プロジェクトX 〜技術士官達〜 「ホワイトディンゴ隊を苦しめた悲劇のMA ライノサラス開発史」 北オーストラリア UC 0079もそろそろ終わる頃 一人の男がヒューエンデン基地に赴任した。 彼の名はL Aと共に試作ザク1号機を開発したスタッフの一人だった。 その頃、ジオン軍はすでに敗色の気配を漂わせていた。 Lは地球戦線の整備員不足のため仕方なく赴任したのだった。 日に日に前線が縮まってゆく中、LはMSを修理しつづけた。 そんなとき、基地にある物資が持ち込まれた。 『バストライナー』 プレートにはそう書かれていた。 連邦で輸送中に奪ったものだという。 一目見てLは考えた。 「これを最大限に活かすMSを作れないだろうか?」 考えるやいなやLは修理を部下に任せ、研究室に閉じこもった。 何かが 動き始めた。 当初考えていたものは、強力な大型火器を使用した支援MSだった。 しかし、バストライナー級の出力を出せば、ザクではもたない。 そこで基地に数機残っていたグフを用いようとした。 だが結果は同じだった。 Lは考えた。 「どうすれば、あれを活かすものができるのだ・・・」 Lの苦悩を傍らで見るものがいた。 基地唯一の女性士官Yだった。 Yは言った。 「MSではなく、MAで作ればいいじゃないですか」と それを聞いてLの目に光が宿った。 「そうだ!MAにならあの出力を負担できる!」 Lは基地司令を説得した。 しかし、当時の戦況では、MAを作るのは困難を極めていた。 それでもLは「作ってみせる」と言った。 強引に承諾を得て、未知のMA製作にとりかかった。 終戦まで、あと1ヶ月あまりのことだった。 LとYは分担で開発を行なった。 他の士官や整備員に説いて回ったが、修理のため誰も協力してはくれなかった。 内部担当のLは始め、グラブロやアッザムの設計図を見てジェネレーターを作った。 しかし、どれも空・海用のMAのため地上用に合ったものが作れなかった。 同様に外部設計担当のYもどのようなMAにすればいいのか考えに詰まっていた。 「限られた資源の中ではチャンスは1度きりしかない」 二人は夜を徹して考えた。 だが、何も浮かばなかった。 ある日、Yは基地に新型のMSが来ている事に気づいた。 『ザクタンク』 Yにはそのネーミングにぴんと来なかった。 だが実際見てみて、Yは驚いた。 ザクの上半身にマゼラトップのキャタピラ部分という異形のものだった。 Yは雷に打たれたような様子だった。 「これだ!」 Yは即座にレポート用紙に大雑把な形を書いてLに見せた。 それをみたLは、唾を一飲みすると急いでアッザム用のジェネレーターを改造した。 Yが書いたものは、ホバー推進を使った高機動且つ大型のMAの姿だった。 開発を始めて3週間 その頃になると、他の整備員達も手伝っていた。 基地に残っていたMSは殆ど無かった。 開発の半分以上が終わったにもかかわらず、未だに足は付いていなかった。 肝心の大型ホバージェットが無かった。 すでに連邦の特殊部隊が迫って来ている事を知った二人は焦った。 基地内をくまなく探した。 だが、何も見つからなかった。 落胆している二人に一人の男が話し掛けた。 彼の名は「ヴィッシュ・ドナヒュー」 「荒野の迅雷」と呼ばれているジオンのエースパイロットだった。 ヴィッシュ少尉は言った。 「あれを使えばいい」 少尉の指差す方向に、ジオンの特務部隊が置いていったドムがあった。 しかし、Lはそれを見て首を振った。 「今は一機でも多くの戦力が必要です。あれを使う事は出来ません。」 少尉は言った。 「ならばドムを越えるものを作ればいい、おまえ達にはそれができるはずだ。 おまえ達のMAは多くの仲間を救う。おまえ達の作ったMAなら、HLVも 安心して宇宙に行ける。ジオン軍人として、連邦に意地を見せるんだ」 黙って聞いていた2人に、迷いは無くなった。 2人は寝ずに開発に取り組んだ。 アフリカにいる仲間を救うため、基地の仲間を救うため そして ついに、MAが完成した。 みんな座りこんだ。 ただ、じっと出来あがったばかりのMAを見上げていた。 Lは「終わった」と呟くと、その場に寝転んだ。 Yは空を見ようと外に出た。 遠くに 3機のMSが見えた。 しばらくして、基地は陥落した。 皆白旗を掲げた司令のところに集まった。 二人もそこにいた そこで二人が見たものは、敵のバズーカによって脆くも破壊されたMAだった。 「ライノサラス」 そう呟くと、Lは涙を流した。 Yも泣いていた。 涙が、止まらなかった この日 彼らの戦争は 終わった