NHK番組「プロジェクトX 挑戦者たち」の、2ちゃんねる内ガンダムパロディ記事スレッド「プロジェクトX 〜技術士官達」まとめサイト
宇宙世紀 0079.01.03
「ジオン公国は地球連方政府に宣戦を布告!」
ジオンの技術仕官Rは徹夜明けの仕事部屋でそれをぼんやりと聞いていた。Rが開戦を確信したのは1ヶ月まえ1枚の設計図を渡された時だった。
その設計図にはこう書かれていた。
「モビルアーマー試作4号機」
一時は開発が放棄された機体だったが新型パワーコンデンサの開発により開発が再開、開発主任にはRが抜擢される事になった。
抜擢と言えば聞こえが良いが、体よく追い出されたと言うほうが正しかった。Rは組織人にはなれない根っからの技術屋だった。チームワークで仕事をする事が当たり前の時代には、Rのような男は必要ないと上層部は考えていた…。
ルウム戦役の戦闘記録を詳しく解析した結果、Rは1つの結論に行き着く。
「MSでは局地戦に十分に対応しきれていない、それは汎用型である以上避けられなかったが、やがてMA(全領域汎用支援火器)が必ず必要になってくる」
データを見つめるRの目に再び生気がみなぎりだす。Rはすぐに仕事を開始した、設計図にRの修正が次々と加えられていく。
単眼ではなく複眼のカメラを採用、エンジンは大推力バーニアに換装した。そして、この機体最大の特徴である拡散ビーム砲と巨大な接近戦用ヒートホーク。
新たなMAは「ザク・リファイン・ゼロ」正式名称『ザクレロ』と名づけられた。製造許可がおりたのは1機のみだったがRにはそれで十分だった…。
事件は試作機の製造開始10日前に突然起こった。
軍からの命令書がRに届けられたのだ、そこにはこう書かれていた。
「新型機はムサイ級巡洋艦搭載可能である事」
信じられない内容だった、今さら設計変更など出来るはずがなかった。
「バカな!この段階での設計変更など自殺行為だ、機動性が大幅に悪くなるぞ」
やりきれない気持ちになった。
「なぜ私の思うとおりにやらせてはくれないんだ」
しかし軍の命令が絶対である以上10日で図面を引き直さなければならなくなった。
Rがポツリと一言漏らした。
「この美しいフォルムも実現不可能になった…」
頭頂高は問題が無かったが全長を3.5m短くしなくてはならなかった為に、ザクレロ本来の美しさは見る影も無くなり寸胴で幅広い異形のMAが誕生する事になった。
「この機体でも戦い方次第では必ず有効な戦力になるはずだ」
Rはもう自分と自分の技術力しか信じられなくなっていた。
試作機の完成後 視察に訪れる軍関係者の中にはザクレロを見て失笑する者までいた。
「この機体で戦場に出たら敵はおろか友軍にも狙われるぞ」
「いや、連邦もこの機体では相手にしないだろう、生存率は高そうな機体だな」
そんな嫌味を聞きながらRは思っていた。
「機動性は悪くなったとはいえMS相手なら十分に勝機はある、高速で接近しての一撃離脱戦法拡散ビームと巨大なヒートホークの性能まで悪くなったわけではないのだからな…」
格納庫のザクレロをみながらRは自分に言い聞かせているようだった。
(クボジュン)今日はRさんの開発助手をしていたAさんにスタジオへおこしいただいております。
(クニイ)開発サイドはいつの時代も軍部の要求には泣かされますね。
(A)しかし10日で図面を修正した時は私も驚きました、技術者としては大変才能のある方でしたね。
(クニイ)スタジオには当時の設計図から再現した模型があります。
(クボジュン)うわぁ、たしかに異様なデザインですね、個性的って言うのかな。
(A)外見のデザインには無頓着の方でしたからね、私も当時は困惑しましたよ。
(クニイ)試作機が完成してからのテストはどうだったんですか?
(A)起動試験が中心ですね、後は武装の確認程度の軽い物ばかりでした。
(クボジュン)いつもテストは軽めだったんですか?
(A)恥ずかしい話ですがテストパイロットがいなかったもので、本格的なテストが中々出来なかったんですよ。
(クボジュン)えっ!パイロットの方がいらっしゃらなかったんですか?
(A)ええ、同時期に開発されていたMAを最優先させるために人員のほとんどはそちらへ回されていましたから…。
(クニイ)開発チームには辛い時期でしたね、組織からは疎まれていたんですか?
(A)主任は軍閥や学閥に無頓着な方ですから、どうしても損な役回りを押し付けられる…まあ、そう言った所も含めて尊敬できる方なんですが。
(クボジュン)人材不足から完全に行き詰まったと思われたMA開発ですが、思わぬところから助け船が入ります。どのようなところから助け船が入ったのか。又それによって開発がどう進んで行ったのか…。
それでは続きをご覧下さい。
いつものようにテストを繰り返すRの前に1人の男が尋ねてきた。
男は敬礼するとこう言った。
「我々の部隊に来ては戴けないでしょうか」
突然の申し出だった、困惑するRに再び男が言った。
「貴方の力が必要です」
男の名はT大尉、同時期に開発が進んでいたMAー05ビグロのテストパイロットだった。
T大尉はビグロの視察に来ていた時にこのMAの噂を聞いて立ち寄ったのだった。開発データを見ながらT大尉は言った。
「大物専門で行けば十分戦果があげられそうですね」
一目でザクレロの特徴を見抜いたこの男をRは信じてみようと思った。
転属願いはアッサリ受理された。新しい任務は新型MAのテスト及びデータ収集だった。初めて見るムサイ級巡洋艦が新しい我が家になった。
自室に案内されたRは荷物を置くと格納庫へ向った、高揚感を押さえられなかった。格納庫にはザクレロともう一機、ビグロが置かれていた。
順調にテストスケジュールが消化されていった。Rの予想どおりザクレロの機動性は優れなかった。同時にテストされていたビグロが優秀な成績を残した為にザクレロはテスト終了と同時に破棄される事になったが不思議と残念だとは思わなかった。Rの中で何かが変わり始めていた…。
「敵艦発見!各員戦闘体制へ移行せよ!!」
なんの前触れも無く戦いは始まった、艦内の空気が一変した。慌しくそれぞれが持ち場に散って行く、Rにとって初めての実戦だった。
パイロットスーツを着たT大尉が言った。
「せっかくですから実戦データを取ってきますよ」
出撃するT大尉に何も言えなかった、恐怖で足がすくんだ。
D曹長に付き添われて自室に戻ったが震えが止まらなかった。RにD曹長が言った。
「我々は死ぬのが仕事ですから、恐い事も給料の内ですよ」
そう笑って話すD曹長も震えていた。
「武者震いですね」
Rも笑った。
3時間経ってもT大尉は還って来なかった。不意に艦内放送が流れた。
「ビグロ撃墜、戦闘態勢から警戒態勢に移行」
目の前が暗くなっていった、あのT大尉が戦死…信じられなかった。
艦内放送はこう続いた。
「…本艦は予定を変更し寄港する」
D曹長が声を荒げた。
「T大尉の仇はどうするんだ、俺はこのまま帰るなんていやだ!」
しかし格納庫には廃棄が決定したザクレロしか置かれてはいなかった。
D曹長がRに言った。
「俺はこの機体が好きだったんですよ、でも今回は壊してしまうかも知れません、先にお詫びしておきます」
D曹長はザクレロに乗り込むと無断で出撃した。誰も止めようとはしなかった。
通信室に駆け込むとRはザクレロに向って叫んだ。
「速度の優位を忘れないで!常に敵よりも高速で移動し続けて下さい!」
「了解です」そういい残してザクレロは闇に吸い込まれていった。
艦内に静寂が戻った。
意外な事に戦闘はザクレロ優位に進んでいた。Rの進言どおりに高速戦闘に持ち込めたからだ。
(大尉の仇を取れる!)
D曹長の心に一瞬、隙ができた。
ほんの一瞬…しかし戦場では致命的とも言える時間だった。
(常に敵よりも高速で移動し続けて下さい)
D曹長はRの言葉を思い出していた…。
暗闇に一瞬だけ灯がともり、そして、消えた…。
Rの技術はその後のジオン軍ビーム兵器開発に深く寄与する。火器管制システムが高く評価されたのだった。開発室に戻ったRは1週間後に転属願いを提出した、Rの意地だった。
戦後、連邦軍によってジオンの開発技術は詳しく解析される事になる。その中に連邦技術陣を驚愕させる1枚の設計図が発見された。そこにはこう書かれていた「ザクレロ・オリジナル…開発責任者R」連邦軍はただちにRの捜索を行った、そして1枚の軍歴表を入手する。
…
「0079.12.24 ア・バオア・クー要塞守備隊に編入」
そして軍歴表の最後にはこう書かれていた。
「0079.12.31 ア・バオア・クー攻防戦において 戦死 」
テールラ〜イト♪ヘッドラ〜イト♪
た〜びは〜、おわら〜ない〜♪
− プロジェクトX〜技術士官たち〜闇を切り裂け!異形のMA ザクレロ開発秘話〜
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