い。とてもまろやかなんだけど、コクがなくて塩気が足りない。これだけ弾けるんだったらもうちょっとパンチの効いた表現を聴かせて欲しいもんだが。。。


ポンティネン/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ローランド・ポンティネン(Roland Pontinen) ★★★
録音:84年 BIS

1-2.ストラヴィンスキー/春の祭典(アシャツ編による2手版)
3-7.ストラヴィンスキー/火の鳥(アシャツ、S.Stravinsky編による2手版)
8-10.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章

*「春の祭典」と「火の鳥」はアシャツによる独奏
自分の技巧レベルに合わせて、ゆっくり着実・丁寧に弾いている。難所も大過なくクリアしているが、さしたる特徴は見当たらない。


ラーンキ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 デジュー・ラーンキ(Dezso Ranki) ★★★★☆
録音:79年? Apex

ストラヴィンスキー
1-3.「ペトルーシュカ」からの3楽章 / 4.ピアノ・ラグ・ミュージック / 5.タンゴ
6-9.セレナーデ / 10-12.ピアノソナタ

バルトーク
13-16.組曲 sz.62
17-21.「戸外にて」(笛と太鼓で/舟歌/ミュゼット/夜の音楽/狩り)


ベロフ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ミシェル・ベロフ(Michel Beroff) ★★★☆
指揮:小澤征爾/パリ管弦楽団
録音:79年 EMI 2枚組み

ストラヴィンスキー:ピアノ作品集
CD1:1-4.ピアノソナタ第1番 / 5.スケルツォ / 6-9.4つのエチュード /
10.ドイツの行進曲の思い出 / 11.子供のためのワルツ / 12-19.5本の指で(8つのとても易しい小品) / 20-22.ピアノソナタ第2番 / 23-26.セレナーデ / CD2:1-3.「ペトルーシュカ」からの3楽章 / 4.ピアノ・ラグ・ミュージック /
5.タンゴ / 6-8.ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ / 9-11.ピアノと管弦楽のための協奏曲 / 12-16.ピアノと管弦楽のための楽章
ぺらぺらのプラスティックみたいな音で、なんだか。。。この人のメシアンはあれだけ凄かったのに。


トラーゼ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 アレクサンドル・トラーゼ(Alexander Toradze) ★★★☆
録音:77年(LIVE) Vai

フローテ:1.ショパン/スケルツォ第3番|2-3.バルトーク/「戸外にて」より第1、4曲| 4.バーバー/バラード
トラーゼ:5.バッハ(リスト編)/カンタータ12番「泣き、歎き、憂い、怯え」の主題による変奏曲|6-8.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
スワン:9-11.シューマン/幻想曲ハ長調Op.17
とにかく速い。ミスタッチが非常に多く、ディテールも潰れているが、委細構わず突っ走っている。まあ、この路線ではベルマンよりは買える。


ソウリマ・ストラヴィンスキー/<ペトルーシュカ>からの3楽章 スリマ・ストラヴィンスキー(Soulima Stravinsky) ★★★
録音:75年(LIVE) Centaur

ストラヴィンスキー: ピアノ曲集
1-8.5本の指のための / 9-10.ワルツ1,2番 / 11.ポルカ /
12-13.「火の鳥」よりスケルツォ、子守唄 / 14-15.4つの練習曲より3.4番 /
16.セレナード / 17-18.「兵士の物語」より第1部の音楽、王様の行進曲 /
19.「プルチネルラ」より2曲抜粋 / 20.ピアノ・ラグ・ミュージック / 21.タンゴ /
22-24.ピアノソナタ第2番 / 25-27.「ペトルーシュカ」からの3楽章
ストラヴィンスキーの息子さんの演奏です。やはりというかなんというか、随所で技巧的拙さが目立つ。和音が濁りがちで、ピアノの音もなんか変なので、あまり印象は良くなかったんだが、なぜか難所ではテンポが崩れない。巧いのかヘタなのかよーわからん人だ。でも、これがライヴであることを考えると、比較的よく弾けているほうなのだろうか。全体的なテンポも、インテンポぎみで適性だし。


レーゼル/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ペーター・レーゼル(Peter Rosel) ★★★
指揮:ケーゲル/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:74年 徳間ジャパン(Berlin)

ストラヴィンスキー
1-3.ピアノとオーケストラのためのカプリッチォ
4.サーカス・ポルカ
5-7.「ペトルーシュカ」からの3楽章
けっこう低速系だが、その分着実に弾く、どちらかといえば模範的で真面目な演奏。面白味はあまりない。もっと遊び心がほしい。


ギレリス/<ペトルーシュカ>からの3楽章 エミール・ギレリス(Emil Gilels) ★★★☆
指揮:L.マゼール/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
録音:73年 Philips

CD1:1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章|4.メトネル/「忘れられた調べ」より第1番「回想ソナタ」|プロコフィエフ:5-7.ピアノソナタ第8番/8-15.「束の間の幻影」より1,3,5,7,8,10,11,17番/16.ピアノソナタ第3番/17.「3つのオレンジへの恋」より「行進曲」op.33ter|CD2:1.リスト(ブゾーニ編)/「フィガロの結婚」より2つの主題による幻想曲|リスト:2.ハンガリー狂詩曲第9番「ペストの謝肉祭」/3.忘れられたワルツ第1番/4.スペイン狂詩曲|5-7.チャイコフスキー/PC2|8.J.S.バッハ(シロティ編)/前奏曲ロ短調
ミスタッチが多少あるが、テンポはそれなりに速いので好感が持てる(3楽章の後半からは低速化するが)。ただ、細かい省略が非常に多いのが難点で、管弦楽版に沿うかたちで、2楽章の轟音連打がカットされているのが特に目立つ。また3楽章ではマルグリスと同じく「熊を連れた農夫」を挿入しているので、これはヴェデルニコフのように管弦楽版を再現しようとしているのかと思いきや、後半2分くらい大胆にごっそりカットされているので唖然となる。なんでこういうことするかなー。


ギレリス/<ペトルーシュカ>からの3楽章 エミール・ギレリス(Emil Gilels) ★★★☆
録音:73年(LIVE) Supraphon

モーツァルト
1-2.ピアノソナタ第18番 K.533(+K.494) / 3.ロンド ヘ長調 K.494
4-6.ピアノソナタ第16番
7-9.ドビュッシー/「映像」第1集(水の反映/ラモーを讃えて/運動)
10.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
上記の演奏と全く一緒。ミスの箇所も端折り方も、同じ音源ではないかと思うくらい似た演奏だが、こちらはライヴ音源らしく、拍手が入っている。しかし、スタジオ盤とこうも同じ演奏ができるというのは、やはり一流のピアニストの為せる技なんだろうか。トータルタイムで誤差が5秒しかない。


ポリーニ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 マウリツィオ・ポリーニ(Maurizio Pollini) ★★★★★
録音:71年 DG

1-3.ストラヴィンスキー/《ペトルーシュカ》からの3楽章
4-6.プロコフィエフ/ピアノ・ソナタ第7番
7-9.ウェーベルン/ピアノのための変奏曲
10-13.ブーレーズ/第2ソナタ
どこをとっても瑕がなく、全ての音が明晰にはっきりと聞こえてくるのはこの盤くらいだろう。徹頭徹尾、簡明直截な姿勢で貫れており、身を切るような冷水にも似た冷徹で引き締まったタッチには、ロマンティシズムと研ぎ澄まされた緊張感が同居している。奇をてらったようなところはまったくなく、とことん洗練させたモロ直球の演奏は、どこまでもシャープでひたすらクリアである。いやー、やはりすごい。
しっかしまー、雛鳥が、初めて見たものを親だと思うように、ポリーニ盤には一度聴くと他の演奏はは受け付けなくなるほどの完璧さと吸引力がある。最初にこれを聴いちゃうと、その呪縛から開放されるのにはけっこう難儀である。


フェレギ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 アダム・フェレギ(Adam Fellegi) ★★★
指揮:レヘル/ブダペスト交響楽団*1、フィッシャー/ブダペスト祝祭管弦楽団*2
録音:71年 Hungaroton

1.ラヴェル/ラ・ヴァルス(ピアノ独奏版)
2.ラヴェル/ラ・ヴァルス(管弦楽版)*1
3-5.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
6-20.ストラヴィンスキー/ペトルーシュカ(1946年版)*2
これも無個性系の演奏。3楽章に「熊を連れた農夫」が挿入されているが、さほど魅力的ではない。
ピアノの音が少々くすんでいる。


Gwhyneth Chen/Stravinsky、Scriabin ジェフリー・スワン(Jeffrey Swann) ★★☆
録音:60年代後半?(LIVE) ARKADIA

1-3.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4-6.ラヴェル/夜のガスパール
リスト:7.超絶技巧練習曲集より「鬼火」 / 8.メフィストワルツ第1番
9.タウジヒ/ツィゴイネルワイゼン
ショパン:10.スケルツォ第4番 / 11.エチュードop.10-8
テクニックはかなりあるほうで、けっこうバリバリと快速に突っ走っているのだが、途中でもんどりうってコケそうになるのが笑える。
それにしても、音悪すぎ。


Les Introuvables d'Alexis Weissenberg アレクシス・ワイセンベルク(Alexis Weissenberg) ★★★☆
指揮:ムーティ、小澤、プレートル
録音:64年 EMI 4枚組み

CD1:リスト/Pソナタ、ショパン/Pソナタ第2番他
CD2:ブラームス/PC1、フランク、バッハ、ツェルニー
CD3:ラヴェル/PC、ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章他
CD4:ラフマニノフ/PC3、プロコフィエフ/PC3
残響が少なく歯切れの良いタッチで、ちょうどプロコを弾くときのようなパーカッシヴな演奏。良く言えば快活で躍動的なのだが、同時にちまちました感じもして、個人的にはこういった演奏はあまり好みではない。ただ、全編にわたりかなり高速で、技巧的にも相当高度な水準である。


ベルマン/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ラザール・ベルマン(Lazar Berman) ★★☆
録音:64年(LIVE) Yedang

ガーシュウィン
1-3.ピアノ協奏曲ヘ長調

ストラヴィンスキー
4-6.エボニー協奏曲 / 7.「ペトルーシュカ」からの3楽章
8.「兵士の物語」より「兵士のヴァイオリン」(ピアノ版)
手持ちディスクの中では、トータルタイムが2番目に速いが、終始和音が濁っている。ハードル走で、足は速いのだが、置いてあるハードルは根こそぎ倒していく、という感じの演奏。あかんやんか。


ヴェデルニコフ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 アナトリー・ヴェデルニコフ(Anatoly Vedernikov) ★★★★
録音:63年 Denon

1-24.スクリャービン/24の前奏曲
25-27.プロコフィエフ/ピアノソナタ第5番
28-30.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章(ヴェデルニコフ編)
奏者自身による編曲だが、これは管弦楽版をそのままピアノに写しただけのものである。つまり、2楽章は轟音連打の部分をカットしており、3楽章は管弦楽版の第4場そのままで、「ペトルーシュカの幽霊の出現」まで演奏されている。ただし「熊を連れた農夫」は挿入されていない。
1楽章からビシバシ攻めてて実に好印象なんだが、3楽章の4分半頃から急にテンポダウンするのが解せない。テクがないわけではなかろーに。ただ、ペトルーシュカが死んでからは、美しくもグロテスクな表現が聴かれて素晴らしい。


バッカウアー/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ジーナ・バッカウアー(Gina Bachauer) ★★★
録音:63年 Mercury

1-6.ラヴェル/夜のガスパール(詩の朗読付き)
ドビュッシー:7-9.ピアノのために(前奏曲/サラバンド/トッカータ) / 10.前奏曲集第1巻−第10番「沈める寺」 / 11.同第2巻−第5番「ヒースの草むら」 /
12.同第2巻−第1番「デルフィの舞姫たち」
13-15.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
全体的にはけっこうしっかり弾けているものの、やたらと肩に力が入った演奏。難所も強引にパワーで押し切る!といった感じで、繊細さや官能性はない。女性ってどうしてこうなんでしょう(^^;


チェルカスキー/<ペトルーシュカ>からの3楽章 シューラ・チェルカスキー(Shura Cherkassky) ★★☆
録音:63年(LIVE) ERMITAGE

1.メンデルスゾーン/ロンド・カプリチオーソ
2-5.シューマン/ピアノソナタ第1番
6.ベルク/ピアノソナタop.1
7.ドビュッシー/喜びの島
8-10.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
11.プーランク/トッカータ
テクニックは甚だ心もとないが、他のどの演奏にも見られないチェルカスキー独自の表現が随所に聴かれて、ある種興味深い。
なお本盤は、Documentsレーベルにより、10枚組の「グレート・ピアニスツ」の1枚として再発されている。10枚組で2000円を切っているのでおすすめです。


ワイエンベルク/<ペトルーシュカ>からの3楽章 ダニエル・ワイエンベルク(Daniel Wayenberg) ★★★★
指揮:エルネスト・ブール/シャンゼリゼ劇場管弦楽団
録音:59年 EMI 2枚組み

CD1//ラヴェル:1-3.ピアノ協奏曲ト長調 / 4.左手のための協奏曲 /
5-7.ソナチネ / 8-10.夜のガスパール
CD2//リスト:1.メフィスト・ワルツ / 2.「詩的で宗教的な調べ」より「葬送」
3-5.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
ジョリヴェ:6-8.ピアノソナタ第1番 / 9-11.ピアノソナタ第2番
超高速ですっ飛ばすのにもかかわらず、めちゃくちゃ巧い。ただ、速くて巧い演奏にありがちであるではあるが、味わう間もなく音楽がどんどん通り過ぎていく感じで、ちょっと味気ない印象。


ブレンデル/<ペトルーシュカ>からの3楽章 アルフレッド・ブレンデル(Alfred Brendel) ★★★★
録音:55年 VOX

1-16.ムソルグスキー/展覧会の絵
17-19.ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
20.バラキレフ/イスラメイ(東洋風幻想曲)
古い録音なので、低音部では音が篭ってもわもわ鳴り気味だが、それほど気になるということもなく、総じて、年代の割には録音状態が良い。演奏は中庸で特に目を引く部分もないが、なかなかロマンティックに仕上がっており、こういう路線は個人的に支持したい。技巧的にも特に問題なし。


メイエ/<ペトルーシュカ>からの3楽章 マルセル・メイエ(Marcelle Meyer) ★★★☆
録音:49年 EMI

CD1:シャブリエ//1.きまぐれなブーレ/2-11.絵画的小曲集 / 12.バラビル/
13.ハバネラ/14.アルバムの綴り/15.オーバード/16.即興曲/17.田園風の踊り/18.カプリース/19.バレエの調べ/20.楽しい行進曲
CD2:1-3.シャブリエ/3つのロマンティックなワルツ|ストラヴィンスキー//4-6.「ペトルーシュカ」からの3楽章/7.ラグタイム/8-11.セレナーデ/12.ピアノラグ・ミュージック/13-15.ピアノソナタ第2番
音質は上記ブレンデル盤よりはマシ。


■ 編曲版

カティア&マリエル・ラベック(Katia & Marielle Labeque) ★★★★☆
録音:82年 Philips

1-3.ストラヴィンスキー(バビン編)/「ペトルーシュカ」からの3楽章
4.ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー
5-15.ブラームス/ハンガリー舞曲集(第1,2,3,4,5,6,7,10,12,13,17番)
バビンという人の2台のピアノ用編曲版。1、2楽章はほとんど独奏版とかわらないだが、3楽章ではオケの音をいろいろと拾っており、なかなかゴージャスで楽しい仕上がりとなっている。ラベック姉妹の演奏は、ワイエンベルクのように、技巧に優れながらも素っ気無いものなのだが、とにかく3楽章の編曲が華やかで素晴らしいので、ポイント高い。でも「熊を連れた農夫」が入っていないのはちょっと残念。
なお、このジャケットは、ストラヴィンスキーのみを収録したディスクのもので、本盤のものではない。


イゴール・マルケヴィチ(Igor Markevitch) ★★★★
フィルハーモニア・オーケストラ
録音:54年 EMI

CD1//ストラヴィンスキー:1-2.春の祭典 /3-5.「ペトルーシュカ」からの3楽章
6-11.「妖精の口づけ」よりディヴェルティメント
CD2//1-9.ストラヴィンスキー/プルチネルラ組曲|プロコフィエフ:10-15.「3つのオレンジへの恋」組曲 /16-19.スキタイ組曲 /20-23.「鋼鉄の歩み」組曲
管弦楽版によるペトルーシュカ。47年版の編曲で、3楽章は「熊を連れた農夫」が入っている。終わりは、いわゆるコンサート用のエンディングです。尚、このディスクは廉価で、他の収録曲も質が高いのでおすすめ。




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